オタンチン・パレオロガス
「知らんけれども十二円五十銭は法外だとは何だ。まるで論理に合わん。それだから貴様はオタンチン・パレオロガスだと云うんだ」 「何ですって」
「何でもいい。それからあとは――俺の着物は一向出て来んじゃないか」
「意味も何にもあるもんか」
「教えて下すってもいいじゃありませんか、あなたはよっぽど私を馬鹿にしていらっしゃるのね。きっと人が英語を知らないと思って悪口をおっしゃったんだよ」 「愚な事を言わんで、早くあとを云うが好い。早く告訴をせんと品物が返らんぞ」 「うるさい女だな、意味も何にも無いと云うに」
「そんなら、品物の方もあとはありません」
「頑愚だな。それでは勝手にするがいい。俺はもう盗難告訴を書いてやらんから」 「私も品数を教えて上げません。告訴はあなたが御自分でなさるんですから、私は書いていただかないでも困りません」
「それじゃ廃そう」と主人は例のごとくふいと立って書斎へ這入る。細君は茶の間へ引き下がって針箱の前へ坐る。両人共十分間ばかりは何にもせずに黙って障子を睨め付けている。
おたんちんとは「間抜けな人」や「鈍間(のろま)な人」を罵る言葉である。おたんちんは江戸時代、吉原(遊郭)で働く女性が「嫌な客」という意味で使っていた。これが転じて上記のような意味となり、一般にも普及。おたんちんの発祥が遊郭であることから『御短(短い)』+『珍(男性の生殖器官)』が語源という説があるが定かではない(全国から人(女郎)が集まる吉原では言語(方言)も全国から集まるため、漢字表記の資料がないおたんちんの語源を特定することは困難である)。 コンスタンティノス11世パレオロゴス・ドラガセス(コンスタンティノス11せいパレオロゴス・ドラガセス、ギリシャ語: Κωνσταντίνος ΙΑ' Παλαιολόγος Δραγάσης, ラテン文字転写: Kōnstantinos XI Palaiologos Dragasēs、1405年2月9日 - 1453年5月29日[1])は、東ローマ帝国パレオロゴス王朝の皇帝(在位:1449年 - 1453年)。東ローマ帝国最後、すなわちローマ帝国最後の皇帝である。中世ギリシア語読みではコンスタンディノス11世ドラガシス・パレオロゴス。後述する数え方の違いから「12世」や「13世」と呼ぶこともある。 (中略)
夏目漱石著の『吾輩は猫である』には、「オタンチン・パレオロガス」という罵倒語が登場しており、しばしば話題にされる[3][4]。一般にこの語は、東ローマ帝国最後の皇帝である本項目の人物コンスタンティノス・パレオロゴスの英語読みによる名「コンスタンチン・パレオロガス」と、間抜けを意味する「オタンチン」をかけたものと説明されている[3][4]。この語は漱石が鏡子夫人をからかうために実際に使った洒落であったという[5]。