高専から数学科に編入したけど入学初手留年しなかった話
はじめに
追記 (2023/03/29): 編入から1年経ってからの状況などについて書きました。そちらから読むことをおすすめします。
こんにちは、トッチと申します。私は去年2021年の9月に九州大学理学部数学科の編入試験を受け、合格し、高専の電気系の学科から大学の数学科3年生に編入することが決まりました。高専から理学部数学科への編入のように、違う学部・学科に編入すると「大学のルール上、2年生までの必修科目で取らなきゃいけないのが複数あるけど、時間割でダブってる奴があるから留年してね」というように、入学早々、特に編入生ガイダンスにて留年が確定することが稀にあります。そして昨日、私は大学で入学ガイダンスに参加し、そのガイダンスで留年しないことが分かりました。 そこで、今回の九大数学科への編入学では2年生までの科目がどのように扱われるのかを紹介することで、他学部へ編入した場合の単位や授業の大学側の取扱の一例を示し、編入に対する不安を取り除く手助けになればと思い、ことの経緯を簡単に記します。
1. とても留年したい
1, 2年次の単位の処理などについて書く前に、そもそも私の留年に対する思いを吐露させてください(興味ない方は飛ばしてください)。結論から言うと、私はものすごく留年したかったです。この気持ちが強くなったのは入学1ヶ月前の3月ごろですが、編入試験を受けた当日の夜から「留年したいな〜」と、ぼんやり思ってました。留年したい理由は次の3つです。
1. 学業に対する不安。特に微積分、線形代数といった基礎科目の習熟の甘さ。
2. 学部生活が短すぎる。院試まであと1年しかない?!
3. 大学生活が忙しそう。うける授業数がひどいことになりそう。
順番に詳しく説明します。まず1.の学業に対する不安について。簡単に言えば、電気科から数学科への環境変化についていけるかが不安だということです。もちろん、学部レベルの数学についていける自信があるので数学科への編入を決めたわけですし、編入試験をパスしたんだから大丈夫だろと思えるかもしれませんが、そうでもないんです。まず、編入試験についてですが、試験ではかなり高専の数学の授業内容に沿った問題が出題されます。そう、編入試験はあくまで工学部である高専の定期テストの延長なのです。なので偏微分の計算問題や行列の対角化の問題は出されますが、一様連続の問題やジョルダン標準形の問題はほぼ出されないのです(出されたとしてもほんとに稀)。試験で問われる内容についてはある程度分かっているけど、それ以外、つまり数学科の学生が1, 2年生で積み上げてくる内容についてはただの素人同然なわけです。実際、編入試験で行われた面接で一様連続とジョルダン標準形についての質問に答えられなかったときに痛いほど痛感しました(痛すぎてこの時から留年したいと思った)。「これはヤバイな〜」と自覚はあったので一人で自習していましたが、まあなかなか続くことはなく、目標の1/3ぐらいのところまでしか勉強できませんでした。で、私がそれでカバーした範囲がおそらく1年生修了程度なので、ストレートに3年生の授業を受けるのではなく、1年留年して2年生の授業を受けたいな〜と思っているわけです。また、学部レベルの数学に対する自信も、ハッタリと言いますか誇張みたいな感じです。高専時代に好きで一生懸命勉強した分野(環論と力学系)はある程度自信がありますが(とはいえかなり怪しい)、そこから離れるとからっきしで、全く自信がないわけです。やけに難しい本(アティマク)を読んでいたこともあって、数学に対する力が全くないとは思ってません。なので微積分・線形代数の知らない概念が講義中に登場しても勉強すれば大丈夫だとは思いますが、周りが知っているであろうことを知らないのは単純にディスアドバンテージだし、いちいち確認のために本を読んだり証明をしたりするのは時間がかかって面倒だなぁと思ってしまいます。
