失敗学
「失敗学」という言葉は立花隆が命名したといわれている。
人の失敗に学ぼう。自分一人で、そんなに沢山の失敗はできっこないのだから 誰でも失敗を認めることは恥ずかしい。
そして隠したい。
しかし、失敗と向き合わない限り、失敗の教訓は次に生かせない。
起きてしまった失敗を検証し、新たな法則や技術を学ぶことができれば、それは組織や個人の成長につながるのだ。
失敗は神話化しやすい
失敗は知識化しなければならない
人の心理と失敗
TQCも危ないぞ
ISOも危ないぞ
失敗を生かすシステムづくり
人は失敗を隠したがる
おそらく自己防衛本能が働くためにこうなるのだろうと思うのですが、このことが良いとか悪いとかと言うより、人にはそうする性質があると考えた方が良さそうです。 失敗を隠しても良いがいよいよとなったらうまくバラした方が良い
やってしまった失敗をすべて明るみに出すのは骨が折れることです。 でも隠すべきではないような重要なことの場合は潔く表に出した方がいい。
逆にそうでなければわざわざ話すこともない。
同じ失敗は2度、3度と繰り返される
「あのときこうすれば良かった、ああすれば良かった」と今となっては良く思うことです。
ところがこれにたいして畑村さんはおそらく今から戻っても同じ選択をするはずだと言います。
たしかにそのときだっていろいろ考えた末に、最善だと思って決断しているわけですから、同じ人間ならまた同じ選択をするという訳です。
これは考えても仕方がないことのようです。
失敗を人のせいにするのもいい
失敗したのは自分の方に原因があるときまじめに考えると身が持たないような時代になってきました。 こんなときは社会や人のせいにするのもいい。 これはもちろんきまじめに考え過ぎる人に対しての言葉だと思います。
なぜ失敗するに至ったのかその時の気持ちの流れも書いた方が読む人に伝わるそうです。
その方が身につまされるからだと言います。
たしかにその通りかも知れません。
社会を発展させた三大事故
タコマ橋の崩壊
1つは、タコマ橋の崩落である。 1940年にアメリカで長さ約1キロメートルの吊り橋をつくったが、秒速19メートルの横風を受けて落橋した。
これで学んだのは、吊り橋というのは、桁のねじり剛性が十分ないと駄目であるということと、板の横から風が吹くと板の後ろに渦ができるという流体力学である。
この知見を徹底的に使っているため、明石大橋は秒速80メートルまでの横風では絶対に落橋しない。
なぜそのようなことが言えるかというと、徹底的なモデル実験が行われているためである。
コメット飛行機の墜落
続いて、コメット機の墜落についてだが、第2次大戦の最中に、イギリスは将来必ずジェット機の時代が来ると考え技術開発を行い、完成したのがコメット機である。
商業運行を行うが、何回も落ちる。
全く原因が分からないが、チャーチル首相が「イングランド銀行が空になっても構わないから原因を究明しろ」と命令し、徹底的に原因究明を行った。
それで分かったのが金属の疲労破壊についてである。
疲労破壊は、今でもいろいろなところで時々顔を出す。
日航機が落ちたのもそうである。
このように技術が進歩し、そのお陰でジャンボ機が飛び、世界中の人が本当に早く移動できるようになるためには、そのような失敗をとおらざるを得なかった。
失敗は、皆いけないというのはおかしい。
チャレンジしたところに起こる失敗は許さなければならない。
リバティー船の沈没
同じように、これはリバティ船というものである。
第2次大戦の途中にアメリカが兵員と武器を輸送するために、全部溶接でつくる船を約5,000隻つくったが、そのうちの3割が割れてしまった。
これが、なぜ割れるのか分からなかった。
それを徹底的に調べてみると、原因は3つあった。
1つは、鋼、鉄の低温脆性、脆くなって割れしまう性質である。
もう1つは、溶接の方法が悪く、空気中の水素が入り込んで脆くなったためである。
これらのことを徹底的に学んだため、戦後の世界中の船は全部溶接でつくれるようになり、建物も溶接で構造体がつくれるようになった。