射影平面
読み:しゃえいへいめん
英語:projective plane
2次元位相多様体。埋め込み次元が4。はめ込み次元は3。
実現するために使う「入れ物」の次元が4という意味では4次元図形だ。
オイラー標数は1。向き付け不可能閉曲面としての示性数は1。
注意
研究目的や出自によっては、射影平面は、計量を入れた「柔らかくない」幾何学的対象を指す。
本ページでは計量を入れず、トポロジー的な変形を許したものとして考えている。
構成法
球面をもとにして、対蹠点どうしを同一視して得られる。
半球面または円板をもとにして、周上の対蹠点どうしを同一視して得られる。
特徴
3次元空間へのはめ込みの例として、ボーイ曲面(Boy surface)が有名。
交差帽子(cross-cap)ははめ込みではないらしい?
射影平面には6点完全グラフ$ K_6を埋め込むことができる。(平面や球面では4点が限度だった。)
ジョルダンの閉曲線定理が成り立たない。
射影幾何(射影幾何学)について
射影平面上では(適当な計量のもとで)射影幾何を行うことができ、双対原理を生かした美しい理論が展開される。
射影幾何は、通例、絶対幾何には含まれない。
線分を延長するとまるで円のように元の位置に戻ってくる。これは『原論』の第3公準「直線はどこまでも延長できる」を満たさないと考えられるからだ。
しかし、第3公準を満たすか満たさないかは言葉の解釈次第かもしれない。この曖昧さは自然言語的であって数学的ではない。現代の幾何学基礎論では「間の公理群(betweenness axioms)」に何を入れるか次第という形に置き換えることで落ち着いているようだ。
「球面幾何では2点を通る直線が一意に定まらないが、射影幾何では一意に定まる」というトリビアがある。
余談
YouTube解説動画の乏しさよ。
日本語圏ではkojocho氏がYouTube黎明期にやっていたのが最良?
kojocho2: https://youtu.be/wJ-jTvwT1Tc (2008)
ヘックスをアレンジした「オイラー・ゲッター」というペンシルゲームが考案されている。
文献
足立恒雄: 『よみがえる非ユークリッド幾何』, 日本評論社(2019), 30ページ
#曲面あり #グラフ理論