世の中を何にたとへむあさぼらけ漕ぎゆく舟のあとのしらなみ
和漢朗詠集
、
無常
・七九五、
沙弥満誓
初出は萬葉集。
世の中を何に響へむ。朝発き、漕ぎにし船の痕なきがごとし
口訳万葉集 (岩波現代文庫)
より
元は
万葉集
巻三・雑歌、
沙弥満誓
三・四・五句に異同あり
あさびらき→あさぼらけ
漕ぎにし→漕ぎゆく
あとなきがごとし→あとのしらなみ
語釈
たとへむ
他動詞ハ行
下二段活用
の「たとふ(喩ふ)」未然形と意志の助動詞「む」の終止形をあわせたもの。
世の中を一体何に喩えたものか、と考える気持ち
あさぼらけ
朝、空がほのかに明るくなった時。夜明け方。
日本国語大辞典
このはかない世の中をなににたとえたらよいだろうか
明け方に漕ぎさりゆく舟の、あとにのこる
白波
のようなもの