技術革新と不平等の1000年史
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要約
「うまく行った技術革新」と『独占を加速させた技術革新』の間にはどんな構造があるかを読み解く本
労働者を置き換える・その上で長時間労働を産むか
労働者をアシストし、新たな関連産業を産むか
テクノロジーによる変化はつねにわれわれとともにあったが、同時に一部の影響力を持つ人びとが、なにが誰によってなされるべきかをつねに決めてきた
文明や企業がある種のイノベーションが効果的であると確信すると、一般的な幸福をもたらすかもしれない他の種類のイノベーションの可能性を忘れがちになると述べている。
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ピンク色のハイライト | 位置: 56
AIを利用した監視という新たなパノプティコンの出現を防ぐ立法・規制改革が必要だ。 ピンク色のハイライト | 位置: 190
新たなテクノロジーは人間の能力を拡張するものであり、経済に適用されれば効率性と生産性を大きく向上させる。その後、社会は遅かれ早かれそうした利益を分かち合う方法を見つけ出し、結局はほとんどあらゆる人びとが得をすることになるという理屈
ピンク色のハイライト | 位置: 205
中世から近代にかけての農業において、 鋤 の改良、輪作の効率化、馬の利用拡大、製粉機の革新といった一連のテクノロジーの発展が見られたが、人口の九〇パーセント近くを占める農民にはほとんどなんの恩恵もなかっ ピンク色のハイライト | 位置: 1,030
レセップスは、エンジニアの大半が想像力に欠けていることに気づいた。彼らはなにができないかを語ることにあまりにも熱心だった。そこで彼は、水路を 浚渫 するための新しい装置、硬い岩を邪魔にならないよう動かす新しい方法、伝染病から身を守るための新しい方策など、大きな発想ができる専門家を探した。自分の役割は、解決策を考え、十分な資金を調達することだと思っていた。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,614
われわれが用いる最も強力なヒューリスティクスの一つは、他人から学ぶことだ。われわれは観察し、模倣する。実際、知性のこうした社会的側面は、集合知の構築という点では大きな資産となる。そのおかげで、学習と意思決定の効率的なプロセスが可能になるからだ。だが、それはまた、強者が悪用するさまざまな 脆弱性や弱点を生み出しもする。ときとして、われわれが学ぶことは自らにとって良いことではなく、他人がわれわれに信じさせたいことだという場合があるのだ。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,863
歴史もまた重要だ。いったん交渉のテーブルについて重要な問題について議論し、アジェンダに影響を与えた者は、そこにとどまる傾向がある。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,877
権力は腐敗しやすく、絶対的権力は絶対に腐敗する。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,992
アルゴリズムや金融商品、物理法則の活用法といったテクノロジーに関わるさまざまな選択は、社会的・経済的に明確な帰結をもたらす傾向があるのだから、こうした帰結を望ましい、あるいは受け入られると見なすかどうかについて、誰もが発言権を持つべきだということだ。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,994
ある企業が、群衆の顔を追跡する顔認識技術の開発を決定したとしよう。こうした人びとに製品をうまく売り込んだり、彼らを抗議行動に参加させないようにしたりするためだ。この場合、ソフトウェアの設計法を決めるのに最もふさわしいのは、その企業のエンジニアだろう。しかし、そのようなソフトウェアが設計され、活用されるべきかどうかについて発言権を持つのは、社会全体であるべき
ピンク色のハイライト | 位置: 2,171
フランスの場合、一一〇〇年から一二五〇年までの宗教施設の建設に総生産高の二〇パーセントが費やされていたという見方もある。これはきわめて高い数字だ。もし事実なら、国民を食わせるのに必要な分を除いた生産物のほぼすべてが教会建築に回されていたことになる( 10)。
ピンク色のハイライト | 位置: 2,184
さらにたちの悪いことに、修道院は税を免除されていた。修道院がますます多くの土地を持ち、経済資源をますます好き勝手にできるようになるにつれ、王や貴族はますます持ち分を失っていった。一〇八六年の段階でも農地の三分の一を教会が支配する一方で、王は全国の土地の(価値にして)六分の一を持っているにすぎなかっ
ピンク色のハイライト | 位置: 2,188
この不均衡を是正しようとする君主もいた。たとえばエドワード一世は死手法〔譲渡や売却が永久的に不可能な不動産を所有すること(「死手」)を制限しようとする法律〕 を制定し(一二七九年と一二九〇年)、これ以上の土地を王の認可なく宗教組織に寄贈するのを禁じることで、課税の抜け穴を 塞ごうとした。だが、こうした措置も大した効果は生まなかった。司教と大修道院長を究極的な支配者とする教会裁判所が法的な回避策を入れ知恵したからである。一国の君主にしても、中世の教会から収入を奪い取れるだけの力は持っていなかった。 ピンク色のハイライト | 位置: 2,272
新しいテクノロジーが生産性を上げているが、領主は追加の労働者を雇えない(もしくは雇いたくない)という状況を。それでもやはり領主としては、生産力の上がったテクノロジーにあわせて労働時間も多くしたい。ではどうすればそれがかなうのか。よくある説明には意外と出てこないのだが、一つには、強制をいっそう強めて既存の労働者からさらに労働力を搾り取るという手が
ピンク色のハイライト | 位置: 2,314
小作人の布地は修道院の水車場で加工するしかなく、そのために修道院の定めた手数料を払わなければならなくなった。
