2-4.その他の関連する話題
本ページの作成日:2021/3/15
本ページの最終更新日:2021/3/15
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反転授業に関連する話題として、次の5点について紹介します。
(1) コーチング
(2) 評価
(3) アクティブなグループ学習の方法(ジグソー法)
(4) さらなる反転授業メソッド(PFLアプローチ)
(5) 反転授業に関連する参考動画
(1) 反転学習におけるコーチングについて
コーチングの応用
反転学習における学習支援では、コーチングのスキルが重要
学習者に教えるのではなく、学習者の気付きを導く
自律的な学びを促進できるコーチング
コーチングで大切な活動となる「ラポールの形成」、「適切な質問」、「承認」について基本的なスキルを使えるようになるとよい
支援者としての活動がスムーズに実施できるようになる
基本的なコンセプト:答えは相手の中に
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「聞く」スキル(傾聴スキル)
コーチングの基本は、「相手の話を聞き、学習者自らが自分の抱える問題やその解決法を見いだせるようにする」ことであり、学習者を「指導」したり、「教育」したりすることではない(これはインストラクタの役割)
学習支援者は、学習者の声を上手に「聞く」技術を持つ必要がある
具体的には、(1) 良好な第一印象、(2) ラポールの形成と維持、(3) 学習者へ適切な問いを発することができるか
ラポールの形成
ラポール(信頼関係)の形成は、リレーション(人間関係)構築の第一歩:「これからも、この学習支援者に相談したい」と思ってもらえるかどうか
ラポールの維持にとって重要なのは、 聞き手の応答が、話し手が伝えたいことと合っているかどうかではなく、 「確認」という応答行為それ自体
まず、相手の言っていることを確認(傾聴スキルを発揮)して、相手中心の対話を成立させる
質問の種類と使い分け
オープンな質問
WHAT・WHY・HOWに関する質問:「なぜ、そう考えるのか」、「どのようにすればうまくいきますか」など
答えは何種類もある
学習者の内省や、自己の探索を促す
クローズな質問
Yes、Noを求める質問
答えは1つ
学習者の決断を求める(信頼関係が必要)、事実確認
場合に応じて、どちらを使うべきか考える
学習者を承認する
承認(アクノリッジメント):相手の存在を認めること
聞くことも広い意味の承認
ほめる(具体的な成果やプロセスをあげて、はっきりとほめる)
本心からそう思える場合にだけ行う
口先だけの承認にしない。ポジティブなメッセージ
相手の立場、自分の立場、わたしたちの立場からの承認
この後で詳しく学習
相手に興味や関心を持っていることも伝える
技術1.承認の立場の使い分け
立場を明らかにして承認する
1.Youメッセージ
「あなたはこんな人だ」という承認
受けた側は評価と感じることもある
2.Iメッセージ
「自分にとってこんな影響があった」という承認→否定しようがない
3.Weメッセージ
相手も自分も含まれるグループ全体からの承認
技術2.激励の細分化・不安の活用
小さい報酬をたくさん与えるほうが、1つの大きな報酬を与えるときよりも動機づけの効果が高い
動機づけは分散した方がよい
不安を動機として活用できることがある(*)
やさしい課題の学習と記憶では高不安者の方が成績がよい。難しい課題であっても、学習が進むにつれて高不安の方が成績がよくなる
能力の高い学習者は、能力の低い学習者よりも不安から利益を得ることができる
(*) 出典:辰野千尋 (2009)科学的根拠で示す学習意欲を高める12の方法, 図書文化社
技術3.接近のモチベーションへ
人には成功への接近を求めるモチベーションと失敗したくないモチーベーションがある
失敗回避の感情が高まると、「下手にやって失敗したら困る」という気持ちが勝ってしまう
接近のモチベーションを高め、回避のモチベーションを減らす支援をする
学習者自身の進歩がわかる記録を示す
温かく、偽りなく支持されていると感じる雰囲気を作る
成功グループに属していると感じさせる など
スキルを使う前に
IメッセージやWeメッセージがわざとらしくなったり、押し付けがましくなったりしないためには、学習支援者自身のマインドセットが重要(メンタとしての心がけ(*))
頼りになる先輩のイメージ
日ごろから学習者に関心を持つ
人はみな異なっているという人間観
自分の経験や価値観を押し付けない
相手に対して誠実に
未来志向的な態度で など
(*) 出典:渡辺三枝子・平田史昭 (2006)メンタリング入門, 日本経済新聞社
(2) 評価について
評価方法を決める前に
