国語での活用ポイント
#国語
国語教育とシンキングツール
国語の授業以前に、そもそも私たちが「考えてみよう」と児童生徒に問いかける際に求めているのは、物の分類や構造化などから、自分の新しい物の見方や意見を作ることではないかと思います。
シンキングツールは頭の中や文章の中の考えを「見える化」して、新しい考えを作るための道具です。考えが見えるようになれば、自分自身でさらに考えることや他者との協働がしやすくなります。
「シンキングツール」の形により思考の方向性がきまり、視点によって自分の頭の中や文章の中にある思考が「見える化」できます。
シンキングツールを用いることで、より具体的、多角的、多画的に言葉と向き合うことができ、国語教育では「考える」活動の新たな地平を、切り開いていくことができます。
「探究的な思考力を身に着け、予想できないこれからの社会で力強く生きていく力をつけよう!」という目的のもとアクティブラーニングが進められ、授業の在り方・教材の工夫は大きく変化しました。
シンキングツールはその「創造的・探究的な思考」を助けるためのものです。
国語には読む、書く、話す、聞くの4領域がありますが、いずれの場面でも「シンキングツール」を活用することができます。
国語科でのシンキングツールの活用の基本的な考え方
https://gyazo.com/c2f5554bf46f737a5ad853e051e941f6
国語教育において、読解力、表現力、思考力を育むには、発散して収束し発表する流れが最適です。「シンキングツール」での「発散」と「収束」を入れると思考が「見える化」でき、生徒が自分の思考を認識でき、教科の単元項目に没頭できるようになります。
思考の発散と収束
シンキングツールには大きく「発散」と「収束」と呼ばれる二つの活用法があります。
「発散」:生徒により多くの情報を意識・認識させる活動
「収束」:集まった情報の中から必要なものを選択・順序だてをさせる活動
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授業の中では、この「発散」と「収束」が「発散⇒収束⇒発散⇒収束」という風に連続することになります。
さらに、この発散と収束は、「大きな発散⇒大きな収束」の場面と、授業の“ある場面”で完結する「小さな発散⇒小さな収束」があります。それらがうまくつながり、「計算用紙としてのシンキングツール」が「パフォーマンス課題」と連動した時、想像以上の新しい気づきや考えが生まれます。
国語科でのシンキングツール活用のポイント
国語科でのシンキングツールの活用例
「読解」の場面と「シンキングツール」
「読解」の場面でシンキングツールを活用するときのポイントは 解答への誘導にならないことだといえるでしょう。
解答への誘導を目的に授業進めると、シンキングツールが単なるワークシートとなり、児童生徒の思考の自由度が大きく制限されます。これは、児童生徒の思考を可視化するシンキングツールのメリットが生かされておらず、児童生徒が自分なりに「考えを作る」ことにはつながりません。
手順を理解、習得し、解答へたどり着かせるためのワークシートが必要な場面もありますが、この違いに意識的になり、どのような場面で、どう使い分けるのかを意識することがポイントとなってきます。
シンキングツール:自分の考えを作り出すための思考の方法を示す、いわゆる計算用紙。思考の方向性を誘導する。
ワークシート:手順を理解・習得し、解答までの道筋を示す地図。行き着く先「読み」へ誘導する。
応用的な活用・ブラッシュアップのためのポイント
ツールをアレンジする
授業の内容によっては、シンキングツールの使い方をアレンジすることで、より効果的に授業設計を実施できます。
その際、「どういう意図でこのツールをつかうのか」「そもそもこのツールはどの思考スキルに即して設計されたものか」というコンセンサスを忘れずにアレンジを行うことで、ツールの良さを生かしたアレンジをおこなうことができます。
模範回答に導くためにツールを使うのではなく、「考える」という、教科・科目を超えた汎用スキルのためにツールをつかう、という観点をもつことで柔軟に、効果的にツールを活用することができるようになります。
参考リンク なにこれ?かんたんツール説明
それぞれのツールと対応する思考スキルについては上記リンクを参照してください。
授業案改善のために。自分の授業への13の質問
シンキングツールを授業で使うときには、以下の質問を自分自身に問いかけていくことで、無駄のない、より洗練された授業をデザインすることができます。
この活動を経て、児童生徒がどのような考えを作り出すことを想定していますか?
どれか1つ、使わないシンキングツールを決めるとしたら、どれですか?
別のシンキングツールと入れ替えられそうなところはありませんか?
授業展開の中で生徒同士がカードを送ったり、提出箱でカードを共有する場面はどこにありますか?
シンキングツールを使わなくてもできるところはありますか?
このシンキングツールを使う目的は、何をすることですか?
自分なりの考えを作り出させるために一番時間をかけさせたいのはどこですか?
このあとさらに発展させるとしたらどんな授業ができそうですか?
このあと何かパフォーマンス課題を考えていますか?
教材はどのように通読しますか?
この単元を学習することで、どういう力を身につけさせることを狙っていますか?
ロイロの操作・カードの操作が児童生徒にとって難しく、きめ細かい支援が必要だと想定される場面はありますか?
できあがった授業に対して上記の質問を投げかけていくことで、授業を改善していくことができます。
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授業事例
表現活動ごとの事例
#問題提起・問いかけ/#読解/#表現
科目ごとの事例
#小学校国語
#中学校国語
#現代文/#古文/#漢文/#国語表現
校種・学年ごとの事例
小学校
小学校国語3年 【ちいちゃんのかげおくり】登場人物の気持ちの変化を読み取ろう
小学校国語3年 【「ほけんだより」を作ろう 】表現に着目し、自分の作文に取り入れる
小学校国語4年 【ごんぎつね】物語を評価し批評文を書く
小学校国語5年 【大造じいさんとがん】作品のポイントを掴み朗読に活かす
小学校国語5年 【弱いロボットだからできること】テクノロジーと人間の関わりについて自分の考えを深める。
小学校国語5年 【一枚の写真から】他者から意見をもらい、文章構成にいかす
小学校国語6年 【『鳥獣戯画』を読む】表現の工夫をとらえて読み,それをいかして解説を書こう
小学校国語6年 【「メディアと人間社会」「大切な人と深くつながるために」】 複数の文章を読み考えたことを交流する
中学校
中学校国語 【魅力的な提案をしよう】文章の構成を意識し、自分の興味のある生物を紹介する。
中学校国語 【ちょっと立ち止まって】多角的に物事をみる
中学校国語 【新聞の見出しを読む】見出しから受ける印象の違いを考察する
中学校国語 【俳句の創作】魅力的な俳句とは何か、自分の考えを持って創作する
中学校国語 【バンクシーはアート?らくがき?】対立意見を読み解き、自分の考えを深める
中学校国語 【「私」の説明文】構成を考えて文章を書く
高校
高校 国語表現 【自分を知る~総合選抜型入試対策~】
高校 国語表現 【異和感や感じ方から問いを立て、文章にまとめる】
高校 国語総合 【神様】人間と動物の共存を考える
高校 国語総合 【伊勢物語6段「芥川」】模擬裁判をして、作品を感じる
高校 国語総合 【羅生門】人間とはどんな存在であるかを考える
高校 国語総合 【羅生門】自分の考えを持つ
高校 国語総合 【水の東西】文化の違いを深く考察する
高校 国語総合 【百家争鳴】諸子百家の思想を整理して、オリジナルの漢文を作る
高校 現代文 【山月記】李徴の詠んだ詩の「欠けるところ」とはどこかを考察する
高校 現代文 【山月記】表現にこだわり読みを深める
高校 現代文 【檸檬】「私」の心情を理解する
ツールごとの活用例
国語のツール別シンキングツールの活用例
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