inbox-zero
Merlin Mannが発案したタスク整理法です。inboxの考え方を補強するもので、簡単に言えば「(極力)inboxの中身を空っぽの状態にしておく」というシンプルな指針です。この指針の背景には、「受信箱をタスクリストにしない」という哲学があります。 たとえば受信箱にメールが溜まってくると、いちいちタスクとしてタスクリストに登録するのではなく、受信箱にメールを置いたままにしておき、その中から次にやることを探すようになります。受信箱をタスクリストのように扱ってしまうのです。それはタスクリストが二つに分裂することを意味します。
こうなると、一つのリストを片付けているときにも、もう一つのリストのことが気になってしまい、「今自分がすべきなのはこれ」という確信が揺らぐようになってきます。危険な兆候です。
さらに、inboxはオープンリストなので、常時新しい案件が流れ込んできます。どれだけ実行してもそのリストは「終わり」にはなりません。どこかの瞬間に中身がゼロになっても、新しいメールが入ってきた途端、タスクが発生してしまいます。inboxは終わりのないタスクリストなのです。
そこで、受信箱をタスクリストとして使うのをやめ、中にあるメールを〈処理〉して、inboxを空にすることを一つのタスクに設定します。この場合の処理とは、二分でできることは実行する、タスクを見定めリストに追加する、資料だけ取り出してアーカイブする、といった行為のことです。
一旦そうしてゼロにしたら、次にinboxを処理するときまではinboxのことは考えずに、クローズしてあるタスクリストに取り組みます。これでようやくタスクの実行に「終わり」が定まります。その「終わり」の感覚は、自分が状況をコントロールしている感覚に強く影響を与えます。
常に何かが流れ込んでくるinboxに振り回されるのではなく、自分が状況に作用を与えられる主体感を取り戻すための手法。それがinbox-zeroです。
ちなみに、うまくinbox-zeroを回すためのポイントは、「そもそもinboxに入ってくるものを減らすこと」です。不必要なメールは遮断したり、あるいは何かしらの設定でinboxに入らないようにしておけば、inboxを処理する負荷は確実に下がります。
日本語の情報源では、堀正岳さんによる『Gmailで実践する「インボックス・ゼロ」』(※)がこの仕組みを詳しく、かつ現代的に解説してくれています。
■inbox-zeroの特徴
・受信箱をタスクリスト代わりに使わない
・一度ゼロにし、次回確認時まで気にしないようにする
■inbox-zeroが合う人
・作業を電子的な情報処理で実行することが多い人
・ひっきりなしにタスクが発生する人