とり天
鶏肉を多く食べることで知られる大分県。2019年、総務省が都道府県庁所在地と政令指定都市を対象に、一世帯あたりの鶏肉年間消費量を調査したところ大分市が全国1位になった。 大分県では、鶏肉を使ったまぜごはん「鶏めし」や鶏出汁の汁物「鶏汁」といったさまざまな鶏肉料理が食べられてきた。なかでも、唐揚げが有名だが、鶏肉を天ぷら粉で揚げた「とり天」も大分県全域にわたって広く親しまれている。 鶏肉が高価な食材だった時代、家庭では衣がたっぷりついた「とり天」がつくられていた。厚い衣がかさ増しになり、家族が多くてもみんなで鶏肉を味わうことができる。
「とり天」は、別府市内にある県内初のレストラン「東洋軒」が発祥だとされている。昭和初期、既存メニューの唐揚げが骨付きであったために女性が食べづらいだろうという気遣いから、骨のないもも肉を食べやすい大きさに切り、天ぷら風にアレンジしたのがはじまり。唐揚げより早く調理できて、サクサクと柔らかい衣は、またたく間に評判となり、やがて、さまざまな飲食店が「とり天」を提供するようになったという。 https://www.youtube.com/watch?v=COf1DN1vxgs