次に2.の大学生活が短すぎることについて。これも単純で、3年生から大学が始まれば大学生でいられるのは3年生と4年生の2年間ということになります。短い......。「高専で消えてる2年分過ごしたんだからいいじゃん」と思うかもしれませんが、違うんです。高専は中学卒業から5年間、同じ学校、同じクラスで過ごします。クラス替えがないので5年間ずっと同じ人(留年や退学で数人は消えたり増えたりしますが)と学校生活を過ごします。なので大学1年生にあたる高専4年生にもなると、惰性で生きているというか、まあいつも通りだなあとなります。何が言いたいかというと、「大学1年生〜2年生」の2年間と「高専4年生〜5年生」の2年間は全っ然!!違う!ということです。なので #春から○○大みたいなタグがついてるツイートを見ては「いいな〜」と羨ましがってます。まあ、正直これについては高専に入ってしまったからには仕方がないですし、自分が普通に高校から大学に入学してもキラキラした生活を送れた気がしないのでいいです。問題は未来のことです。そう、院試がやってきます。せっかく数学科に入ったんだから大学院には行きたいな〜とは思っているのですが、そうなると院試を受ける必要があります(内部進学?とかもあると思いますが正直、条件とか難易度とか、実質大学一年生なのでなにもわかってないです)。院試は通常4年生の7月~9月に受けるもの(だと思っている)です。なので留年しなければ1年半後の今、院試を受けることになります。嘘やん......この前編入試験したばっかなのに......。高専の図書館にあった院試の過去問とか、インターネットに転がってる院試の体験談とかをチラチラ読んだことがあるのですが、「これ、あと1年で解けるようになるのか?無理じゃね?」と思ってます。なので、実力的にも大学生活をゆっくり満喫する意味でも、「留年しないと大変じゃないか~?」と思ってます。
最後に3.の大学生活が忙しいについて。一般に大学へ編入すると単位変換というものが行われます。これは編入前に在籍していた学校で取得した単位を編入先の学校の単位に変換できるという制度です。この制度は例えば高専電気科から技科大電気科へといった同じ学科への編入であればかなり有効的に働きます。しかしながら、私の編入先は学科どころか学部すら違うのです。つまり、ほとんど単位変換できない説が浮かび上がります。数学の単位ならともかく、「『電気回路IV』とか『パワーエレクトロニクス』とか誰がどう変換すんねん。」って感じです。変換される単位が少ないと、当然卒業のために取らなければいけない単位が増えるので、時間割がカツカツになります。授業を受けない日もあった去年のゆるゆる高専生活から一変、高校3年生もびっくりな授業数になる可能性もあり得ます。まあ、履修要項を見たところ「理学部外の科目については学部長が判断してOKだったら専門科目として認めますよ〜」みたいなことが書いてあったので、もしかしたら訳わからん電気系の科目は専門科目扱いで変換できるかもしれません。とはいえ、編入先で専門の数学の単位が足らないのは明らか。1, 2年生の必修科目がいくつか抜け落ちるのは明白です。これに対して大学側はどうするのかな〜と思ってますが、数学科の時間割の下の方を見ると......
https://gyazo.com/011aa0e5e8c1939d5e51f0b53db2b7d9
「編入生特別授業」。これほどまでに嫌な予感のする文字列があっていいのでしょうか。というわけで、どんな時間割になるかは「セミナー室割り当て......?」のときまでお楽しみです。(というか、いわゆる一般科目に関する情報がマジでないんですけどどうなるんだろ。第二外国語とか、取らなきゃいけないの?どうなの?おい、おい大学。そこら辺はどうなんだ。おい。)
と、以上3つの理由で私は留年したいワケです。ちなみに、別の大学の数学科に編入した同じクラスの友人は2年次編入。そう、高専5年生のあとは大学2年生からスタートです。強制留年みたいなものですが超羨ましいです。今からでも全然おそくないから九大数学科も2年次編入にしよう!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!頼む!
