その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。
https://gyazo.com/9658796f4df58cfed423ecab44d5c8f1
目次
プロローグ 人生の教師 エピクテトス―元祖・自己啓発哲学者
第1章 悩みのカタログ『人生談義』の世界―「なんで私が打ち首に?」
第2章 エピクテトス哲学の根本原理―権内と権外の区別
第3章 降臨!エピクテトス先生。上司にムカつく30代男性の相談に答える!
第4章 理性を働かせよ!―理性的能力のユーザーズガイド
第5章 哲学の訓練―幸福を呼ぶトレーニング
第6章 再降臨!エピクテトス先生、見えない未来をどう選んだらいいですか?
第8章 エピクテトス先生をアップデートする
エピローグ 真実も幸福もエピクテトスの徒として生きる
山本 「誰だそれ?」という人のためにちょっと説明すると、エピクテトスは紀元1~2世紀のギリシャ・ローマで活動した哲学者で、「ストア学派」と呼ばれる哲学流派の代表格。奴隷の身分から身を起こして哲学教師として生涯を閉じるという波乱の人生を送った人でもあります。すでに当時から尊敬を集めていたけれど、後世の人びとにも大きな影響を与えているね。モンテーニュやパスカル、それに夏目漱石なんかも愛読者だった。 吉川 じつは著書は一冊もないんだよね。エピクテトスは、彼が尊敬するソクラテスと同じように、物を書かない人だったから。でも幸運なことに、彼が弟子たちに語って聞かせた言葉の一部が書き留められて、『人生談義』という本にまとめられた。漱石たちが愛読したのもこれだね。
山本 この『人生談義』が傑作なんだよね。「談義」というくらいで、弟子や来訪者から寄せられる相談にエピクテトスが答える様子が記されている。宇宙や世界の原理とか成り立ちといった抽象的なことを語る本ではない。古代ギリシア時代の人生相談といったらいいかな。仕事や人間関係、お金や地位といった日常的な問題がテーマになっている。 吉川 2000年も昔のおっさんの話を聞いてなんになる? なんて思うかもしれないけれど、さにあらず。この『人生談義』ほどためになる本はないよね。我々がふだん抱くような悩みなら全部対応できちゃうんじゃないかっていうくらいの勢い。
山本 むしろいまの時代ほどエピクテトスの教えが必要な時代もないんじゃないかな。なんというか、社会の全体を不安が覆っているしね。経済の停滞と格差の拡大、雇用の流動化にともなう就職難、若年層や女性の貧困といった経済的動揺に、隣国との関係悪化やヘイトスピーチの蔓延、憲法問題といった政治的動揺。
吉川 個人としても社会としても、明るい未来を思い描くことがむずかしくなってきているよね。こういう社会不安を思えば、自己啓発書が大流行するのも当然のことかもしれない。こんな世の中だけど、なんとか人生をときめかせたいって。
山本 でも、じゃあってんでそういう本を実際に読んでみると……不安に加えて困惑が広がるよね。いろいろありすぎて。自分を変える方法について熱く語るかと思えば、ありのままの自分を大切にと優しくささやいたり。
吉川 いったいどっちなんだ! って突っ込みたくなるね。これじゃときめくどころか、かえって混乱するよ。