三角ロジック
0. はじめに
作成例は「三角ロジックの作成例」を参照してください.また、三角ロジックの基本形の考え方、作り方について動画を制作しました。まずはこちらを視聴してください。三角ロジックの作り方が一通り理解できたなら、練習問題にチャンレンジしよう。 https://youtu.be/g_HxLg0JTeE
1. 主張にもどづいて論理(ロジック)をくみたてる
ある事柄について自分の主張を説得的に説明する(論証する)ためには必ずデータを用意し、そのデータと主張を結び付けなくてはなりません。これをロジックと呼びます。このロジックの組み立て方(ロジカル・シンキング)のひとつとして有名なのがS. トゥールミンの三角ロジックと呼ばれるものです。
本記事にある説明文および図については、早稲田大学の向後研究室教材サイトを参照させていただいてます(二次的著作物として作成しております)。詳しい説明についてはこちらのウェブサイトをよく読んでください。 注1
2. トゥールミンの三角ロジック
https://gyazo.com/746c7114b9d511fb0da7006e0ffafe93
三角ロジックのモデル図(基本形)
2-1. 主張 claim
よく用いられる型は2つ
〜〜は〜〜である。→ 事実であることを主張する
〜〜は〜〜す(る)べきだ/べきである。→ 方針を提案する(主張する)
2-2. 根拠 data
なぜその主張 claim が成立するのか(主張できるのか)、その「裏付け」となる情報を示す。
情報として、主に数値(数字)または事実を提示する。
ただし「裏付け」が正しい(正当性がある)ことを示さなくてはならない。
外部から主張の裏付けとなる情報を引用する。
自分自身が調べる(調査する)。
誰かが(たいていは研究者・学者や官公庁、シンクタンクなど)調査した結果(統計(処理された)データ)を引用する。
2-3. 論拠 warrant
示された根拠 data から、なぜその主張 claim が説明できるのか、その理由を説明する(主張と根拠の関係を説明する)。
そのテーマや事柄について、すでに議論がされ、一定の結論が出ているものから引用する。
先行研究の成果(論文や書籍など)から引用する。
3. 三角ロジックにおいて根拠や論拠を引用・参照することの意味
なぜ根拠や論拠として「先行研究」や「統計調査データ」を引用ないし参照をするのか.
1. 主張claimを支える(裏付ける)情報 = 根拠dataの信頼性を高めるために社会調査データの引用を行う。
2. 根拠を示して主張の正しさを裏付けることができるが、その理由を示すため、論拠warrantにおいて先行研究の引用を行う。
3. 形式を守って引用すると、根拠や論拠(である情報)の出所を示すことができるる。 つまり根拠や論拠の信頼性が高いことをアピールできる。
4. 形式を守って引用すると、書き手自身の考え(アイデア)の独自性を示すことができる。
5. 書き手の考えと他人の考えにおいて、関連している箇所と違っている箇所を示すことは非常に大切である。
https://gyazo.com/97cb435be54282de4e64051bcbdf18ef
三角ロジックにおける根拠・論拠と引用・参照の関係図
「プレゼン(スライド)やレポートのオリジナリティを示すこと」とは…
プレゼンやレポートにおいて三角ロジックとは、結論(主張)がどのような思考の過程を経て導き出されたのかを示すものである。
出典:大島弥生ほか、2005年、 『ピアで学ぶ日本語表現』ひつじ書房の一部を改変。
4. 三角ロジックを強化する
主張のために組み立てた三角ロジック(の基本形)に反対し、その反対を打ち崩す(再反対する)ことで組み立てた三角ロジックを強化する(説得力を上げる)ことができます。反対の方法には「反駁」「質疑」「反論」の2種類(実はもうひとつ「反論」という方法がありますが今回は使いません)。 3種類あります。 注2
反対の「強さ」は反論 >反駁 > 質疑 となる。
4-1.【反駁 はんばく】
根拠 data または論拠 warrant に反対する。
「チガウ」をぶつける。
根拠と論拠の両方にぶつけても(反対しても)構わない。
主張 claim そのものには反駁できない。
反駁を受けた側は、その内容に応じて根拠や論拠を提示して再反駁する(再反対する)。
「チガウ」に対して「チガワナイ」をぶつけ返す。
三角ロジックの反駁:根拠/論拠に対して「違う」と反対する。
https://gyazo.com/baff5972b1bb07a34f36bcd1e24f1cf9
三角ロジックのモデル図(反駁)
4-2.【質疑】
根拠 data または論拠 warrant そのものに疑問を提示する。
「ナゼ」をぶつける
根拠と論拠の両方にぶつけても(反対しても)構わない。
主張 claim そのものには質疑できない。
質疑を受けた側は、より具体的な根拠や論拠を提示して回答する。
「ナゼ」に対して「ナゼナラバ」をぶつけ返す。
三角ロジックの質疑:根拠/論拠に対して「なぜ」と疑問をぶつける。
https://gyazo.com/3e86574e591ecfbb7239ceab7a2db698
三角ロジックのモデル図(質疑)
4-3.【反論】
三角ロジック対して、別のロジックを構築し、提示する。
ロジックに対してロジックをぶつける
「窓を開けるべきだ」ロジックに反論するならば...
「クーラーを付けるべきだ」ロジックをぶつけてやる
主張 Claim → クーラーを付けよう
根拠 Data → 室温が30度だ(ぶつける先の根拠を再利用してもかまわない)
論拠 Warrant → 機械的に温かい/冷たい空気を入れ替える、窓を開けないので外の騒音が聞こえない、窓を開けると虫が部屋に入り込むから、etc.
反論としてぶつけられた三角ロジックに対して、再反対(ぶつけられた三角ロジックに対して反駁や質疑、もちろん反論もOK)をやらなくてはならない!
[注]
1. 「4.2 トゥールミンの三角ロジック」早稲田大学人間科学学術院 向後千春研究室
2. 「4.3 議論の方法」早稲田大学人間科学学術院 向後千春研究室