2. 留年しなかった
はい。はじめにで述べた通り、「単位が足りないから強制的に留年」みたいにはなりませんでした。取らなければいけない必修科目はどうなったのか、単位変換はされるのかなどについて話していきます。
まず単位についてですが、次のようになりました。
1. 基幹教育科目(いわゆる一般科目)については、修得すべき46単位すべてを認定
2. 専攻教育科目(いわゆる専門科目)については、1年次と2年次に開講される必修科目22単位のうち16単位を認定
3. 単位認定しない6単位は編入生特別授業を受けたら認定
4. 単位変換はなし
上記の通り、編入生は2年生までの必修一般科目を受けなくていいし、1, 2年次の専門科目もほとんど受けなくていいというわけです。入学時に認定されているのは62単位(編入性特別授業後には68単位)。3年生では選択必修科目というものを最低でも16単位分取らなくてはいけません(それ以外はゼミ4単位が必修)。なので選択必修科目を16単位ギリギリ取って4年生に進級したとすると、必修のゼミ10単位分を除いて、選択しなければならない授業数は26単位分となります。うん、まあ、流石に26単位はキツイでしょうね。逆に3年生の選択必修科目の単位を全て取ると、4年生のときに選択しなければならない授業数は10単位分です。これなら、まあ、妥協できるかなって感じです(選択必修を全て取れればね)。でも4年生でとらないといけない単位、10単位でも結構多いと思うんだけど大丈夫かな......「一般科目とかもとった方がいいのか?」とか考えてるけど、そもそも一般科目についての情報がないから分からない......必修の科目どれ?そもそも取れるやつあるのかな?ど、どうすればいいんだ......。「自炊塾」基礎編 みたいな科目、とってもいいのか?とったほうがいいのか?わからん......何もわからん......助けて......
追記: 履修要項に「基幹教育科目は46単位以上、専攻教育科目は78単位以上、合わせて124単位以上取らないと卒業できません」と書いてあったので、編入生は基幹教育科目を受けなくても大丈夫(というよりは恩恵がない)みたいです。編入生は専門科目をいっぱい受けよう!
ちなみに、教職免許取得のための科目も選択できるのですが、ガイダンスのときに先生方から教職免許関連の科目は選択をおススメしないと言われました。ただでさえ専門的な数学の授業初心者でてんやわんやしているのに、そこに教職免許の科目を入れると忙しさで潰れてしまうそうです。どうしても取りたいなら半分や1/3だけ取って、残りは大学院で取るとかをした方がイイよ言われました。学校の先生になりたくて編入する人はこの情報は頭に入れておいたほうがいいと思います。私はもともと教職免許は取る気がないので関係ないです。
と、単位についてはこんな感じです。次に編入生特別授業ですが、認めていない6単位を認めるための授業なので授業時間は6単位分になります。3つの授業が前期に開講されます。担当される先生方の都合にもよりますが、時間帯はほぼ5限(もっとおそい場合もある、あった。)になります。内容は工学系から数学科の数学への橋渡し的な感じで、2年次までの抽象線形代数(ジョルダン標準形まで)、解析(ε-δ~級数?)、位相(定義~コンパクト?)をやるそうです。テストは無いらしい(ほんとか?)。
というわけで、高専から九大に編入しても留年はしないし、多少は忙しいかもしれないけどまあなんとかはなり......たぶんなる、おそらく大丈夫そうな時間割になります。いや、授業についていけなくて泣きながら毎日予習復習課題に追われる可能性が全然あるな。うん。
あと、ガイダンスでは「まあ最初は慣れなくて授業全然わからないと思うけど、編入生って大体優秀だから、折れずにがんばってね」と念を押していろいろな先生から4回ぐらい言われました。「1年後には大学院とかにも進学できるぐらい実力つきますんで」的な言葉はいまだに疑っていますが、受験者29人からの筆記試験合格者が7名、そして定員5名のところを比重がそこまで重くないと思われていた面接でまさかの3人を落として、定員割りまでして入学させた4人のうちの1人なのでもしかしたらそうなのかもしれない。
それから、大学で受ける月曜日、一番最初の授業「幾何学I」は多様体に関する授業なのですが、
