エリザベス・アンスコム
エリザベス・アンスコム
ガートルード・エリザベス・マーガレット・アンスコム (英: Gertrude Elizabeth Margaret Anscombe、1919年3月18日 - 2001年1月5日)は、イギリスの哲学者。夫ピーター・ギーチとともにヴィトゲンシュタインに学び、彼から深い信頼を得て、『哲学探究』などの著作を英訳するとともに、彼の死後、遺稿管理人の一人に選任される。ウィトゲンシュタインの後任としてケンブリッジ大学哲学教授となった。 彼女はヴィトゲンシュタインのお気に入りの弟子かつ彼の最も親しい友の一人となった。彼が一般的に女性の大学人を嫌っていたことの例外として、ヴィトゲンシュタインはアンスコムに愛称「老人(old man)」を用いて好意的に言及している。彼女が自分の思想を正しく理解しているとヴィトゲンシュタインが信頼していたことは彼が彼女を『哲学探究』の翻訳者に指名したことからわかる。指名されたとき彼女はドイツ語を習得しておらず、ヴィトゲンシュタインは彼女のドイツ語習得のためにウィーンに住居を用意した
アンスコムは1947年にヴィトゲンシュタインがケンブリッジを去って後もたびたび彼を訪問し、1951年ケンブリッジで彼が死の淵にあるころにも彼を見舞った。ヴィトゲンシュタインは彼女をラッシュ・リーズやゲオルグ・フォン・ウリクトともども遺著管理者に指名した。1951年に彼が没したのちに、アンスコムはヴィトゲンシュタインの草稿・遺稿の編集・翻訳・公刊の責任を負った。 ヴィトゲンシュタインに関して
彼女はヴィトゲンシュタインの1921年の著作『論理哲学論考』について『ヴィトゲンシュタイン『論考』入門』(1959)を書いた。同書の中で彼女はヴィトゲンシュタインの思想に対するフレーゲの影響の重要さを前面に押し出し、論理実証主義者たちの『論考』解釈を批判した。
彼女はラッシュ・リーズとともにヴィトゲンシュタインの死後二冊目に出された『哲学探究』(1953年)の編纂を行った。同時に彼女による同書の英訳が出版され、今でも標準となっている。
また、彼女はヴィトゲンシュタインの遺稿から数巻にわたる選集を編纂し、例えば『数学の基礎』(1956)のようにそのうちのいくらかを英訳した。
書誌
Intention (1957), ISBN 978-0674003996
An Introduction to Wittgenstein's Tractatus (1959), ISBN 978-1890318543
Three Philosophers (1961), with P. T. Geach, on Aristotle, Aquinas and Frege
An Introduction to Wittgenstein's Tractatus