評価(テスト・レポート課題など)作成前に確認
整合性か判別力か→絶対評価と相対評価
学習支援か最終成果か→形成的評価と総括的評価
課題の種類→測定したい能力の種類
課題のタイプ:ガニエの学習成果の分類
1.言語情報(宣言的知識)
2.知能を用いる技能
3.認知方略
4.態度
5.運動技能
出典)Gagne R.M., et. al (2005) Principles of Instructional Design (5th ed.),Wadsworth/Thomson Learning
教育評価とは
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期待目標:教育を通して形成が期待される理想像を目標として記述するもの
例:人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成(教育基本法第1条抜粋)
成果の評価:基本は測定と解釈
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パフォーマンス課題のポイント
パフォーマンス評価で難しいのは、適切なパフォーマンス課題を設定すること
パフォーマンス課題のチェックポイント
習得が期待される、中核となるパフォーマンスは何か
課題に本当に熟達した状態はどのような状態か(適切な見本があるか)
課題作成にとって必要な制約(利用可能な支援、時間、事前知識など)
課題は学生のコンピテンシー全体について妥当で一般化できる深さと広さを持っているか
評価情報を見るオーディエンスは誰か
(チェックポイントの出典)ダイアン・ハート(著)、田中耕治(監訳)(2012) 『パフォーマンス評価入門』ミネルヴァ書房
オンラインテスト
オンラインテストを自室で受けさせる場合
物理的にはどのように工夫しても不正を防げない
(レポートや口頭試問の方が公正)
心理的な不正抑止の試み
360度カメラを回転させてからカメラオンのまま実施
ランダム出題
多数の問題を提示
テスト監視ソフト
コピペ検出ソフト
(3) アクティブなグループ学習の方法(ジグソー法)
ジグソー法
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キーとなる活動
エキスパート活動
課題に答えを出すための部品となる資料作成や、自らが専門家として取り組む活動を展開
他の役割のメンバーに説明できるレベルで考えや資料をまとめる
ジグソー活動
それぞれのエキスパート活動で得た知識を組み合わせて課題に対する答えを導出
お互いの説明を理解し、納得できるまで教えあう
クロストーク
各グループの答えを比較・検討し、一般化や深化を模索する
発展的な課題にも挑戦する
メリットとデメリット
効果・メリット
全員が責任を持って参加する授業になる
納得するまで教えあうことで理解が深まる
教員の予想を超えた解に至ることもある
多様な視点があった方がよい課題解決に適している
コミュニケーション力や協調性が高まる
主体的に学ぶ姿勢が育成される
課題・デメリット
欠席者や脱落者が出た場合のフォローアップが大変
教員の準備が大変、特にコンテンツや課題の用意に手間がかかる
話し合いがまとまらないケースがある
集団的浅慮(Group Think)に陥る場合
学習者が協調の効果を納得していないとうまくいかない
ジグソーの経験不足の教員は負荷大
(4) さらなる反転授業メソッド(PFLアプローチ)
反転授業に残された課題
反転授業・MOOCs等の普及と現状
非同期分散タイプのオンラインラーニング・モバイルラーニング機会の増加・長期化
自律的に学び続ける必要
授業外学習教材のフォローアップはほとんどない
浮上している課題
学習者が自己調整学習(SRL:Self-Regulated Learning)のスキルを持つ必要がある
講義ビデオ時点でつまづくとその先に進めない
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ひとつの解決策:PFLアプローチ
PFL: Preparation for Future Learning
準備活動→動画→実習の流れ
「まず」授業外の学習活動(動画による予習など)を行うのではなく、「授業外の学習活動の準備活動」を対面で行ってから授業外の活動に入る、という枠組み
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(5) 反転授業に関連する参考動画
反転授業をさらに学びたい方のために、関連する参考動画を紹介します
国内の大学(早稲田は積極的に事例を公開しています)
海外の大学
愛媛大学理学部反転授業ワーキンググループ(2017) 反転授業の実施方法と事例集、愛媛大学