H2-2022S-5
目標
5. 管水路の流れ(2)
摩擦以外の損失について説明できる。
内容
摩擦損失 (friction loss)
剪断応力(流体なら粘性項で発生する応力のこと)で失われる力学的エネルギのこと
管路流れなどでは、壁面摩擦力やら壁面剪断応力やらと呼ばれる
ようは壁面乱流で損失されるということだ
例:ローマの水道橋
摩擦をできるだけ少なくして、より多くの流量を流す
摩擦損失係数$ f
管路流れに対し、以下で定義される無次元数
$ f:=-\frac{2d}{\rho U^2}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
$ sは流軸上のパラメタ
$ dは管径
層流乱流に関わらず、このように定義される
別名:摩擦抵抗係数、Darcy-Weisbachの摩擦損失係数
名前の通り、摩擦損失具合を表すパラメタである
Hagen-Poiseuille流れの流速
$ v_s=\frac1{4\mu}\left(-\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\right)(a^2-r^2)
$ a:管路の半径
摩擦損失係数の定義式の圧力損失を、損失水頭$ h_l($ \rho g\mathrm{d}h_l=-\mathrm{d}P)で書き直した式をDarcy-Weisbachの式と呼ぶ
$ \frac{\mathrm{d}h_l}{\mathrm{d}s}=\frac{f}{d}\frac{U^2}{2g}
損失水頭の性質
管路長に比例する
$ \mathrm{d}h_l\propto\mathrm{d}s
長ければ長いほど、壁面摩擦でどんどんエネルギが失われる
管径に反比例する
$ \mathrm{d}h_l\propto\frac1d
とても太い管なら流れやすい
壁面から中心まで距離があるので、中心部を流れる流体に摩擦の影響が及びにくい
逆に細いチューブはネバネバした流体を流しづらい
ほとんどの流体が壁面摩擦の影響を受けてしまう
開水路の場合は、径深$ Rで$ dを置き換えた式
$ f':=-\frac{2R}{\rho U^2}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
を用いる。化学工業分野だと、これをFanning係数と呼ぶらしい
円管路の場合$ d=4Rなので、$ f'=\frac14fである
摩擦損失係数の理論式$ \left(R_e,\frac{k_s}{d}\right)\mapsto fを求める
一般に、$ fはReynolds数と相対粗度$ \frac{k_s}{d}の函数で表示される
Hagen-Poiseuille流れの場合
$ R_e=\frac{\rho Ud}{\mu}
Reynolds数の定義式
$ U=\frac1{\left(\frac12d\right)^2\pi}\int_{0\le r\le \frac12d\land0\le\theta\le2\pi} v_s r\mathrm{d}\theta\mathrm{d}r
$ =-\frac1{4\mu\left(\frac12d\right)^2}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\int_{r^2=0}^{r^2=\frac14d^2}\left(\left(\frac12d\right)^2-r^2\right)\mathrm{d}(r^2)
$ =-\frac1{\mu d^2}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\left(\frac12d\right)^2\left(\left(\frac12d\right)^2-\frac12\left(\frac12d\right)^2\right)
$ =-\frac1{8\mu}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\left(\frac12d\right)^2
より、
$ f=-\frac{2d}{\rho U^2}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
$ = -\frac{\mu}{\rho Ud}\frac{2d^2}{\mu U}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
$ = -\frac{1}{R_e}\frac{2d^2}{\mu U}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
$ \because R_e=\frac{\rho Ud}{\mu}を代入
$ =\frac{1}{R_e}\frac{16d^2}{U}\frac{-1}{8\mu}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}
$ =\frac{1}{R_e}\frac{64}{U}\frac{-1}{8\mu}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\left(\frac12d\right)^2
$ =\frac{64}{R_e}
$ \because U=-\frac1{8\mu}\frac{\mathrm{d}P}{\mathrm{d}s}\left(\frac12d\right)^2を代入
$ \underline{\therefore f=\frac{64}{R_e}\quad}_\blacksquare
$ R_eのみの函数となる
乱流の場合
対数分布則より求めた式に、実験による補正項を導入した式がある
滑面域
$ R_e\mapsto f
後で書く
粗面域
$ \frac{ks}{d}\mapsto f
あとでかく
粗滑遷移域
$ \left(R_e,\frac{k_s}{d}\right)\mapsto f
あとでかく
対数グラフ
乱流の$ \left(R_e,\frac{k_s}{d}\right)\mapsto fはかなり複雑なので、水理学ではMoody図表で簡単に求める
『明解水理学』だとNikuradse-Colebrook図表もしくはColebrook-Rouse図表と呼ぶのが、当時の経緯から考えて妥当なようだ
摩擦以外の損失として、形状損失がある
管路の形状が変わることで発生する
形状変化時に剥離流や2次流が発生する
剥離流:急拡大したときに、形状変化についていけず角の部分で渦が生じる
2次流:水管橋の曲がっている箇所などで、中心力が働くことによる流れ
流入損失
流出損失
#2022-10-14 14:19:29
#2022-10-13 09:56:40
#2022-08-09 10:39:11