プロジェクトの塩漬け
プロジェクトリストなり何なりに、項目を書き込む。そうした項目のうちいくつかは達成され、いくつかは残留する。そして、時間が経つと沈殿していく。
自らによって位置づけられた項目は、意志も一緒に保存する。
構造は意志を保存するメディア
よって、そのプロジェクトを見返す度に、「ある時点の自分はこれをやろうとしていたんだ」という声が再生されることになる(ゾンビの声が聞こえる)。それは、精神的に腐食ダメージを発生させる。 だったら削除すればいいわけだが、しかし、それを消さずに残しておけば、そのプロジェクトは未達でも失敗でもなく「あくまでまだ着手していないだけ」という状態をキープできる。己の認識を更新せず、失敗も認めることなく、希望を抱き続けることができる。
そのいびつな構造は何かに似ていると思ったが、株式投資の「塩漬け」にそっくりである。
上がると思って買った株式が上がらなかった(むしろ下がった)とき、それを失敗だと認めて売り払う行為を「損切り」と呼ぶ。
そうした損切りをせず、特段の好材料も持ち合わせていないのに、「待っていれば状況はよくなるはず」という思いだけで株式を保有し続けてしまうことを「塩漬け」と呼ぶ。
基本的に投資ではよろしくない行為だが、そうして保有していた株式がたまたま上昇することがあるので、なかなかこの悪癖は直らない。
一度プロジェクトリストに登録したものを、達成以外の理由で削除するのですら、私たちは躊躇を持つ。
ちなみに、何の材料もないのに(つまり、こういう特許を持っているから世間がそれに気がつけば株価は上昇に転じるに違いないといったことを知っているのではないのに)「この銘柄は大丈夫だ」と強く信じ込むことは、ポジティブ自己啓発と奇妙なほど似たところがある。 ref.
2010年に似たようなことを、違った形で書いていたrashita.icon