グローバル・ヘルス法
グローバル・ヘルス法
国際的な保健協力が目指す「健康」とは何か。その実現のために、どのような法や制度が創出されてきたのか。従来の国際法学を超えて、「社会医学」と「生物医学」の対抗関係を軸に、現在の世界保健機関(WHO)にいたるグローバルな「健康」体制のあり方を問い直す。パンデミックの時代に必読の書。
目 次
序 章
1 グローバル・ヘルス法という概念
2 従来の研究
3 本書の構成
第1章 国際防疫協調体制
—— 19世紀後半から第一次世界大戦まで
はじめに
1 国際衛生会議
2 検疫隔離措置をめぐる論争
3 国際組織の設立
1)コンスタンティノープル・アレクサンドリア衛生委員会
2)国際公衆衛生事務所(OIHP)
3)汎米衛生局(PASB)
おわりに
第2章 国際保健協力の登場
—— 戦間期
はじめに
1 国際連盟体制下の国際的な保健組織
1)連盟保健機関
2)ロックフェラー財団・国際保健部門
2 技術的手段による感染症の克服(生物医学的保健理念)
1)ゴーガスによる黄熱病の根絶
2)ロックフェラー財団・国際保健部門による感染症根絶事業
3 社会的要因への着目(社会医学的保健理念)
1)農村衛生
2)大恐慌の下での栄養研究
3)中国における保健協力
おわりに
第3章 世界保健機関の理念と構造
はじめに
1 世界保健機関(WHO)の創設
1)第二次世界大戦後に向けた国際保健協力の始動
2)世界保健機関の設立準備
2 世界保健機関憲章
1)前文 —— 健康(health)の理念
2)構成国・領域
3)組 織
4)地域機関
5)他の国際組織との関係
おわりに
第4章 世界保健機関の下での国際保健協力
はじめに
1 国際防疫協調
1)国際衛生(保健)規則の採択
2)国際衛生(保健)規則の特徴
3)(旧)国際保健規則の概要
4)実効性の欠如とその対策
2 国際標準の設定
1)拘束的な規則採択による国際標準設定
2)勧告的な総会決議による国際標準設定
3)その他の国際標準設定
3 感染症の根絶
1)背 景
2)マラリア根絶事業
3)天然痘根絶事業
4 プライマリ・ヘルス・ケア
1)包括的保健政策の復権
2)アルマ・アタ宣言
3)選択的プライマリ・ヘルス・ケア
5 「家族計画」から「リプロダクティヴ・ライツ」へ
1)「人口問題」の登場
2)「家族計画」
3)政治争点化
4)リプロダクティヴ・ライツ
6 HIV/エイズと人権アプローチ
1)対策の遅れ
2)差別に対する取り組み
3)人権アプローチの発展
4)WHOの後退
おわりに
第5章 グローバル・ヘルスの模索
はじめに
1 1990年代危機
1)新自由主義の時代
2)保健政策をめぐる対立
3)3つの危機
2 公私パートナーシップ(PPP)の発展
1)改革の始動
2)治療薬へのアクセスと知的所有権
3)公私パートナーシップ
3 新興・再興感染症と新国際保健規則
1)国際保健規則改正の背景
2)新国際保健規則(2005年)
4 タバコ規制枠組条約
1)タバコ規制枠組条約の成立
2)タバコ規制枠組条約の概要
3)タバコ規制と国際経済法
おわりに
終 章 パンデミックの時代に
参考文献
あとがき
索 引
https://gyazo.com/ea4c6e6578bf578e081057eacd1ce10f