仮想人格関連ルール
「私は私でないと同時に私でもある。では一体、私とは何者であろうか」
(仮想人格を用いた哲学者が、タワーブリッジから身をひるがえした瞬間に)
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仮想人格システム概説
『仮想人格』を用いることによってキャラクターの性格や個性に対して影響が与えられます。仮想人格は必ず『仮想的な技能』と『性格』とがセットになって構成されています。少なくとも一般的に流通している仮想人格は、そのようにデザインされています。つまり、仮想人格を用いている時の行動は、基本的に「技能と関連する形」で行なわれるのです。つまり、仮想人格を用いているキャラクターの行動は、その仮想人格を構成している技能(及びその仮想人格のモデルとなった人物の経験)に依存しているのです。仮想人格とはこれらの『技能』によって得られた視座を再現するソフトウエアであると捉えることができます。
仮想技能
仮想人格は主に技術難民の救済を目的として開発されたという歴史的経緯があります。『蒸気爆発野郎!』の世界において、仮想人格の主要な利用法は、仮想的な追加技能として用いるというものです。このような技能を『仮想技能』と呼びます。 例えば「科学」のレベルが高い仮想人格は、確実な「科学に対しての仮想的な知識」を与えてくれます。
仮想技能を利用する場合の成功判定の際には、あらゆる値は、仮想人格によって修正された値を使用します。ただし、使用しているキャラクター本来のレベルの方が高い場合は、そちらの値を用いて成功判定を行うことができます。
仮想人格をただ単に一時的な技術の修得のためのものとして扱う場合にも、常に仮想人格には『性格』や『個性』、また『物事に対する視点』といったものが含まれています。先述のように、仮想的な技能はその技能を修得し扱っている、いわばモデルとなった人物の心理的な現象をも含んでいるのです。ルール上はドライバが置きかわります。
仮想的な技能と仮想人格カタログ
今までに述べてきたように、技能と人格は一体であると言えます。ゲーム中ではその部分を再現するために、「仮想人格カタログ」という資料を用意しています。この資料には、仮想人格の例が含まれています。仮想人格カタログに収録されている人格を用いることで、きちんと調整され、規格化された仮想技能が得られ、かつその技能に相応しい性格までもが導入されるという訳です。基本的にプレイヤーキャラクターが仮想人格を導入する場合には、このカタログに記されているものから選択し、利用する必要があります。足りない場合には仮想人格作成ルールに従って仮想人格をデザインし、カタログに追加することもできます。
仮想人格利用のためのルール
仮想人格を用いる場合のルールは、以下のようにまとめることができます。
1.仮想技能優先則
ある仮想的な技能を用いている場合、そのキャラクターの仮想的な技能に基づく行動は、元々のキャラクターの意図よりも優先されます。つまり、仮想人格を導入しているキャラクターのゲーム中での役割は、その仮想人格の持つ技能によって決定されることになります。また、成功判定においては、通常の判定と同様に行います。プレイヤーキャラクターは『熱い魂』を用いた成功判定を行うことも出来ます。
2.利用自覚則
ある仮想人格を用いているキャラクターの行動は、仮想人格によって制限を受けます。プレイヤーがキャラクターの行動宣言を行う場合、その行動は、仮想的な技能、及びその性格に矛盾してはなりません。
例えば仮想人格によって《応急手当て》の仮想的な技能を持つキャラクターは、まずもって医療的行為を積極的に行なう必要があます。また、「仮想人格カタログ」に載っているそれぞれの仮想人格に指針がある場合にはその指示に従う必要があります。もし、キャラクターが設定された「相応しい行動」に反するような行動を行おうとした場合には、以下のルールを適用します。
3.仮想人格利用時の自我判定
仮想人格で設定された「相応しい行動」に反するような行動を起こそうとした場合には、『自我判定』が要求されます。この判断はマスターが行います。『自我判定』は、【精神】の『基礎能力値』のみでの成功判定です(熱い魂の利用は可能なものとします)。行動判定のルールは「キャラクターの成功判定」を参照して下さい。 仮想人格にはそれぞれ『自我値』と呼ばれる固定値が用意されています。仮想人格を用いているキャラクターのプレイヤーは、この値を目標値として成功判定を行います。その結果、判定が成功した場合には、本来の人格に基づいて行動を行うことが出来ますが、判定に失敗した場合には、仮想人格に従った行動をとる必要があります(その間、行動の優先順位が置きかわります)。
例:『自我判定』に失敗する男・ジョンソン
シドニー・ジョンソンは蚤の市で仕入れた仮想人格プログラムカルテを導入しました。表紙には『漁色家』とか何とか擦れた字で印刷されていたようですが、愚かなシドニーは冗談のつもりで導入してみたのです。彼はカルテに記されていた強い刺激のある揮発系薬物もきちんと用意し、顔をしかめつつ吸入した所、その仮想人格は、大方の想像に違わず彼に不幸をもたらしました(いつものことです)。
この仮想人格に与えられた『自我値』は35。流石に蚤の市で売っているようなイカガワシイものです。どこかの違法人格デザイナーが違法に作り上げたものに相違ありません。しかも、この仮想人格に設定されている行動変容パターンは、以下の通りです。
異性を見ると、口説き落としたくなる。
常に自分に注目が集まっていないと不機嫌になる。
強い刺激のある香りを避ける。
シドニーが夜の街に勇んで出かけたことは置いておくとして、彼がふと気付くと、自分は一生懸命に夜の女性を口説いているではありませんか。シドニーは自分を取り戻そうとサイコロを振ります。目標値は35です。35!? イエス。シドニーの【精神】は6ですから、サイコロで29を出さねばなりません。シドニーは4ポイントの熱い魂を持っており、これを全て使って『自我判定』にチャレンジします。
4+2+6+1+3+5=19 サイコロの目は合計19です。【精神】が6ですから、合計25。全然足りません。シドニーはやはり女性を口説き続けることになります(行動の優先順位は置き換わったままです!)。
ここでようやくこれは俗にいう『違法仮想人格』ではないか? とシドニーは思い至りましたが、挿入された行動は変えられないのです。彼は心の奥底で酷く焦りながら、どこまでも仮想人格に振り回されていくのです。