スイーツとてつがく
キャトルカール フランスで4/4を意味し、卵、砂糖、小麦粉のシンプルなケーキお菓子の基本。
世界もこれ程シンプルなら...。
イギリスの量の単位、「パウンド」から英語ではパウンドケーキと呼ばれている。
つくる人によってうんと差の出る、宇宙一不味くも、美味しくもなるケーキ。良く言えば個性が出るということだ。
4つの素材を理解し、それを繋げる事。素材と素材、人と人。言葉と言葉のように、繋げることの難しさは一筋縄では行かない。素材は人や言葉と同じく、並べただけでは繋がらない。一つ一つの素材を理解し、僅かな変化も見逃さない事で、「幸せなお菓子」を作ることが出来る。
つながるものには「つや」がある。なめらかではりがあって美しい。表面から出るしっとりとした光、そのつやは、お菓子作りの中では例えば、乳化した卵黄、砂糖が溶け込んだメレンゲ、小麦粉がきれいに混ざった生地、熱を加えて柔らかくなったバターに見ることが出来る。お菓子作りで重要なのは、感じて分かること。当たりまえの事を、“分かる”こと。「温かい」「熱い」を数字ではなく、その状態を意識しながら作り上げるお菓子というものは、やはり”てつがく“に通づるところがあると思う。
オーブンに入れてからも想像する、生地の状態をわくわくしながら想像する。4/4の素材が、それぞれ力を出して噛み合っていく情景を、その変化に思いを馳せる。2つだけが繋がっているのか、3つまで噛み合ったか、4つ全てが上手に結びあったか...。
想像し、思索し、追求し、探求する。
それこそがスイーツ作りの醍醐味と言えるんじゃないかな。
争うのてつがく①でも触れたが、私はスイーツのてつがくを愛している。スイーツは哲学と通づるところがあり、そしてしかしながらそれにはあまりにも“かがく”(これは科学と化学の両意)に基づく。 それなのに、なにりも感じることが大切で、これは私の信条というか持論だが、「味わう」という事重要だと思う。それは”てつがく“をする時は「言葉」だとか、それが持つ「意味」だとか、演技する時は一つ一つの要素が持つ「意味」や、「舞台上の出会い」を。噛み締めて、”味わう“事。それこそが創作や、表現をする場で最も重要視すべきだと考えている。
そういった意味で言えば、お菓子作りはまさにこの“味わう”ことが大事になる。スイーツを作っているのに”味わう“とはこれ一体?といったところだろうけど、とにかくそんな感じだよ。