財政のしくみがわかる本
財政のしくみがわかる本
神野直彦
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そうした伝統主義と市場主義の組みあわせは、市場が小さかったときには伝統的な家族やコミュニティの機能が大きく残っているので、小さな政府でも大きな共同体、伝統的な共同体が残っているので機能します。しかし、現在のように、労働市場にみんなが働きにいくという時代になってくると、共同体は小さくなり、家族の機能は小さくなってしまいます。そこを伝統主義にゆだねようとすると、結局のところ、伝統としての国家の暴力機構、強制力を強化する道しかなくなって、産業構造を大きく知識社会の方向に転換していくことすらも不可能にしかねないことになります。
目次
1 財政って何だろう
「財政」ということば/江戸時代に共同の財布はあったか/財政が成り立つ条件/など
2 予算って何だろう
予算は一つでなければならない/決算はかならず黒字になる/予算編成のしくみ/など
3 税はどんなしくみになっているのだろう
租税を成立させる三要素/なぜ税を課することができるのか/複税制度/など
4 どんなところにお金を使っているのだろう
戦前の使い道・戦後の使い道/何を買っているのだろう/ニーズとウォンツ/など
5 借金はどうなっているのだろう
財政は家計に近い/誰から借金をしているのだろう/国の借金と自治体の借金/など
6 国と自治体の関係
補完性の原理/財政の決定権をもたない自治体/機関委任事務/など
7 いま財政がかかえる問題
社会的危機と財政の関係/格差社会をもたらしているもの/など
8 財政の未来像をえがく
地域で共同の意思決定をする/財政を民主主義の手にゆだねる/など