石油レント
石油レント
第15章 世界的な資本税
石油レントの再分配
レント収入(ランティエ、すなわち、土地による天然資源収入等の非稼得性から見出され国家に直接的に流入する利益)に依存する国のことである。
松尾昌樹
レンティア国家と呼ばれる諸国の多くは産油国であるが,“レンティア国家”と“産油国”は基本的に別のカテゴリーである。世界の石油生産の状況を考慮すれば,レンティア国家が必ずしも産油国とイコールではないことが理解できる(表2)。産油国の上位10カ国までに含まれるアメリカ,ロシア,中国,ノルウェー,イギリスといった産油国がレンティア国家と呼ばれることはない。レンティア国家論の理論の中心的役割を担うのは,レント(rent)である。かつてレントという用語は…地代 と訳されることが多かったが,現在までにその概念の適用範囲が土地から得られる利益以外に大きく拡大しているので,広く用いられているように,ここでもレントと記述しても差し支えないと思われる。
https://gyazo.com/5be9dece7e61705cb93e434ba580cdd6
そうは言っても、ロシア、世界第2位の石油産出量(2002年)
https://gyazo.com/221effdb5985a8e1a38df2a6a7dfc4a1
田畑伸一郎
ロシア経済の発展を考えるために,その強さと弱さを考察した.強さとしては,豊富な資源,石油・ガスのレントを中央に確保する財政制度,地域との関係における強固な中央集権制度の3点,弱さとしては,オランダ病による製造業の不振,低い投資率,不十分な対外経済開放の3点を指摘した.強さも弱さも豊富な資源に起因するものであることから,近い将来に成長率を3%以上にまで引き上げるのはなかなか難しいという結論を述べた.