21世紀の資本
21世紀の資本
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「本書の答えは、これまでの研究者が使えたものよりもはるかに広範な、長期的で比較可能なデータに基づいた答えとなっている…格差の根底にある仕組みについて、もっと深い理解を与えてくれるような、新しい理論的な枠組みに基づいたものでもある」
「1970年代以来、所得格差は富裕国で大幅に増大した。特にこれは米国に顕著だった。米国では、2000年代における所得の集中は、1910年代の水準に戻ってしまった——それどころか、少し上回るほどになっている」
「私の理論における格差拡大の主要な力は、市場の不完全性とは何ら関係ない…その正反対だ。資本市場が完全になればなるほど、資本収益率 r が経済成長率 g を上回る可能性も高まる」
「格差の問題を経済分析の核心に戻して、19世紀に提起された問題を考え始める時期はとうに来ているのだ」
「あらゆる市民たちは、お金やその計測、それを取り巻く事実とその歴史に、真剣な興味を抱くべきだと思える…数字との取り組みを拒絶したところで、それが最も恵まれない人の利益にかなうことなど、まずあり得ないのだ」
目次
謝辞
はじめに
データなき論争?
マルサス、ヤング、フランス革命
クズネッツ曲線——冷戦さなかのよい報せ
分配の問題を経済分析の核心に戻す
本書で使ったデータの出所
本研究の主要な結果
格差収斂の力、格差拡大の力
格差拡大の根本的な力——r>g
本研究の地理的、歴史的範囲
理論的・概念的な枠組み
本書の概要
第 I 部 所得と資本
■第1章 所得と産出
長期的に見た資本-労働の分配——実は不安定
国民所得の考え方
資本って何だろう?
資本と富
資本/所得比率
資本主義の第一基本法則——α=r×β
国民経済計算——進化する社会構築物
生産の世界的な分布
大陸ブロックから地域ブロックへ
世界の格差——月150ユーロから月3000ユーロまで
世界の所得分配は産出の分配よりもっと不平等
収斂に有利なのはどんな力?
■第2章 経済成長──幻想と現実
超長期で見た経済成長
累積成長の法則
人口増加の段階
マイナスの人口増加?
平等化要因としての人口増加
経済成長の段階
購買力の10倍増とはどういうことだろう?
経済成長——ライフスタイルの多様化
成長の終わり?
年率1パーセントの経済成長は大規模な社会変革をもたらす
戦後期の世代——大西洋をまたぐ運命の絡み合い
世界成長の二つの釣り鐘曲線
インフレの問題
18、19世紀の通貨大安定
古典文学に見るお金の意味
20世紀における金銭的な目安の喪失
第 II 部 資本/所得比率の動学
■第3章 資本の変化
富の性質——文学から現実へ
イギリスとフランスにおける資本の変化
外国資本の盛衰
所得と富——どの程度の規模か
公共財産、民間財産
歴史的観点から見た公共財産
イギリス——民間資本の強化と公的債務
公的債務で得をするのは誰か
リカードの等価定理の浮き沈み
フランス——戦後の資本家なき資本主義
■第4章 古いヨーロッパから新世界へ
ドイツ——ライン型資本主義と社会的所有
20世紀の資本が受けた打撃
米国の資本——ヨーロッパより安定
新世界と外国資本
カナダ——長きにわたる王国による所有
新世界と旧世界——奴隷制の重要性
奴隷資本と人的資本
■第5章 長期的に見た資本/所得比率
資本主義の第二基本法則——β=s/g
長期的法則
1970年代以降の富裕国における資本の復活
バブル以外のポイント——低成長、高貯蓄
民間貯蓄の構成要素二つ
耐久財と貴重品
可処分所得の年数で見た民間資本
財団などの資本保有者について
富裕国における富の民営化
資産価格の歴史的回復
富裕国の国民資本と純外国資産
21世紀の資本/所得比率はどうなるか?
地価の謎
■第6章 21世紀における資本と労働の分配
資本/所得比率から資本と労働の分配へ
フロー——ストックよりさらに推計が困難
純粋な資本収益という概念
歴史的に見た資本収益率
21世紀初期の資本収益率
実体資産と名目資産
資本は何に使われるか
資本の限界生産性という概念
過剰な資本は資本収益率を減らす
コブ=ダグラス型生産関数を超えて——資本と労働の分配率の安定性という問題
21世紀の資本と労働の代替——弾性値が1より大きい
伝統的農業社会——弾性値が1より小さい
人的資本はまぼろし?
資本と労働の分配の中期的変化
再びマルクスと利潤率の低下
「二つのケンブリッジ」を越えて
低成長レジームにおける資本の復権
技術の気まぐれ
第 III 部 格差の構造
■第7章 格差と集中──予備的な見通し
ヴォートランのお説教
重要な問題——労働か遺産か?
労働と資本の格差
資本——常に労働よりも分配が不平等
格差と集中の規模感
下流、中流、上流階級
階級闘争、あるいは百分位闘争?
