汎汎記憶体理論
その記憶に一定の文法規則を認め、コード化したものが仮想人格へ応用されている。 仮想人格の基礎となったチューリッヒ学派は、個人の人格について研究をおこなっているが、集団としての記憶をもつのではないかと研究しているグループが存在することは知られていない。 それは科学秘密結社の一つであり、その存在はつまびらかでない。 人間の身体には個人の記憶だけでなく、種族的集団的な記憶があるとする理論である。記憶は一身的なものでなく遺伝性を持っており、生後の経験に影響を与える。
チューリッヒ学派においては、人格は脳神経間に保存されるとするが、人格がどこに保存されているかという問題は、仮想人格が実用化されている現時点でも正確にはわかっていない。神経網全体に広がるとされているが、身体の欠損による真の人格と仮想人格の影響を研究した伯林大学のシュライヒによれば、身体の欠損部位による仮想人格の影響は無いとのことである。
ユングはその学説において集団的意識を主張した。
仇州帝国大学の正木の脳髄論によれは、人格は神経網だけでなく身体全体に存在するという。また、その人格がもつ記憶もユニバース全体に関するものという。 しかし、どの理論においても一つの身体に個人の人格が記憶されていることにかわりはない。
しかし、汎汎記憶体理論では、一身的な記憶も種族的集団的な記憶も個人の身体に属しているものではなく、外部にこそ存在しているとされる。
人間を含む世界は超時空体を源泉としており、その主体は超時空体に存在する。 超時空体に存在する祖型がユニバースとよばれる世界に表出した物質的な存在が身体であり、記憶も感情も技能もすべて超時空体に由来する。 身体と超時空体を繋いでいるものは魂と呼ばれる存在である。
汎汎記憶体理論においてヒトは受容体であり、ユニバースに表出された人格を演じているにすぎない。それは超時空体により存在・活動し、影響を受けている。
人間の身体は、ユニバースでの経験を通して超時空体にある記憶を獲得する。仮想人格はその経験を選択的・強制的に摂取するものである。
スチームパンクスは熱い魂による超時空体との繋がりにより、その力を発揮することができる。絶望とは、その関係が一時的に断たれることである。