ピンク色のハイライト | 位置: 2,338
農民層の貧困については、この層がいかに強制力を行使されていたか──そして政治的、社会的な力がいかに進歩の方向から利益を受ける者を決めていたかを考えることなくしては理解できない。
ピンク色のハイライト | 位置: 3,384
労働力を節約するテクノロジーの導入が断然魅力的になるのは賃金が高いときだということ
ピンク色のハイライト | 位置: 3,613
社会的に上昇したければ、富を得る必要がある。逆に言えば、富さえ獲得できればどこまででも上り詰められる。そして急速に変化していた一八世紀のイギリス経済では、富は土地所有だけに結びついていたのではない。商売を通じてでも工場建設によってでも金は儲けられ、金が儲かればおのずと社会的地位がついてき
ピンク色のハイライト | 位置: 3,616
この比較的流動性の高い環境では、出自の地味な野心家の多くにとって、社会体系をまるごと転覆させようとするよりも、適度に修正された既存の秩序の枠内で成功を目指すほうが自然なことだった。
ピンク色のハイライト | 位置: 3,903
純粋なオートメーションがそれと異なるのは、生産高に対する労働者の貢献を増やすことがなく、それゆえ労働者を追加する必要性が生じないから
ピンク色のハイライト | 位置: 4,076
それらは、せめぎ合いながら進んだ政治・経済改革の 賜物 だった。
ピンク色のハイライト | 位置: 4,091
蒸気機関車は輸送コストを削減し、一部の仕事、たとえば馬車事業に関わる仕事を消滅させた。だが、鉄道がやってのけたことは、仕事の自動化をはるかに超えるものだった。まず第一に、鉄道の発展によって輸送業に多くの新しい仕事が生み出された。そうした仕事には、建設から切符販売、保守、エンジニアリング、経営管理に至るさまざまな技能が要求された。第五章で見たように、これらの多くの仕事を通じて、改善された労働環境と割増賃金が提供された。鉄道会社が多額の利益の一部を従業員と分かち合ったのだ。
ピンク色のハイライト | 位置: 4,126
しかし、電報や鉄道と同じく、電話は単なる自動化のテクノロジーではなかった。電話網の構築と運用は労働集約的な事業であり、広範な新しい作業や職務に頼らなければ成り立たなかった。たとえば、電話交換台の操作、保守管理、さまざまな新しいエンジニアリング作業などが欠かせなかったのだ。
ピンク色のハイライト | 位置: 4,158
ホイットニー自身は、自分の目的を「長期間の訓練と経験でしか得られない職人技、すなわちこの国では十分に保有されているとは言い難い技術を、精緻で効果的な機械の操作に置き換えることだ」と述べている( 29)。
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By: ダロン アセモグル、サイモン ジョンソン、鬼澤 忍、塩原 通緒
ピンク色のハイライト | 位置: 121
アメリカは、いかにしてイギリスの工業化が経験したラッダイト期(機械によって労働者の仕事が奪われ、賃金が伸び悩んだり下がったりした時期)を経ずに済んだのだろうか。 ピンク色のハイライト | 位置: 132
大量生産とは、機械を利用して、規格化された信頼のおけるものを低コストで大量に生産することを意味してい
ピンク色のハイライト | 位置: 991
一九七〇年代、アメリカの労働者の五二パーセントがこうした「中流階級」の職に就いていた。だが、二〇一八年にはこの数値が三三パーセントに下がった。かつてこれらの職に就いていた労働者は、建設業、清掃、調理など低賃金の仕事に追いやられることが多く、自分の賃金が下がるのを目の当たりにした。
ピンク色のハイライト | 位置: 1,744
未来の世界では、われわれは知能の限界に対するかつてなく厳しい闘いを迫られるだろう。そこは決して、ロボット奴隷にやることをやらせて気持ちよくハンモックに寝ていられる世界ではない。 ──ノーバート・ウィーナー『科学と神』 ピンク色のハイライト | 位置: 1,792
インテリジェントな機械(知能機械)も含めて、才能ある起業家が主導する新しいテクノロジーからは、ほぼ必然的に恩恵が得られるという展望が、あいにく幻想であることを論じる。
ピンク色のハイライト | 位置: 2,543
経費削減に集中しているときの組織にとって、人間を補完するタイプの機械は決して魅力的ではないのである。
ピンク色のハイライト | 位置: 3,918
ニューパブリック(New_Public)プロジェクト( 15) などがある。インターネット活動家イーライ・パリサーとタリア・ストラウド教授が創設したこのプロジェクトは、とくにテクノロジーの未来に関連する問題についての熟議とボトムアップ型参加が可能なプラットフォームとツールの開発を目指している。そして、テクノロジーを(SF作家アーシュラ・K・ル゠グウィンが強調したように)「学べばできる( 16)」豊かなものと捉える見方を促し、より分散化した発展を求めている。 ピンク色のハイライト | 位置: 4,133
データ所有権は、もともとはコンピューター科学者Jaron Lanierが提唱した考え方で、ユーザーのデータの取得法を管理すると同時に、大手テクノロジー企業がユーザーのデータをAIプログラム用の無料入力データとして集めるのを阻止できる。また、関係者の同意なしにウェブと公的記録から膨大な量のデータを集めるテクノロジー企業の力も、制限できる。データ所有権は、直接あるいは間接的に、広告に基づくビジネスモデルを妨げることさえできるかもしれない。 データ所有権には、ユーザーが自らのデータから収入を得ることを保証するという目的もある。しかし、多くのアプリケーションにとって、あるユーザーのデータと別の人のデータはかなり代替可能だ。たとえば、プラットフォームから見れば、可愛い猫を識別できるユーザーは何十万人もいて、誰がそうするかは重要でない。つまり、プラットフォームはユーザーに対して圧倒的な交渉力を持ち、ユーザーのデータに価値がある場合でさえ、データを安く買い叩ける。この問題は、データの外部性が存在する場合、さらに悪くなる。ラニアーはこの問題を認識して「データ・ユニオン(組合)」を提唱する。