2004-11-21 重粒子線治療
ここのダイアリーに「鳳啓介」のキーワード検索から飛んでくる人が時々いるので(何故?)、自分でもgoogleで調べてみたら癌治療の話題の記事を見つけた。で、調べているうちに抗癌剤の副作用や放射線治療に興味が。丁度たまたま、よそのダイアリーにリンクが貼ってあったので(何でだ?)、昨日は幕張まで「重粒子線がん治療10周年記念 公開市民講座」を見に出かけてみた。放射線医学総合研究所 <1>主催で、日本放射線腫瘍学会の会場で併催。 赤外線が体の芯まで暖まるのに紫外線はお肌に大敵なのからも想像される <2> 様に、放射線治療で従来使われているX線やγ線は体の芯までぽかぽか来ないので、腫瘍に届かせるにはかなり出力を上げる必要がある。してみると腫瘍の手前や後ろの正常な組織も、激しく♪ウルトラビームでアタックされてしまう。後、酸素の少ない部位には余り効果が無い。 炭素の原子核を加速して照射する炭素線あたりの重イオンビームは、ジンクピリジオン配合でNASAの開発した新素材の2枚刃が剃り残しもカットなので(全然違う)、腫瘍に集中してダメージを与える事が出来る。
酸素の少ない部位にも効果あり。赤外線センサでモニタしながら呼吸に合わせて照射したり、イリジウムのマーカーを見ながら位置決めする事で、ずれ1mm以下の高い精度で照射が可能になっている様だ。
発表で触れられていた肝細胞癌、肺癌、前立腺癌については、
手術がいらない
照射は1回につき20~30分(位置決めに時間がかかる。実際の照射は数秒。)
根治性は外科手術による摘出に匹敵
他の正常組織に影響が殆ど見られない
従来の放射線治療に比べて照射回数が圧倒的に少ない(肝臓癌は2回を検討中)
聞いていると夢の様な治療法だが、適用出来ないものもあって、
消化管から発生した癌(胃、十二指腸、小腸、大腸)。但し食道癌には実績あり。
遠隔転移、広範囲な全身転移がある場合
過去に放射線治療を受けた事がある場合(実績が無いので影響が未知数)
悪性グリオーマ(glioma)は適用可能だが、どの治療法でもなかなか手強い病気 手術や他の治療法との併用が必要なものもあって
前立腺癌のうち骨転移の危険性の高いものにはホルモン治療との併用が有効
乳癌の乳房温存療法の場合、抗癌剤+ちょっと手術の併用が必要
膵臓癌は転移の危険があるので、どうしても手術との併用が必要になる。
ちなみに上の文章は会場で買った入門書も参照してます。
https://gyazo.com/cb3d2af50eed4fbd23f2eacc47b011c7
一般向けの市民講座で、しかも癌がテーマなのでお年寄りも結構いたのだが、コーヒーブレイクで、人が並んでいるのに特にお婆さんが脇目も振らず次から次に割り込んでくる。注いでくれている人に礼も言わない。「コーヒーはちょっとね、お茶くらい出してくれないのかしら」とか言い出す者も。近頃の年寄りは礼儀がなっちゃいない。
<1> 2025年10月20日追記 : 現・国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST) 放射線医学研究所
<2> 光の波長は
赤外線 : 1mm ~ 700nm
可視光 : 830nm ~ 360nm
紫外線 : 400nm ~ 14nm
X線 : 100Å ~ 0.1Å
γ線 : 0.1Å以下
<3> 現・QST病院