「前提知識が「位相空間論」という高専じゃ絶対やらない分野を要求されるので、マジでやばいから図書館で本借りて読んでおいた方がいい」
と先生に脅されました。まあそれはそう。多様体の定義に使うハウスドルフ空間とか名前しか知らん。ということで絶賛予習中です(実はガイダンスの2日ぐらい前から多様体の軽い解説動画シリーズを見ていたのでちょっと安心した)。てか、多様体の定義に第二可算公理って入れるの?入れないの?なんか文献によって違うんだけど。
授業に関してはこんな感じで、あとは図書館とか同窓会についての話がありました。ただ、結構大事そうなオンラインシステムmoodleについての説明が一切なかったのはちょっとよくないのではと思いました。おそらく、Google Classroomのような授業の出欠確認とかができるシステムだと思うんですが、特別授業の連絡手段について先生方同士でmoodleという単語が飛び交ってて、「なんか大事なやつなんだな〜」とはわかるものの、結局moodleってナンナン?って感じで蚊帳の外でした。健康診断の予約とかにも使ったのでかなり大事なものだと思うんですが、資料などもmoodle内部にしかなく、moodleの存在を最初から知らないと何もできないのはちょっと......。入学生全員が九大出席リロード喚起botを認知してるとは思えないですよ、大学さん。あと、バイク入講届を出す必要があるなら先に言ってくれ。 最後に、参考までに令和4年度編入生特別授業を入れた時間割を載せておきます(教職関係はなし)。
https://gyazo.com/1a8dc76627947437341e4c1d1ebc76d4
3限の演習が全部15:30までで、もれなく4限に食い込んでいる。一般科目を取るにしても1限か火曜木曜の5限にやってるやつしかとれない……
3. ガイダンス後
せっかくなのでガイダンス後についてもちょっとだけ書かせてください。ガイダンスが午前11時に終わった後、編入生4人で自己紹介をしながら、脅された多様体の本を探すために理系図書館に足を運びました。編入前の所属について聞いたり、高専から来た人とはお互いの卒業研究について話し合ったりしました。入学早々、やった研究について喋ってるのおもろ。図書館に着いてからは本を探しながら編入した理由や興味のある分野、どれくらい勉強しているのかについて、普通の人には伝わらない数学用語をふんだんに使いながら話せて、物凄く楽しかったです。ほぼ初対面で数学について話しても引かない人がいるのを実感して、「あ、俺、数学科に入ったんだな」と思い、過去最低を現在記録している数学に対するモチベーションも少し回復しました。説明なしに「コンパクト空間からの連続写像が~」とか「体の有限次拡大で~」とか言っても伝わるのすげえ嬉しかった。
図書館はすごく大きく綺麗で、毎日通って入り浸ろうかなと妄想してました。あと高専の図書館とは違って、有名な数学書がどれも表紙が少し破れてところどころのページに軽いしわが残るぐらい読まれている痕跡に感動しました。すげえとこに入学しちゃったな。伊都キャンパスにあるもう一つの図書館、中央図書館にも今度いってみようかな。
時間を忘れて2時間も図書館で喋りましたが、時刻は13時。流石にお腹が空いたということで、キャンパス内にあるモスバーガーでハンバーガーを頬張りながら、入りたいサークルや趣味、編入試験の出来などの雑談をして仲を深めました。みんなサークル入ろうとしてて偉いと思った。
編入生、特に編入生が少ない技科大以外でのあるあるだと思うんですが、編入生ほぼ全員が試験のときに互いの顔をしっかりと見てる、なんなら試験前に喋ってるまであって、全員顔見知りなんですよね。なので、ガイダンスに集合した時の挨拶が「お久しぶりです」なのは編入特有のあるあるなんじゃないかと思ってます。あと、人数が少ないし全員が友達ができるか不安に思ってるので仲良くなりやすってのもあると思います。自分から友達作るの下手くそなので、マジでとても助かった。ありがとう。
おわりに
