2023-04-30のセッションより
私はサボテンと線路の閒に腰を下ろした。
赤い圓筒形も右橫に腰を下ろした。
夜は寒かった。
青いランタンの光と熱があり、溫かみを齎してゐた。
私は其の儘朝迄眠る事にした。
===此處迄前回===
「朝迄眠る事にした。」と云ふ文に、
友部正人の『朝は詩人』の中の「夜まで眠る事にした」と云ふ歌詞を思ひ出した。
歌詞の内容を思ひ出さうとした。
朝が來る歌であった。
私の中に、意識を手放しては行けないと云ふ規範が生じたので、
朝迄天球の動きのをじっと見ながら起きて置く事にした。
ところが、西南の地平線の際の星を見てゐても、一向に動く氣配がなかった。
西南の地平線の際に、暗い星があり、其れが私の事をじっと見返して來てゐた。
「あなたが意識を手放さないなら、天の星は動かず、朝は來ない。」
星と睨み合ひの狀態に成った。
星は地平線の少し上で、少し沈んでは復た浮かぶ事を繰り返してゐた。
「空の星は、西に囘らうと思って西に囘る訣ではない。」
「川の水は、あちらに流れようと思って流れる訣ではない。」
「あなたが意識と主體を手放せば、星の樣に巡り、川の樣に流れる事が出來ように、何故然うしない。」
私は、意識と主體を手放しては行けないと云ふ規範が内に生じたので、星をじっと睨み返し續けた。
リアルに半時閒くらゐ睨み續けた所で、ふと星から目を逸らして了った。
其の瞬間、其の星と一緒に天球のあらゆる星が一齊に雪崩の樣に西に向って猛スピードで巡り出し、
夜空はぼおっと明るく成って、靑鼠色の薄明るい朝の空の樣相を呈した。
沈んで行った星が嘲笑ふのが感ぜられた。
「御前の負けだ!」
私は目を逸らして了った事を甚だ悔んだ。
悔んだが、朝は來て了った。
步き出さねば成らない。
【考察】
意識を手放して、朝が來て了った。あ〜ぁ
→覺悟の上であった。
何を得、何を失ったのか。
朝を得、意識の聯續を失った。意識を手放さないと云ふ規範に叛いて了った。
朝が得られて良かったぢゃないか。
或いは朝は來なかったかも知れない。
意識を手放さないと云ふ規範に叛いて了ったが、其れは事實として受理し、進まねば成らない。
杜子春の話との類似?
默ってゐれば仙人に成れる。→默ってゐられなかった。→仙人には成れなかったけど、其れで良い。
星を睨んでゐれば「星を睨んでゐれば朝を呼び起こす事が出來る樣な存在=★」に成れる。→睨み續けられなかった。→★には成れなかったけど、其れで良い。
★とは
朝を呼び起こすには、意識を失って眠らないと行けない。
起きてゐても朝を呼び起こす事が出來るのが★である。
星を睨んでゐれば★に成れる、若しくは、自分は已に★である、と思ってゐた。
でも意識を失って、氣付いたら朝に成ってゐた。
★には成れなかったけど、朝を呼び起こす事は出來た。其れで良い。