ピーターの問題
https://gyazo.com/036108b185f0c0a6c97da287883e7a81
$ \frac{\square}{\square \square}+\frac{\square}{\square \square}+\frac{\square}{\square \square}=1
上の式が成り立つように$ \squareに1から9までの数字を1個ずつ入れてください。
出典が不明だけど面白い問題 増井俊之.iconyosider.icon
総当り以上に速くできない。。yosider.icon
総当りで良いのでは? 増井俊之.icon
総当たりで良い。なぜなら総当たりで9!通り、たかだか36万程度であり、各ケースでの計算も軽いのでそれ以上に高速化する意味がないからnishio.icon
答えは$ \frac{5}{34}+\frac{7}{68}+\frac{9}{12}=1(もちろん左辺の3つの有理数の和の順序を並べ替えたものでも可)
ちなみにニアピン賞(?)は$ \frac{5}{87}+\frac{6}{24}+\frac{9}{13}=0.999779 \ldots ここでニアピンの定義は$ \left|\frac{\square}{\square \square}+\frac{\square}{\square \square}+\frac{\square}{\square \square}-1 \right|の値が最小(ただし0より大きい)となることである これだけではつまらないので同じ条件下で左辺の最小値と最大値も求めてみましたhatori.icon
最小値
$ \frac{1}{74}+\frac{2}{85}+\frac{3}{96}=\frac{6873}{100640}=0.06829 \ldots
最大値
$ \frac{7}{46}+\frac{8}{25}+\frac{9}{13}=\frac{17409}{14950}=1.16448 \ldots
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個人研究byhatori.icon
記号の定義 まず$ S_{n}を$ n次対称群(つまり$ n文字$ \{1,2, \ldots ,n\}の置換全体の集合)とする
$ \N_{\le n}:=\{k\in\N|1\le k\le n\} のとき$ S_n:=\{f:\N_{\le n}\to\N_{\le n}|f\text{は全単射}\}てことかtakker.icon
$ P_{n} \coloneqq \{(\sigma(1),\sigma(2), \ldots ,\sigma(n)) \mid \sigma \in S_{n} \}
例えば$ P_{3}=\{(1,2,3),(1,3,2),(2,1,3),(2,3,1),(3,1,2),(3,2,1)\}であり、$ |P_{n}|=n!である
$ f(\bm{a}) \coloneqq \sum_{i=0}^{2}\frac{a_{3i+1}}{10a_{3i+2}+a_{3i+3}} ここで$ \bm{a}=(a_{1}, a_{2}, \ldots ,a_{9})
$ A(r) \coloneqq \{\bm{a} \mid \bm{a} \in P_{9}, a_{1}<a_{4}<a_{7}, f(\bm{a})=r \}
ピーターの問題の右辺が$ rだったとき、ピーターの問題を成立させる数字のリストtakker.icon
$ \pmb{a}はピーターの問題の穴に当てはまる数字のリストを示す
$ a_1<a_4<a_7は項の順序違いを除くための条件
これを入れないと、$ \frac{1}{34}+\frac{3}{45}+\frac{5}{55}と$ \frac{5}{55}+\frac{3}{45}+\frac{1}{34}を別の多項式としてカウントしてしまう
あ、ちょうど次の文でこの記号の意味を解説してたtakker.icon
↑のコメントいらんかった
以上の記号の下で、元々のピーターの問題(の分子に大小関係をいれて制限したもの)は「集合$ A(1)を具体的に求めよ」という問題になる。既に述べたように、答えは$ A(1)=\{(5,3,4,7,6,8,9,1,2)\}であり、また$ \frac{6873}{100640} \le f(\bm{a}) \le \frac{17409}{14950}である。
少し視点を変えて、集合$ A(r)の要素の個数$ |A(r)|=|A(f(\bm{a}))|のとりうる値を調べる。$ P_{9}は有限集合であるから、明らかに$ |A(r)|には最大値が存在する:その値は何か?また最大値を与えるような$ rは何か?
答え:$ |A(\tfrac{3}{4})|=7 具体的に書くと$ \tfrac{3}{4}は
$ \begin{aligned}\frac{3}{4} &=\frac{3}{24}+\frac{7}{56}+\frac{9}{18}=\frac{3}{56}+\frac{8}{14}+\frac{9}{72}=\frac{4}{32}+\frac{7}{56}+\frac{9}{18}=\frac{5}{12}+\frac{7}{84}+\frac{9}{36} \\ &= \frac{5}{13}+\frac{6}{24}+\frac{9}{78}=\frac{5}{14}+\frac{7}{28}+\frac{9}{63}=\frac{5}{38}+\frac{6}{24}+\frac{7}{19} \end{aligned}
と7通りに表せる。
$ |A(r)|=|A(f(\bm{a}))|の意味がわかりませんでしたtakker.icon
そもそもこの$ \pmb{a}はなんの$ \pmb{a}?自由変数?
既に集合$ A(r)の定義の中で$ \bm{a} \in P_{9}および$ f(\bm{a})=rと書いており、それ以降も同じ意味で使っていますhatori.icon
あーそういう使い方ですね。理解しましたtakker.icon
$ A(r) \coloneqq \{\bm{a} \mid \bm{a} \in P_{9}, a_{1}<a_{4}<a_{7}, f(\bm{a})=r \}の$ \bm{a}と$ rはただのplacefolder(束縛変数)と捉えていたので、スコープの外に出てきた$ \bm{a}の意味を読み取れなかった
そうか、違和感を持ったのは$ \bm{a}じゃなくて$ |A(r)|=|A(f(\bm{a}))|だ
$ |A(r)|=|A(f(\bm{a}))|は$ \forall n\in\N\forall r\in \N\forall \pmb{a}\in P_n;|A(r)|=|A(f(\bm{a}))|ではなく単なる補足説明$ |A(r)|(=|A(f(\bm{a}))|)として使っていた
簡単のため$ B_{m} \coloneqq \{r\mid |A(r)|=m \} とおくと上述の結果は$ B_{7}=\{ \tfrac{3}{4} \}と表せる。
ついでながら他の$ mについても調べると$ B_{6}=\{\tfrac{11}{18}\}, B_{5} = \left\{\tfrac{9}{20},\tfrac{83}{168},\tfrac{17}{26},\tfrac{13}{18},\tfrac{87}{104} \right\}を得、残りの$ B_{4}, \ldots , B_{1}の具体形は省略して要素の個数のみ書くと$ |B_{4}|=32, |B_{3}|=109, |B_{2}|=1460, |B_{1}|=57067となる。念のため検算すると、$ \sum_{m=1}^{7} m|B_{m}|= 1 \cdot 57067 +2 \cdot 1460 + 3 \cdot 109 + 4 \cdot 32 + 5 \cdot 5 + 6 \cdot 1 + 7 \cdot 1 =60480 =\frac{|P_{9}|}{3!}となり、見落としはなさそうである。
以上のデータをプロットすると
https://gyazo.com/be0017d486ba8a7aa4228b693b6da0b5
ここで横軸は$ f(\bm{a})であり、縦軸は$ |A(f(\bm{a}))|である。
演習問題:$ \left| \left\{ \bm{a} \;\middle|\; \bm{a} \in P_{9}, a_{1}<a_{4}<a_{7}, \frac{1}{f(\bm{a})} \in \mathbb{N} \right\} \right|の値を求めよ。