そんなわけで、高専から数学科に編入しても強制的な留年はなかったよという話でした。留年はしたかったですが、だからと言って自ら進んで留年しようとはおもってません。むしろ、留年させられなかったのなら、なるべくストレートで卒業したいなと思ってます。ただ、学費を払ってもらってる親には申し訳ないんですが「まあ留年してもしょうがないよね」という心持ちは持っておこうと思います。だって留年したかったし......サークルとか色々やりたいし......勉強むずいだろうし.....院試受かる気しないし.......。この心持ちを持つことで課題や定期試験でボコボコにされてもめげないようにはしようと思います。あと、大学のシステム何も分からん......時間かかってもいいので編入生にも新入生と同じくらい丁寧な説明お願いします。
この記事で紹介した2年生までの単位の扱いなどについては、あくまでも九大数学科の例ではありますが、ただでさえ情報が少ない編入学をこれからする方の不安を拭う一助になれれば幸いです。
EX. 編入から1年を経て
このセクションは編入のガイダンスから約1年後の2023/3/29に書かれたものです。本編から1年を経て、より詳細なことが分かったので、それらについて書き連ねます。
1. 初手留年じゃなくてよかったかもしれない
1年前は「2年次編入したかったな~」と散々言っていましたが、ここ1年を振り返ると3年次編入もなんだかんだよかったな~と思ってます。微積分(ε-δ論法とかをやるガチの奴ね)と線形代数、位相空間論については編入生特別授業があり (担当の先生によってあたりハズレはあるかもしれませんが) かなりちゃんとやってくれたので特に問題ないと思います。ただ同時期にとる3年生の選択必修の授業では、まあ当たり前ですが微積分、線形代数、位相空間論は当然のように使うので、編入試験が終わってから入学までの半年弱の時間で軽く目を通しておいたほうが良いと思います。正直自分はこの3つについてはそこそこ知っていたので、今あげた3つの分野をあまり知らない人が3年生の授業でどれくらい苦戦するかは分からないです。申し訳ない。
他の分野 (例えば初等整数論や複素関数論など) は高専ないし高校や他大学でやっているでしょうから心配ないと思います。ただ、集合論に関してはノータッチやなあなあな状態の人もいるかと思いますので、集合論に関してはいわゆる「集合と位相」の本の集合の部分だけでも読むことをおススメします (ZFCの入門書みたいなヤバい本は読まなくて大丈夫です。集合論を専攻するなど、あなたが本当に必要だと思ったら読んでください。)。
また、3年次編入でも良かったな~と思ったキッカケの一つに、2年次編入の東北大の友人は、授業が既知のものばかりでかなり暇そうだったのもあります。他の大学でもそうかもしれませんが、特に九大では3年次前期に「群・環・体論」「多様体論」「測度論」を学びます (このほか「数値計算・人工知能」と「確率・統計」に関する授業もあります)。これらの授業は位相空間論やベクトル解析による準備を終えて、伸び伸びとした大学数学を味わうことのできる、多くの人にとって楽しい分野だと思います (5つ全てがとは言わなくとも、どれか一つはお気に入りになるはずです) 。個人的には生活の中で大学に行くのが一番ワクワクする時間になるぐらい、楽しかったです。編入生向けの授業の内容についてある程度知ってるよ~という方は臆せず3年次編入するのがいいんじゃないかと思います。もちろん、2年次編入でモラトリアムを掴むのもアリですが。
2. 単位について
結論から言うと、卒業するために必要な単位数はそこまで厳しくないです。細かい話をする前に私の状況をお伝えすると、4月からは (おそらく) 大学で授業を受けなくても卒業できます。ただ、指導教員とのセミナーはする必要があるので1日も大学に行かなくていいというわけではないです。
まず、いわゆる一般科目 (九大では基幹教育科目) 46単位については上でも書いた通り、全て免除されます。第二外国語とかは取らなくていいわけですね (教養的にそれでいいのかはともかく)。
次に、1, 2年次の専門の必修科目 22単位 について、これも全て免除されます。ただし、編入生用の授業 (微積、線形、位相のやつ) は受ける必要があります。いちおう、編入生用の授業を受けなかったり、課題を出さなかったりした場合は4年生のときに再び受けることになるようです (受けてる人がいた)。まあ、よっぽどのことがなければ大丈夫です。