労働の格差——ほどほどの格差?
資本の格差——極端な格差
20世紀の大きなイノベーション——世襲型の中流階級
総所得の格差——二つの世界
総合指標の問題点
公式発表を覆う慎みのベール
「社会構成表」と政治算術に戻る
■第8章 二つの世界
単純な事例——20世紀フランスにおける格差の縮小
格差の歴史——混沌とした政治的な歴史
「不労所得生活者社会」から「経営者社会」へ
トップ十分位の各種世界
所得税申告の限界
両大戦間の混沌
一時性のショック
1980年代以降のフランスにおける格差の拡大
もっと複雑な事例——米国における格差の変容
1980年以降の米国の格差の爆発的拡大
格差の拡大が金融危機を引き起こしたのか?
超高額給与の台頭
トップ百分位内の共存
■第9章 労働所得の格差
賃金格差——教育と技術の競争か?
理論モデルの限界——制度の役割
賃金体系と最低賃金
米国での格差急増をどう説明するか?
スーパー経営者の台頭——アングロ・サクソン的現象
トップ千分位の世界
ヨーロッパ——1900-1910年には新世界よりも不平等
新興経済国の格差——米国よりも低い?
限界生産性という幻想
スーパー経営者の急上昇——格差拡大への強力な推進力
■第10章 資本所有の格差
極度に集中する富——ヨーロッパと米国
フランス——民間財産の観測所
世襲社会の変質
世襲中流階級の出現
米国における富の不平等
富の分岐のメカニズム——歴史におけるrとg
なぜ資本収益率が成長率よりも高いのか?
時間選好の問題
均衡分布は存在するのか?
限嗣相続制と代襲相続制
民法典とフランス革命の幻想
パレートと格差安定という幻想
富の格差が過去の水準に戻っていない理由は?
いくつかの部分的説明——時間、税、成長
21世紀——19世紀よりも不平等?
■第11章 長期的に見た能力と相続
長期的な相続フロー
税務フローと経済フロー
三つの力——相続の終焉という幻想
長期的死亡率
人口とともに高齢化する富——μ×m効果
死者の富、生者の富
50代と80代——ベル・エポック期における年齢と富
戦争による富の若返り
21世紀には相続フローはどのように展開するか?
年間相続フローから相続財産ストックへ
再びヴォートランのお説教へ
ラスティニャックのジレンマ
不労所得生活者と経営者の基本計算
古典的世襲社会——バルザックとオースティンの世界
極端な富の格差は貧困社会における文明の条件なのか?
富裕社会における極端な能力主義
プチ不労所得生活者の社会
民主主義の敵、不労所得生活者
相続財産の復活——ヨーロッパだけの現象か、グローバルな現象か?
■第12章 21世紀における世界的な富の格差
資本収益率の格差
世界金持ちランキングの推移
億万長者ランキングから「世界資産報告」へ
資産ランキングに見る相続人たちと起業家たち
富の道徳的階層
大学基金の純粋な収益
インフレが資本収益の格差にもたらす影響とは
ソヴリン・ウェルス・ファンドの収益——資本と政治
ソヴリン・ウェルス・ファンドは世界を所有するか
中国は世界を所有するのか
国際的格差拡大、オリガルヒ的格差拡大
富裕国は本当は貧しいのか
第 IV 部 21世紀の資本規制
■第13章 21世紀の社会国家
2008年金融危機と国家の復活
20世紀における社会国家の成長
社会国家の形
現代の所得再分配——権利の論理
社会国家を解体するよりは現代化する
教育制度は社会的モビリティを促進するだろうか?
引退の将来——ペイゴーと低成長
貧困国と新興国における社会国家
■第14章 累進所得税再考
累進課税の問題
累進課税——限定的だが本質的な役割
20世紀における累進税制——とらえどころのない混沌の産物
フランス第三共和国における累進課税
過剰な所得に対する収奪的な課税——米国の発明
重役給与の爆発——課税の役割
最高限界税率の問題再考
■第15章 世界的な資本税
世界的な資本税——便利な空想
民主的、金融的な透明性
簡単な解決策——銀行情報の自動送信
資本税の狙いとは?
貢献の論理、インセンティブの論理
ヨーロッパ富裕税の設計図
歴史的に見た資本課税
別の形態の規制——保護主義と資本統制
中国での資本規制の謎
石油レントの再分配
移民による再分配
■第16章 公的債務の問題
公的債務削減——資本課税、インフレ、緊縮財政
インフレは富を再分配するか?
中央銀行は何をするのか?
お金の創造と国民資本
キプロス危機——資本税と銀行規制が力をあわせるとき
ユーロ——21世紀の国家なき通貨?
欧州統合の問題
21世紀における政府と資本蓄積
法律と政治
気候変動と公的資本
経済的透明性と資本の民主的なコントロール
■おわりに
資本主義の中心的な矛盾——r>g
政治歴史経済学に向けて
最も恵まれない人々の利益
索引、原注、図表一覧
図表、補遺、ただし PDF データ