内積で余弦定理を求めるのは逆ではないか
from @綾坂こと
余弦定理はすぐ上にあるベクトルの内積が計算面で1番楽だと思いますtakker.icon
余弦定理を思い出すためのツールとしてベクトルの内積は有用Summer498.icon
$ \|\bm b-\bm a\|^2=(\bm b-\bm a)\cdot(\bm b-\bm a)
$ =\|\bm b\|^2+\|\bm a\|^2-2\bm a\cdot\bm b
$ =\|\bm b\|^2+\|\bm a\|^2-2\|\bm a\|\|\bm b\|\cos\theta
しかし、内積と余弦定理の定義の順序はむしろ逆なのではないかと思う。Summer498.icon
幾何的な考え方での余弦定理はデカルト座標系を経由せずに証明できる。
https://gyazo.com/89b9a9988cf247e3a378d72ebc89113a
左右の直角三角形に三平方の定理を利用する
$ \|\bm b-\bm a\|^2=\|\bm b_2\|^2+\|\bm h\|^2←右の三角形に三平方の定理
$ =(\|\bm b\|-\|\bm b_1\|)^2+\|\bm h\|^2
$ =\|\bm b\|^2-2\|\bm b\|\|\bm b_1\|+\|\bm b_1\|^2+\|\bm h\|^2
$ =\|\bm b\|^2-2\|\bm b\|\|\bm a\|\cos\theta+(\|\bm b_1\|^2+\|\bm h\|^2)
$ =\|\bm b\|^2-2\|\bm b\|\|\bm a\|\cos\theta+\|\bm a\|^2←左の三角形に三平方の定理
$ \therefore \|\bm b-\bm a\|^2=\|\bm b\|^2+\|\bm a\|^2-2\|\bm a\|\|\bm b\|\cos\theta
この式に対して
$ (b-a)^2=b^2+a^2-2ab
とのアナロジーを見出すのは自然なことだと思う。
$ \bm a\cdot \bm b=\|\bm a\|\bm b\|\cos\thetaなる演算を導入すると、
$ \bm a\cdot\bm a=\|\bm a\|^2\cos0=\|\bm a\|^2
よって、
$ \|\bm b-\bm a\|^2=\|\bm b\|^2+\|\bm a\|^2-2\bm a\cdot\bm bのように書いたり
$ \|\bm b-\bm a\|^2=(\bm b-\bm a)\cdot(\bm b-\bm a)=\bm b\cdot\bm b+\bm a\cdot\bm a-2\bm a\cdot\bm b=\|\bm b\|^2+\|\bm a\|^2-2\bm a\cdot\bm b
のような式変形ができるようになる。
余談
直交座標系でのベクトルを用いた余弦定理の計算があまりにもキレイだから、高校生の時には「絶対にこっちが先やろ」と思っていたが、今は逆。Summer498.icon
これ前気になってた内積の定義が幾何学的なやつとベクトルからのものの2つあってどっちやねんとなったやつと関連してそうhoshihara.icon
関連してなかったらごめん。読んでから追記する
上のSummer498.iconさんの説明は、「内積という演算を導入する動機は余弦定理にあるのではないか」というものなのね。
以前私が疑問に思ったのは、$ (\bm{a},\bm{b}):=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3と定義するときと$ (\bm a,\bm b) := 2\|\bm a\| \|\bm b\|\cos\thetaとするときがあるのはなぜだ、というものだが、結局変形して同値になるので大した違いではないか。