エッセイライティング
実は、アメリカで現在のような小論文の型(主張→三つの証拠→結論)が生まれたのは、歴史が比較的浅く、1960年代後半に大学の大衆化が起こった時でした。 さまざまな経済・社会的背景を持つ学生が大量に大学に押し寄せた際、アカデミックな文章が簡便に書けるようにと、大学の先生たちが必要に迫られて考案しました。
主張を分かりやすくするため、先に述べたフランスの小論文で用いられる弁証法からアンティテーズ(反立)を取り去って自分の主張だけを前面に押し出す方法です。
反立を抜いたため、必然的に統合の部分も抜け落ちました。
これが標準になり小学校にまで広まりました。
こうした小論文様式からは誰にとっても分かりやすい、書きやすいという意味で大衆デモクラシー的な理念がうかがえます。
それに対してフランスでは、理想を高く掲げ、それは万人によって達成されなくても仕方がない、という理念がうかがえます。