ウィトゲンシュタインの「分節化」
事実を分解して対象を取り出すことを「分節化」と言う
事実を分解して、その構成要素である対象を取り出すことは「分節化」と言われます。
野矢茂樹『言語哲学がはじまる』第5章 論理哲学論考の言語論
https://gyazo.com/0bd216a72bfc6ceb8a2fc9915f34297a
野矢茂樹『言語哲学がはじまる』読了した。
フレーゲ、ラッセルときて一番最後にウィトゲンシュタインで、そこでやっと「分節化」が出てきた。すごい遠回りをしている。意図的に遠回りしているわけだが。
そして次にどこへ進むかまた決めあぐねている。積読山脈は物理も Wishlist もだいぶ高く積み上がっているけど。
操作と基底
まず『論考』から話そう。その一点とは、「操作と基底」である。ここから全体が捉えられる。そのことに確信をもてたとき、私は『論考』が読めたと思った。それは、私にとって大きな知的興奮だった。
操作と基底について、少し説明しよう。
事実の総体が、この現実世界である。事実から対象を分節化し、対象を語で表わす。その語を組み合わせて要素命題が作られる。要素命題は可能な事態を表現するから、要素命題の総体は現実世界を含む可能な世界のあり方の全体を表わしたものとなる。これが論理空間を形成する。そして論理はこの論理空間上での操作として捉えられる。例えば命題Aの否定は、論理空間上において命題Aが真となる領域以外の領域を取り出す、すなわち与えられた領域を反転させる操作となる。その操作が施される基底を形成するのが、要素命題である。
それに対して基底となる要素命題は、何が事実であり、そこからどのような対象が分節化されるかに依存している。それゆえ要素命題の総体、すなわち「語りうるもの」の総体は、私がどのような事実を経験しているかに依存している。
さらに、ソシュールは、音韻においても、概念においても、差異だけが意味を持ち、その言語独特の区切り方を行っていると主張する。 まず、音韻について言えば、たとえば日本語では、五十音で音を区切っている。そして、「ア」の音は、「ア」以外の音(イ、ウ、エ、オ、……)ではないものとして意味を持つ。そして、音の区別の仕方は、言語によって異なる。たとえば、日本語の音韻体系においては、英語における「r」と「l」にあたる音の区別がない。つまり、本来ならば、無限に分類できるさまざまな音を、有限数の音に分類する。そして、各言語の話者族は、それぞれ独自のやり方で(つまり、普遍的ではないやり方で)音を区分けしている。これは、"言語の音声面での恣意性"と表現される。
一方、音韻だけではなく、概念も言語によって区切られている。たとえば、「イヌ」という言葉の概念は、「イヌ」以外のすべての概念(ネコ、ネズミ、太陽、工場、川、地球……)との差異で存立している。このように、人間は、「シーニュ」という「概念の単位」によって、現実世界を切り分けているのである。そして、その切り分け方は、普遍的ではない。たとえば、日本語では虹の色を「七色」に切り分けているが、それを「三色」に切り分ける言語もある。つまり、色を表す言葉の数によって、虹の色の区切り方が違うのである。また、日本語では「マグロ」と「カツオ」を別の言葉で表現するが、英語では両方とも"tuna"である。これは、それぞれの言語を話す人々は、どの差異を区別し、どの差異を無視するかということを恣意的に選択しているのである。そして、その選択がその言語に固有の語体系を作るのであり、その語体系は、その言語の話者族に、現実世界を与える。ソシュールは、この語体系の固有性を作り出す側面を"価値"と呼んでいる。価値は、話者族の恣意による。たとえば、英語のsheepとフランス語のmoutonは、意義は同じであるが、価値は異なる。ここにおいて、ソシュールは、「各民族語は、相互に異なる固有の世界像を持つ」という言語相対論を提唱した。 このように線引きの集まりを恣意的に作るという行為は、分節と呼ばれる。そして、人間は、「現実世界の認識の体系」と「言葉を構成する音の体系」という二つの体系を"分節"によって作りあげているのである。これを二重分節という。 一般言語学講義(フランス語: Cours de linguistique générale)は、フェルディナン・ド・ソシュールが1906年から1911年にかけて行った講義の内容を、シャルル・バイイとアルベール・セシュエが編集し出版された本である。ソシュールの死後1916年に出版され、20世紀前半にヨーロッパ、アメリカで栄えた構造主義言語学の起こりと一般にみなされている。 これも20世紀だった
第1章「言語・音楽・表記法」
発話と歌の区別
記述と発話を対比
「分節化」という言葉はソシュールが最初に使ったぽいけど、ウィトゲンシュタインの使った「分節化」と関係あるのか、関係ないのか、わからない よくわかっていないので切り出せない。まるまるコピーするしかない
目次
B 意味の全盛期