2023-01-29のセッションより
右の前の扉を開いて中に入ると、カンファレンスルームの樣だった。
部屋の中央にはロの字型に三人掛けテーブルが竝べられてゐて、椅子が放置されてゐる。
向って右の壁(部屋の正面に當る)には、白いスクリーンが下がった儘に成ってゐた。
部屋の中央、ロの字の机の眞ん中には、プロジェクターが置かれてゐた。
机から離れた所にも、椅子が幾つも放置されてゐた。
===此處迄前回===
プロジェクターを觀察する事にした。
プロジェクターは、最近のデジタル式の物ではなく、フィルムスライドを電球の燈りで映し出す樣に成ってゐる。
後ろ側に、シリンダー狀にフィルムを差す部分が付いてゐる。
フィルムに何が寫ってゐるのかは判らない。
何が寫ってゐるのか、見てみる事にした。
ロの字の机の左手前の机を兩手で摑んで、後ろ斜めに引き下げた。
机の輪の中に、步いて入って行った。
プロジェクターの後ろ側に、綠色のスイッチが付いてゐて、白い文字で〇と一の記號が書かれてゐる。
スイッチを入れると、プロジェクター内部で電球が點り明るくなり、同時に冷却ファンが囘り出して、埃が卷き上げられた。
プロジェクターの後ろから、ケーブルが伸びてゐて、其の先には金屬の箱形の有線リモコンがぶら下がってゐる。
リモコンを手に取る爲、一旦振り返り、左手に持ったランタンを机の上に置く。
もう一度振り返り、リモコンを手に取る。
リモコンには映寫を開始するボタンと終了するボタン、60枚のスライドから映寫する物を選擇するためのダイヤルが付いてゐる。
映寫を開始するボタンを押下する。
一枚目のスライド。
白い背景。畫面の1時方向と10時半の方向に、灰色の小さな圓があり、細い黑い線で緣取られてゐる。
何を表してゐるのか良く判らない。
ダイヤルを時計方向に囘す。
二枚目のスライド。
赤く廣大な背景に、黃色い光の帶か雲の帶の樣な物が棚引き、左下に向ってグラデーションを成し、黑く霞んでゐる。
畫面の中央に、畫面を左右に二分する様に、上から下に眞っ直ぐな縱の黑い直線、若しくは細い帶が描かれてゐる。
背景から浮いてゐる様に見える。
何を表してゐるのか良く判らない。
此處で、赤い圓筒形が怯えてゐる事に氣付いた。
振り向くと、赤い圓筒形は机の輪の外側の後ろの方にをり、ゆらゆらと忙しなく蠢いてゐる。
私も、何か恐ろしい物が映し出されるのではないかと云ふ氣がして、不安な氣持ちに成る。
しかし、折角祕められたる物を見せて呉れるのであるから、何か恐ろしい物が映ったら寧ろ幸ひであらうと思ひ定めて、ダイヤルを囘す。
三枚目のスライド。
綠色の廣く四角いバット(皿狀の容器)に、液體が湛へられ、中に猫の神經系の標本が浮かんでゐる。
腦から生えた目玉が白く濁って左の方を見てをり、脊髓が右の方に伸び、脊髓から枝分かれした神經が下方向に垂れてゐる。
暫く見とれてゐた。
此の研究所では、猫の神經系が人間の神經系に影響を及ぼして人間を支配する仕組みを解き明かし、更に其の仕組みを應用する技術が研究されてゐた様だった。
更にダイヤルを囘す。
四枚目のスライド。
左に猫の圖、右に人間の圖が書かれてをり、間には幾つもの矢印とテキストでの説明が書かれてゐる。
猫と人間の神經系の相互作用に就て解説してゐるらしい。
更にダイヤルを囘す。
五枚目のスライド。
猫と人間の歷史的關はり、猫が如何にして人間に受け容れられる樣に成ったかを解説するスライド。
猫が叮嚀に布に包まれ、精緻な細工を施された棺に納められてゐる寫眞が載せられてゐる。
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【講評】
60枚のスライドは、折角だから見盡した方が良いと思ふ。
今放置して了ふと何年か後に全部拾って集めなくては成らなく成るかも知れない。
猫と赤い圓筒形は關係があるかも知れない。
猫は、幼い者の象徵として言及される事が多いモチーフ。
赤い圓筒形も、また幼き者である。
イメージをする時は、記錄が取れる樣な狀況をセットして置く。
グタッとするよりは、姿勢を正す方が良い。
目は薄くても開いてゐるのが良い。瞑るべきではない。
ゆっくり腹式呼吸をする。
長くて40分くらゐ。もっと短くても良い。
一つは行動をして、一つは反應があるべきである。
よく觀察して、成程と成ったら、何か行動を取る。