ミメーシス:ヨーロッパ文学における現実描写
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写
文芸的描写を模倣(ミメーシス)による現実の解釈と定義し、ヨーロッパ文芸における描写の移り変わりを研究した。題材とした文献の範囲は3000年近くにわたり、文学史のみならずヨーロッパの人間観の変化を描いた内容となっている。アウエルバッハがこの主題に関心をもったきっかけとして、プラトンの『国家』におけるミメーシスの議論、およびダンテによる喜劇についての主張をあげている。 本書の大半は、著者がナチスの迫害によってイスタンブールへ逃れ、トルコ国立大学(のちイスタンブール大学)の教授だった時代に執筆されている。第二次世界大戦中に書かれたため、この著作が、ヨーロッパの歴史に愛情を持つ人々を再び結ぶよすがとなることを願う一文もある
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ミメーシス(英語: Mimesis (mɪˈmiːsɪs, mə-, maɪ-, -əs); 古代ギリシア語: μίμησις mīmēsis)とは西洋哲学の概念の一つ。直訳すれば「模倣」という意味であり、人・物の言葉・動作・形態の特徴を模倣することによってその対象を如実に表現しようとする行為。ミーメーシス、ミメシスとも。 プラトンが、詩人たちが行う「模倣」としての「詩作」を、「弁論術」や「ソフィストの術(詭弁術)」と同じように、対象についての知識・技術を持ち合わせないまま、大衆の感覚・感情・快楽に訴えて誘導することを目的としたものとして批判的に捉え、あるべき国家からは追放することが望ましいとすら主張した(詩人追放論)。 それに対し、アリストテレスは「模倣」は人間の本性に根ざした自然な行為だとして肯定的に捉えた
Chapter6 街頭演劇――ミステリー劇
演劇が、本当に生まれたのはどこだろう。アリストテレスにたずねれば、子供を見よと答えたことだろう。それは人間がそもそもそのようにできているということだ。人間は演劇的な生き物なのだ。アリストテレスはその偉大な批評書『詩学』の第3章で、次のように記している。 「模倣は、幼少から人間が自然に行うものであり、人間は世界で一番、真似をしたがる生き物である点で下等動物よりも優れているのであり、人はまず模倣によって学ぶのである。誰もが模倣の作品を喜ぶのも自然なことだ。」
「模倣」(ミメーシス)という語が意味するのは「演技」である。