イギリスのEU離脱について
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いずれも「文芸共和国」のアイディアに由来している。共通するのは、「そういうこと」を考え出す人たちがみな「貴族」だったということである。 ──
17世紀ウェストファリア条約を契機に国民国家システムが始まってからは、それぞれの国民国家は「自国益を最優先する立場と(本音)」と「ヨーロッパ全体の生き残りを優先する立場(建て前)」を二極として、その間のどこかに「おとしどころ」を求めるという仕方で国家運営をしてきた。 ──
ヨーロッパ諸国の共生という「理想主義」と「自分さえよければそれでいい」という「現実主義」を対比させての国民投票なら、あるいは結果は違ったかも知れない。だが、残留派はEUに残ることのもたらす経済的「実利」を表に出して、EUに制約されない主権国家でありたいという政治的「幻想」に屈服した。これは国民投票を仕掛けたキャメロンの失着だったと思う。
転換期において統治者に求められるのは、見晴らしのよいヴィジョンであって、目先の銭金の話ではない。そのことを日本人も「他山の石」として学ぶべきだろう。
ただ、「ヨーロッパ共同体」と「国民国家」の葛藤は今に始まった話ではない。だから、これで終わるわけでもない。