人間性心理学
人間性心理学
人間性心理学(にんげんせいしんりがく、英: humanistic psychology)とは、主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を強調した心理学の潮流である。ヒューマニスティック心理学とも呼ばれる。それまで支配的であった精神分析や行動主義との間に1960年代に生まれた第三の心理学とされる。
精神分析や行動主義との間
提唱者であるアブラハム・マズローは、精神分析を第一勢力、行動主義を第二勢力、人間性心理学を第三勢力と位置づけた。人間性心理学は人間性回復運動の支柱ともなった。また後に、人間性心理学に続きトランスパーソナル心理学が登場する。 精神分析を第一勢力、行動主義を第二勢力、人間性心理学を第三勢力と位置づけ
人間性心理学は、機械論的で物質主義的な傾向へ反論する精神によって生じたとされている※1。行動主義的心理学は人間性を一面的にしか見ておらず、また、精神分析のほうは、意識の役割を軽視していたため、決定論的になりすぎていた※1。それらへの反論として提唱された学問である。
マズローが人間性心理学を唱えた背景には、それまで第一勢力であった行動主義では人間と他の動物を区別せず、第二勢力とした精神分析では人間の病的で異常な側面を研究しており、どちらも正常で健康な人間を対象とする視点が欠如しているという思いがある※1。
※1
サトウタツヤ、高砂美樹『流れを読む 心理学史』有斐閣、2003年