タスク管理の目指す場所。理想的な状態とは
タスク管理の目指す場所。理想的な状態とはamemy.icon
理想的な状態とは、9要素を掌握している状態であろう。
まず9要素とは以下のことである。
それから掌握とは、自分に合ったバランスで運用できていることを指す。
たとえば「とにかく忘れたくない!それだけできればいい!」という者は忘迷怠を重視することになろう。高頻度にタスク管理ツールを使ったり、リマインダーに頼ったりするであろう。しかし「とにかく芸術活動に専念したい!」という者であれば、いかに取り組み続けるかが大事であろうから、熱夢集を重視することになろう。細かなタスク管理よりも、より上位レベルの取捨選択や集中術が求められるはずだ。もちろん、一人でできない場合は誰かに任せることもできる。メンバーを上手く御して委譲するマネージャーやリーダー、生活全般を妻に任せる夫(対戦や芸術のプロに多い)、秘書や家政婦(委譲ではなくお金による「雇用」)、とりあえず複数人で過ごして気付きと支援の機会を増やす(シェアハウスや同棲)など例自体は珍しくない。
9要素を掌握すると、あなたの人生は快適になる。
やることと向き合うと少なからずストレスと手間が発生するわけだが、これを最小化できる。ここで「タスク管理しなければいいのか」と思いがちだが、そうでもない。できるだけ管理せず頭で済ませられる人はそれで良いが、済ませられない人には実は管理があった方が良い。わかりやすい例として、買い物時にリストをつくるかどうかで考えてみるといい。覚えられる人、あるいは忘れても気にしない人はつくらなくて良い。逆にそうではない人は、つくる手間をかけてでもつくった方が良かろう。
QoLと言っても良いかもしれぬ。自分が快適になるためには、自分に合った程度の道具や仕組みが必要となる。それを知り、導入できるかどうかで、快適性は大きく変わる。タスク管理も同じだ。タスク管理は、生活のうち「やることとの向き合い方」という領域を扱うものだ。住まい、料理、家事といった多数ある領域のうちの一つである。つまりは人生の一部であり、生活の一部であるため、誰であっても検討の余地があり、快適性を向上させる余地もある。
つまりタスク管理が目指す理想とは、快適な人生である。
注意してほしいのは、ただ快適になるだけだ。居心地が良いとか、フィットしているとか、自然と動けるとか、見えていて精神衛生に良いなどと言い換えても良かろう。単に心地が良いというだけで、別に何かが手に入ったり人生が好転したりするわけではない。もちろん、快適になったがゆえにより多くのタスクを生産的にこなせるようになって人生が変わる、などはありえるだろうが、逆に快適であるがゆえに怠けてしまうこともありうるわけで、結局のところ人生を変えるかどうかはあなた次第である。何度も言うが、タスク管理はただ心地をチューニングするだけだ。
回答はここで終わりだが、参考までに、9要素を掌握する方法についても述べておこう。おおよそ以下の手順を踏む。
1 タスク管理をあれこれ試す。というのも、自分がどのような能力と資質を持っているかはたいていわからないからである。別の言い方をすると、己のタスク管理として何が良いかという限界と好みを知らない。無論、他人が知る者でもない。自分で試して知っていくしか方法はない。人生と同じだ。
2 限界を知る。限界というものがある。たとえば頭の性能の良し悪しはよく知られているだろう。その場で消化&溜めるにしてもシンプルなインボックス、だけで済めるインボクサーの戦略は誰にでもできるとは限らない(よほど性能が良くないとできない)。逆に朝から夜までリストと向き合い続けてそのとおりに動くというロボットも一般人から見れば狂気の沙汰である(自律性と潔癖の双方、またはASDなどこだわりで動ける特質が必要)。性能の悪いあなたがインボクサーになることはできないし、自律と潔癖を持たぬあなたがロボットになることもおそらくできまい。そのような限界を知らねばならぬ。知れば、限界を超えた選択肢を外すことができる。
3 微調整する。残念なことに、最適なバランスは日々変化する。極論、あなたが主婦だとした場合、まだ子どもが生まれてない段階、1人目が生まれた直後、その後落ち着いた段階、2人目が生まれた直後、は全部忙しさが異なるであろう。たいていはいくつかのパターンに帰着できる。オーバーマスト(忙しすぎる)、オーバーウォント(やりたいことが多すぎる)、閑散期(何も管理しなくていいしやらなくてもよくてだらだらしている)、日常、変動的な日常(部分的にオーバーマストになったり閑散期になったりする。波がある)の5つだ。どのパターンのときに、どういうモードで過ごすのかを知り、実際にそうすると良い。よくありがちなのが、パターンが変わっているのに「今までと同じやり方でやろうとする」ことであるが、自殺行為である。忙しい時は相応の管理が要るし、逆に休暇や病気明けなど休むべきときは管理はしない方がいい。このような切り替えは、日々微調整するかのように行えるようになりたい。
泥臭い。そう、そうであろう。だが、それがタスク管理の本質である。