似指
しじ
※咄本・醒睡笑(1628)六「おぬしの物とてはただ一いろある。しじばかりぢゃの」 日国の第二版だと用例がいろいろある
*名語記〔1275〕六「小童が被皮をしじとなづく、如何。さきそきの反。さきのほそき義」
*梵舜本沙石集〔1283〕六・二「さても此御房の幼(いとけ)なくて、しじ打出してありし時より、みそだてたれば」 *咄本・醒睡笑〔1628〕六「おぬしの物とてはただ一いろある。しじばかりぢゃの」 *俳諧・鷹筑波集〔1638〕二「つついづつ五つ六つ子の恋をせし しじさへ今はおへにけらしな うらはの人は有馬にぞ入〈正真〉」 *浮世草子・西鶴置土産〔1693〕三・三「具足のくさずりをあげておのおのに指似(シジ)を見せて男子(むすこ)をしらせて帰る」 暁月坊(冷泉為守。1265-1328)の土地が、女院の庭を広げるために取り込まれたので、 という狂歌を詠んだという話があります(新撰狂歌集)。「私地」に「似指(男根)」を懸け、猥褻化して抗議したのですが、私地はシヂ、似指はシジですから、鎌倉時代の人がジとヂを混同することはないはずで、この逸話は狂歌の祖とされる暁月坊に仮託されたものです。