習慣 という語と habit という語の間には違いがある
習慣 という語と habit という語の間には違いがある
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とはいえ、ラテン語のハビトゥスに語源をもつ「習慣(habit)」という概念は、日本語での印象に比べ、はるかに深い含意があるの も間違いない。例えば不治の病に苦しみながら、カトリック作家としてアメリカ南部で独自の文享世界を築いた女性作家フラナリー·オコナーは、フランスの思想家ジャック·マリタンの「芸術の習慣」に言及しつつ次のようにいう。「習慣は、人格全体に深い根を下したものであるはずである。(中略)長い時間をかけて、経験をとおして養われなくてはならない」。
さらに、中世哲学の研究者である山内志朗は「習慣」を和語の「ならい」に引きつ けて論じた上で、ラテン語のハビトゥスとの異同を論じている。「ハビトゥスには日本語でいう習慣よりも言葉の意味に奥行きがあり、身体や精神を座としてそこに根づき、消滅し難く備わっている能力であり、行為を結果として直接生み出す基体なのである「う)」
このようにいう山内は、ハビトゥスこそが「人柄」を培う基盤であるとも論じている。
このように、習慣という言葉は、単にパターン化した行動様式を意味するのではない。むしろ、時間をかけて形成され、身体化されたものであり、「人格」や「人柄」を映し出すものでもある。
中世哲学への深い愛着を示したジェイムズやチャールズ・サンダース・パースらは、このような意味での習慣を継承しつつ、独自のプラグ マティズ ム的解釈を加えたといえる。そしてそのような意味での習慣を、さらには社会変革に向けての挺子として活用したことにこそ、彼らの哲学的営為の真骨頂をみることができよう。
新明解国語辞典
2) その国(地方)の人が普通の事として行っている、生活上の様式、風習
1) いつもそうする事がその人の決まりになっていること
Origin habit (1100-1200) Old French Latin habitus “condition, character”, from habere “to have”