Denoのnpmパッケージサポート

#Deno #npm #Node.js #package.json #node_modules

概要

Deno v1.25からnpmパッケージのサポートが追加されました

以下のように、npm:<パッケージ名>@<バージョン>というような形式でimportを記述することで、npmパッケージを利用できます

code:sh

// https://www.npmjs.com/package/chalk の利用例

import chalk from "npm:chalk@5.0.1";

console.info(chalk.green("Hello, world!"));

また、npxライクにコマンドを実行することもできます

code:shell

$ deno run --allow-env --allow-read --allow-write npm:make-dir-cli@3.0.0 src/components

Denoにおける特徴として、package.jsonが存在しない場合、Denoはデフォルトではnode_modulesは作成しません。他のDenoパッケージ(deno.land/xやjsrなど)と同様に、スクリプトを実行する際にnpmパッケージが自動でダウンロードされ、グローバルキャッシュ(DENO_DIR)に保存されます

deno add/deno removeコマンド

deno addコマンドを使うと、deno.json※のimportsへの該当のnpmパッケージに関するマッピングの追加と deno.lockの更新を行うことが出来ます (※もしpackage.jsonがある場合、deno.jsonではなくpackage.jsonの方にnpmパッケージが依存として追加されます)

code:shell

# 1. chalk@5.3.0をダウンロードし、deno.jsonのimportsに"chalk": "npm:chalk@5.3.0"というマッピングを定義します

$ deno add npm:chalk@5.3.0

$ cat deno.json | jq .imports.chalk

"npm:chalk@5.3.0"

これにより、ソースコード中からは以下のようにしてnpmパッケージを読み込むことができます (Import maps)

code:javascript

import chalk from "chalk";

chalk.green("Hello");

deno removeコマンドを使うことで、deno.json※のimportsからのマッピングの削除とdeno.lockの更新が可能です (※deno removeもdeno addと同様に、package.jsonがある場合は、deno.jsonではなくpackage.jsonからnpmパッケージの定義が削除されます)

code:shell

$ deno remove chalk

node_modulesについて

以下のいずれかを行うと、Denoがnpmパッケージをnode_modulesに保存してくれます

--node-modules-dirオプションを指定する

deno.jsonで"nodeModulesDir": trueを設定する

package.json(後述)を用意する

使いたいnpmパッケージがnode_modulesに依存している際は、検討するとよいと思います

また、後述のBYONMを利用することで、npm/Yarn/pnpmなどにより生成されたnode_modulesをDenoから利用することもできます

package.jsonサポート

Deno v1.31からpackage.jsonの自動探索がサポートされました。

code:package.json

{

"dependencies": {

"chalk": "^5.2.0",

"koa": "2"

"devDependencies": {

"cowsay": "^1.5.0"

"scripts": {

"hello": "cowsay Hello"

}

上記のようなpackage.jsonがあった場合、dependenciesやdevDependenciesで指定された定義に基づいて、Denoが必要に応じて自動でnpmパッケージをダウンロードしてくれます。(package.jsonが存在する場合は、node_modulesが自動で作成されます)

また、deno addコマンドでnpmパッケージを追加する際も、deno.jsonではなくpackage.jsonの方に依存が追加されます (もしdevDependenciesへ依存を追加したい場合はdeno addに--devオプションを指定する必要があります)

"bare specifier"の解決

package.jsonで定義されたパッケージであれば、Denoが自動でbare specifierを解決してくれます。(Import mapsと同じようなイメージで動作します)

code:javascript

import chalk from "chalk"; // => npm:chalk@^5.2.0

import Koa from "koa"; // => npm:koa@2

const app = new Koa();

app.use((ctx) => {

ctx.body = "Hello world";

});

app.listen(3000, () => {

console.log(chalk.blue.bold("Listening on port 3000"));

});

npm scriptsの実行

deno taskコマンドにより、package.jsonのscriptsで定義されたスクリプトを実行することもできます。

code:shell

$ deno task hello

# package.jsonの内容を元に、deno run -A npm:cowsay@^1.5.0 helloが実行されます。

package.jsonの自動探索を無効化する方法

--no-npmオプションを指定することで、npmパッケージの解決やpackage.jsonの自動探索を無効化できます。

package.jsonの自動探索のみを無効化したい場合は、DENO_NO_PACKAGE_JSONに1を設定します。

BYONM

BYONMはnpmやpnpmなどで作成されたnode_modulesからnpmパッケージをDenoで読み込むための機能です。

Deno v1.38で実装されました。

BYONMは"Bring your own node_modules"の略です。

有効化方法

Deno v2以降) package.jsonがあれば自動で有効化されます

Deno v1) --unstable-byonmを指定するまたは deno.jsonで"unstable": ["byonm"]を指定すると有効化できます。

code:deno.json

{

"unstable": "byonm"

}

ライフサイクルスクリプトの実行

DenoはBunと同様に、デフォルトではnpmパッケージに含まれるライフサイクルスクリプトを実行しません

Denoでnpmパッケージに含まれるライフサイクルスクリプトの実行を許可したい場合は、--allow-scriptsを明示的に指定する必要があります

Node.js組み込みパッケージの利用

Denoの本体にはNode.js組み込みパッケージが搭載されており、node:<パッケージ名>でimportできます。(※一部、未実装のため読み込めないパッケージやAPIなどもまだあります)

code:javascript

import { EventEmitter } from "node:events";

const emitter = new EventEmitter();

emitter.on("foo", console.log);

emitter.emit("foo", "bar");

.npmrc

Deno v1.44からサポートが導入されています

package.jsonまたはdeno.jsonと同一ディレクトリに.npmrcが配置されていれば、それが自動で読み込まれます