詩学
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古代ギリシアを代表する思想家アリストテレスアリストテレス.icon著
人が作ったものから、「神の御技などの要素を棲み分けた」理想の劇作論について説明している
ニーチェ「悲劇の誕生」のエッセイのような切り口とは異なり、デザインされたものとしての劇作(特に悲劇)を論じた書物です。多分tasshi22.icon
定義
”一定の大きさを備え完結した高貴な行為の再現”
行為と人生の再現
”あわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成するもの"
「あわれみ」、不幸に値しないにもかかわらず不幸に陥る人に対して起こる
「おそれ」は、わたしたちに似た人が不幸になるときに生じる
「排泄」とか「掃除」の意味って説もあるらしい..
悲劇の種類
単一or複合的(逆転と認知を伴う優れた詩作)
性格的、苦難的
構成要素(筋・性格・語法・思想・視覚的装飾・歌曲)
再現の対象
筋・性格・思想
思想:他言葉で成し遂げられなければならないもの全て
比喩
すぐれた比喩を作ることは、類似をみてとること
ex.イアムボスの詩(悲劇の科白の部分)
優れた悲劇
出来事の部分部分は、その一つでも置き換えられたり引き抜かれたりすると支離滅裂になるように、組み立てられなければならない
最も重要なのは、出来事の組み立て
必然的であり得そうな合理的なことを求めるべき
逆転(ペリペテイア)と認知(アナグノーリシス)
変転
幸⇄不幸の状態変化
コリントスの男が、オイディプスは羊飼いの男からもらった捨て子であることを告げて、オイディプスを恐怖から解放しようとする。しかし、このことでオイディプスは父ライオースを殺害し母と結婚したことを知り、悲惨の極みに陥る
悲劇は、行為と人生の再現である
機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ deus ex machina)による解決は劇の外に置くべきである
不合理があってはいけないから
神は全知全能だけど、劇の出来事としては不合理なので登場させちゃダメ
詩と歴史の違い
歴史家は既に起こったことを語り、詩人は起こる可能性のあることを語る
詩作については、客観が必要。フィクションに合理性とリアリティーを持たせられるかが肝要と思われる
詩作は普遍的
"故"に起こることが記されている
事実ではないが論理的な必然性が重要
歴史は個別的
"後"に起こったことが記されている
cf.論理哲学論考で登場する「事態」と「事実」の識別に似ている印象tasshi22.icon 事実(歴史)を、起こりうる事態(可能性)、対象としての要素命題に展開してからが哲学の本懐
でも限界はある
詩に対する批判と解決
不可能なことが詩に書いてあったが、これは誤りである
詩作本来の目的が達成できるなら問題ない
そうあるべきものとして再現している by ソポクレス
人間をありのままの姿で再現している by ソポクレスのエウリピデス評
叙事詩と悲劇
悲劇は低俗な観客を相手とし、叙事詩は教養のある観客を相手として作られている
叙事詩の方が長いが、それ故に悲劇は叙事詩が持っている要素を全部持っている
叙事詩は悲劇と比べて統一性が少ない
1つの叙事詩から2つ悲劇が作れそう
「イリアス」「オデュッセイア」は行為がかなり統一されている
文体を磨くために苦心する必要があるのは、行為がなされず、人物の性格も思想もあらわされないようなところ