水素イオン
高校化学では単純化して水素イオンとして考えるが、実際は構造とそれに合わせた呼び名がいっぱいある。
厳密には水素イオンとは呼べないものも水素イオンと読んでいる
水素原子の構造
水素原子は陽子を1つ持つ$ _1^\bull\rm H
質量数が異なる同位体を持つ。
軽水素:質量数1 $ ^1\rm H
重水素:質量数2 $ ^2\rm H、$ \rm D
三重水素:質量数3 $ ^3\rm H、$ \rm T
水素原子が電子を失った陽イオン
ヒドロン:任意の水素同位体の陽イオン$ \rm H^+の一般名
プロトン:陽子のこと。
軽水素の陽イオン$ ^1\rm H^+として解釈することもできる。
デューテロン:重水素の陽イオン $ \rm^2H^+、$ \rm D^+
トリトン:三重水素の陽イオン $ \rm^3H^+、$ \rm T^+
水素原子が電子を獲得した水素化物イオン
ヒドリド:任意の水素同位体の陰イオン$ \rm H^-の一般名
プロチド:軽水素[の陰イオン $ \rm ^1H^-
デューテリド:重水素の陰イオン $ \rm ^2H^-、$ \rm D^-
トリチド:三重水素の陰イオン $ \rm ^3H^-、$ \rm T^-
水分子とヒドロンの反応によって形成されるイオンや水和物も「水素イオン」と呼ばれる。
ヒドロンは反応性が高すぎるため、多くの液体中では存在できない。
このため、水溶液の「水素イオン濃度」について考察する際には厳密にはヒドロン濃度について考察しているのではなく、水分子とヒドロンの反応により形成されるイオンの濃度について考察している事になる。
ヒドロニウム:水分子1つにヒドロンが結合した陽イオン$ \rm H_3O^+
ズンデルカチオン:$ \rm H_5O_2^+、$ \rm H_3O^+(H_2O)
ヒドロニウムと水分子が対称水素結合によりヒドロンを均等に共有している錯体
水分子2つの間にヒドロンが存在する構造として解釈することもできる。
アイゲンカチオン:$ \rm H_9O_4^+、$ \rm H_3O^+(H_2O)_3
ヒドロニウムが3つの水分子と強く水素結合している錯体
グロッタス機構(プロトンジャンプ)
ズンデルカチオンやアイゲンカチオン上をプロトンがリレーのように溶媒全体を移動する。
他のヒドロニウム溶媒和:$ \rm H_3O^+(H_2O)_6や$ \rm H_3O^+(H_2O)_{20}、と言ったものが考えられている。