『熱い魂』の譲渡と封入に関するルール
キャラクターの熱い魂は、超時空体との関係から維持されています。プレイヤーは自らが使用するキャラクターの持つ熱い魂を、他のキャラクターや場所、建築物、物品に対して分散させて保持させることができます。キャラクター一人に一極化するのではなく、そのキャラクターの周囲にもキャラクターの持つ熱い魂を込めることで、キャラクターとキャラクターの周囲の存在、そして世界までもが一体化するのです。熱い魂を持つキャラクターに対して熱い魂を込めることを『譲渡』と呼び、それ以外の存在に対して込めることを『封入』と呼びます。
■熱い魂の譲渡
全てのプレイヤーは、自らの扱うキャラクターよりも現在値が低い熱い魂ポイントのキャラクターに対して、自らの扱うキャラクターの熱い魂ポイントを与えることができます。これを『熱い魂の譲渡』と呼びます。譲渡を受けたキャラクターは、譲渡したキャラクターによって影響を与えられた、感銘を受けた、励まされた、生き方を示されたことになります。譲渡によって移動した熱い魂ポイントは、譲渡を受けた側の支配下に置かれ譲渡した側のコントロールを離れます。
このような熱い魂の授受を行ったキャラクター間には、人間関係の絆が構築されます。このことを示すために、譲渡の記録をキャラクターシートの『呼び込み対象リスト』に書き込む必要があります。これらの人間関係が、ゲーム内でどのように利用されるかは、『呼び込み判定』の節を参照して下さい。
さらに、『絶望』したキャラクターは、『熱い魂』の譲渡を受けることで自信を回復し、『絶望』状態から回復することが出来ます。『絶望』からの回復についての詳しい解説は、第3章『マスタリング』に記されています。
<脚注>
譲渡後の熱い魂ポイントのバランス関係は、授受を行った両者の値が等しくなるまでとします。つまり熱い魂ポイント5のキャラクターと3のキャラクターとの間では、熱い魂の譲渡可能であり、譲渡後に両者は4ポイントの熱い魂を持つことになります。熱い魂ポイントが2ポイントのキャラクターであれば、絶望状態のキャラクターに対して熱い魂を譲渡することができます。授受の後の両者の熱い魂ポイントの合計は一定になります。
■熱い魂の封入
『熱い魂』はプレイヤーの任意で『熱い魂を持つキャラクター』以外の存在に分配することも可能です。この手続きを、『熱い魂の封入』といいます。この手続きを経ることで『熱い魂の譲渡』と同様に『キャラクターとの関係』が構築されることになります。対象が物品であればキャラクターの『愛用の品』、場所であればキャラクターにとって『馴染みの場所』となります。熱い魂の封入が行われた存在は、封入されることで『熱い魂』が込められます。それぞれの存在は『呼び込み対象リスト』に記載されることになります。
■封入のための手続き
対象に対してどれだけの魂を込めるかを決定します。封入可能な熱い魂の上限は、キャラクターがその時点で持っている『熱い魂』のポイントで決定されます。譲渡と全く同様に封入は行うことができます。熱い魂ポイントの上限は、封入後のキャラクターと対象との両者の持つ熱い魂ポイントが等しくなるまでとします。
具体的には現在のポイントから封入可能な最大ポイントは以下の表に挙げられるようになります。
現在値 封入ポイント 残りのポイント
2 1 1
3 1 2
4 2 2
5 2 3
6 3 3
7 3 4
8 4 4
9 4 5
このように封入されたポイントは、封入したキャラクターとの関係においてのみ有効です。同一の対象に複数のキャラクターとの関係が成立するようにすることもできます。しかしそのような対象は、そのセッション中に先に呼び込まれた時点で、その対象を呼び込んだプレイヤーにコントロール権が発生します。
<注釈>
魂のリンクと呼ばれる。熱い魂を持つキャラクターは、そのキャラクターの自分自身を周囲にまで展開することが可能であると解釈することもできる。
■熱い魂のこもった物品の使用
『熱い魂』の込められた物品を使用する場合は、物品にこめられた『熱い魂』の数だけのサイコロを追加して成功判定の際に振る事ができます。つまり2点の『熱い魂』がこめられた物品であれば、一般人でも(熱い魂を持っていなくても)4D6(通常の判定の2D6+熱い魂による2D6)で判定を行う事ができます。勿論『熱い魂』を使用できるPCなどはさらにポイントを追加してロールを行う事が可能です。
■熱い魂のこもった物品と絶望
魂のこもった物品を使用する際に『絶望』した場合には、物品は破壊されます。しかし、その被害は使用者に及ぶ事はありません。つまり、魂のこもった物品を使用した行為判定では、『絶望』は起こりません。
■熱い魂のこもった物品の作成
通常、魂のこもった物品を作成するためには長い年月をかけるか、強い集中力が必要となります。PCがそのような物品を作成するためには、そのキャラクターにとって『愛用の品物』、もしくは『形見の品』だとマスターが認めた場合に限られます。その場合には以下の手順で物品を作成してください。
1.
キャラクターの使用する物品が、どのような目的で使用された場合に効力を発揮するかを決定します。例えば『ホームズのレンズ』であれば対物観察を行う際に効力を発揮すると決定されています。
2.
どれだけの魂を込めるかを決定する。この手順はキャラクターがその時点で持っている『熱い魂』のポイントの内、どの程度まで使用するかが問題となります。魂を1ポイントこめるならば1点の『熱い魂』が必要です。また2ポイントこめるならば3点(1+2)の『熱い魂』が要求されます。3ポイントであれば6点(1+2+3)の……というように、込めるための熱い魂の点数は累積されます。封入後の熱い魂ポイントのバランス関係は、両者が等しくなるまでとします。
3.
込められた魂はほぼ永久的に維持されます。しかしその物品が破壊された時点で失われます。
■熱い魂のこもった物品と呼び込み
熱い魂がこもった物品は、『熱い魂を所持する存在』です。したがって『呼び込み対象リスト』に登録することができます。ゲームマスターは、熱い魂のこもった物品がゲーム内で登場した場合には、そのことを告げる必要があります。呼び込みに関するルールは「呼び込み判定」を参照して下さい。 ■熱い魂のこもった物品リスト
それぞれの物品は例として挙げられたものであり、NPCが使用している場合があります。
『蒸気!』の世界では不思議な力の込もったアイテムが存在します。これらのアイテムは、製作者や使用者の思いが乗り移り、現世にその執念だけが生き延びているのであると解釈できます。これらの物品は『その物品が使用されるべき状況』において力を発揮します。
具体的にはこれらのアイテムは『熱い魂』の込められたアイテムです。例えば『ホームズのレンズ』と名付けられた架空のアイテムがあるとしましょう。このアイテムは一見使い古された虫眼鏡に見えますが、実は『魂の込もった物品』です。このレンズを用いて対物観察を行うと、あたかもホームズが乗り移ったかのように素晴らしい成果を上げる事ができるのです(手相を見ても効力は発揮しませんが)。その秘密は『熱い魂』が物品にこめられているからです。