オッカムのかみそり : 最節約性と統計学の哲学
オッカムのかみそり
https://gyazo.com/ba3c4e8572b408653d29ea966aa30604
哲学だけでなく科学や日常生活など多様な場面で利用される「オッカムのかみそり」。だが使い方はさまざまで、どう単純ならばよいのかはっきりしない。そんなオッカムのかみそりの歴史をひもとき、なぜ単純がよいのかを探り、使用法を各種紹介しつつ、統計学の哲学の観点から捉えなおす。「統計学の哲学」への手引きとなる1冊。
目次
はじめに
謝辞
第1章 最節約性に関する一切れの歴史──アリストテレスからモーガンまで
命名式
地球中心説と太陽中心説の宇宙論
過剰な原因という贅沢を避けることについてのニュートンの考え 結び
第2章 確率論的転回
2つの確率論の哲学
確率論入門とベイズ主義の基礎
ベイズ主義者にとってのオッカムのかみそり
2種類の事前確率
ジェフリーズの単純性の公準
ジェフリーズの公準に対するポパーの反論
ポパーによる単純性の特徴づけ
最節約性と非一番手の事前確率
尤度と共通原因
類似性について
ライヘンバッハに関する3つの区別
ベイズ主義的なオッカムのかみそり
頻度主義と調節可能パラメータ
唯一の結果に対して原因はいくつあるか
ベイズモデル選択
モデル選択の世界
2つの最節約性パラダイムの違い
なぜ偽のモデルが真のモデルよりも予測の精度が高く(かつ真理に近く)なる場合があるのか
2つの最節約性パラダイムの共通点
結び
第3章 進化生物学における最節約性──系統学的推論
共通祖先
ちょっとした歴史
オッカムがマルコフに出逢う
忠実に反映することを含意する2つのモデル
共有原始形質
スミス/コックドゥードル定理
祖先の形質状態を推定する──忠実に反映しない2つの事例
別の規準──統計的一致性(statistical consistency)
さらに別の規準──最節約性が当て推量(guessing)よりも信頼できるのはどのような場合か
先へ進むことともとへ戻ること
葉の形質状態を推定する──擬人主義と比較心理学
新旧の最節約性
結び
付録3.1 共有派生形質1-1-0が(XY)ZをX(YZ)よりも支持し、共有原始形質0-0-1も同じくそれを支持し、かつ最節約性に統計的一致性があることの十分条件
付録3.2 共有派生形質が共有原始形質よりも近縁性の強い証拠となる条件
付録3.3 (P(ヒトにMがある|チンパンジーにMがない))/(P(ヒトにMがある|チンパンジーにMがある))を1よりも非常に大きくする条件
第4章 心理学における最節約性──心を読むチンパンジー
実験
対立する解釈
ホワイトンの矢印
2つの最節約性パラダイム
ブラックボックスからの教訓
遮断を一切引き出さない、心を読む別のモデル
学習と遮断
連関、相関、検定
最節約性再訪
遮断に関係しないチンパンジーの相互比較
行動主義と心理主義
結び
第5章 哲学における最節約性
さまざまな自然主義
無神論と悪の問題
証拠の不在と不在の証拠
心身問題
心的なものの因果作用
道徳実在論
遮断についての誤解
数学についての唯名論とプラトン主義
結び
参考文献
訳者あとがき
索引
朝からずっと “〆切様” が背後に取り憑いていたのだが,先ほどやっとエリオット・ソーバー[森元良太訳]『オッカムのかみそり : 最節約性と統計学の哲学:最節約性と統計学の哲学』(2021年5月20日刊行,勁草書房,東京, viii+352 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-326-10294-5 → 目次|版元ページ)の書評原稿(1,446字)を編集部に打ち返したので,憑き物は落ちたとさ.ふー.訳本2冊(うち1冊は書込み付箋用)と原書を並べて格闘したが,蕎麦センセイは何度登攀してもどこかで滑落してしまう.この本は第2章の統計学哲学チャプターを生き延びればあとは何とかなる.登攀途中に捕れた “蟲” たちは訳者に送付して展翅展足を依頼した. http://leeswijzer.org/diary2021-07.html#12 展翅展足
エリオット・ソーバー[森元良太訳]『オッカムのかみそり:最節約性と統計学の哲学』(2021年5月刊行予定,勁草書房,東京, 税込価格4,950円, ISBN:978-4-326-10294-5 → 版元ページ)※をを,やっと翻訳が出るのか.首を長くして何年もお待ちしておりましたです.原書:Elliott Sober 『Ockham's Razors: A User's Manual』(2015年7月刊行,Cambridge University Press, Cambridge, x+314 pp., ISBN:978-1-107-06849-0 hbk → 目次|版元ページ).本書には系統推定論と系統比較法(PCM)の最節約法と最尤法に絡む議論もあるので,進化学者は統計学の哲学も勉強しましょう. http://leeswijzer.org/diary2021-04.html#17