さらに、勘違いしていたのですが1, 2年次の専門の選択科目もいくつか認められるみたいです。私の場合は9単位認められていました (特に単位変換の申請などはしていません)。他の編入生も同じ科目が認められていたのでほとんどの場合でそうなのだと思います (編入前に取得していた単位などが関係するかもしれません)。
ここまでをまとめると、編入時点で 46+22+9 = 77単位が認められていることになります。
さらに3年次に開講される選択必修科目8つ(前期5つ、後期3つ)を全て取ると8 x 4 = 32単位 をとることが出来ます。多くの人が
この8つをとることになると思います (前期に5つとると編入生用授業も相まって少し忙しいかもしれません)。このほか、選択授業としてプログラミングに関する授業もありますが、時間割的に編入生用授業と重なって取れない可能性があります。
また、後期からは指導教員とのセミナーがあり、これで4単位出ます。
仮に選択必修科目8つをとると4年生が始まる時点で 77 + 32 + 4 = 113単位を取得できていることになります。
4年生では必修科目として1年通して指導教員とのセミナーがあります。この科目が10単位なので、ここまでで 113 + 10 = 123単位になります。
さて、九大理学部数学科で卒業に必要な単位数は 124 単位なので、4年生で取らなければならない選択科目は 1単位 であることになります。
というわけで、3年生のときにちょっと頑張って授業を受ければ、4年生の大学生活はかなり楽になります。ちなみに私は選択必修科目8つに加えて、集中講義1単位をひとつを3年生のうちに取っていたので、4年生からはセミナーさえすればいい状況になってます。とはいえ、折角大学に所属しているのに授業を受けないのはもったいないですし、色々と興味のある授業もいくつかあるので、4月からもぼちぼち授業を受けていると思います。
3. セミナー配属について
さっき述べましたが3年後期からは指導教員とのセミナーがあります。一人の教員が担当できる生徒は4人までなので、一人の教員に生徒が集中しないよう分配する必要があります。多くの大学・学部ではGPA、つまり成績を基準に希望する研究室に配属される、いわゆるGPA戦争があるわけですが、九大数学科では特にそういったことはありません。
まずそもそも、教員が多いです。具体的に言うと、生徒が1学年40人前後に対し教員は50人程度います。教員の方が多いです。なのでめったに定員を超えません。そもそも戦争の火種がないわけです。
とはいえ、教員にも人気があったり、仲のいい人が固まって一人の教員を希望したりすると定員4名を超えてしまうことがあります。そのときは話し合いで解決することになっています。話し合いの末、それでもどうしようもないときには数学科事務や教員が出てきて色々やるそうですが、よく分かりません。
ともかく、九大数学科は教員がたくさんいるので、安心してください。むしろ、先生とマンツーマンでやることになる人もそこそこいます。3年生が一人も配属されない教員も多くいます。
4. 院試について
院試はまだ受けていないので分かりません!
が、九大から内部進学する場合はそこまで苦労することはなさそうです。同級生や先輩からの噂によると1ヶ月もあれば院試の勉強は終わると言われています。まあ流石に怖いので、私は春休みが終わったら院試の勉強はスタートしようと思ってます。指導教員からも出来れば院試で1位を取ってくださいと言われてしまったので (汗)。
一方で例えば東大や京大へ外部受験する場合はかなりの覚悟が必要だと思います。東大・京大の数学科は外部からの3年次編入を取っていないので、どちらかの大学にある研究室に入りたい場合は院試を外部受験する形になりますが、その他の多くの大学では3年次編入で入ることができるので、出来る限り編入で希望の研究室がある大学に入学して、大学院は内部進学できるようにした方がいいんじゃないかと思います。
以上、編入から1年経っての感想でした。個人的にはすごく楽しい一年になりました。数学科に在籍していないのに大学数学を独学してしまうような人には九大への編入、とてもおススメできると思いました。また、私の場合は幸運にも友人関係にも恵まれて、編入生以外とも週一で自主セミナーを開いたり、一緒に軽い旅行にいったりなども出来ました。
高専からでもそうでなくても、この記事が編入を考えている方の一助になれば幸いです。