否定から入る人
イントロ
「すぐ否定から入るタイプじゃない?」みたいなこと言われた時の返し難しすぎる.
「そうだね」って言ったら受け入れることになっちゃうし、
「いやそんなことないと思う」って言ったら「ほらやっぱ否定から入ってるw」って言われるの全狩りすぎるだろ
分析してみよう
分析.1
Aは否定から入るをAが否定したとき,Aは実際に否定から入っている.
このときは正しい.
Aはすぐ否定から入るをAが肯定したとき,Aは実際に否定から入る.
しかしAは肯定した(否定から入っていない)ので,矛盾している.
矛盾したのは誰か?/何か?
分析.2
もう少し精緻化してみる
発話者は$ A,Bとする.
$ Aが何らかの命題$ Pを主張することを$ \Vdash_A P,$ Bが命題$ Pを主張することを$ \Vdash_B Pと表すとする.
$ Bは「$ Aは任意の命題を否定する」,すなわち,「任意の命題についてその命題の否定を$ Aは主張する」と主張する.
これを$ \Vdash_B \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackと表記する.
$ \Vdash_A \lnot Pで「$ Aは命題$ Pの否定を主張する」を表す.
この翻訳が正しいかは疑わしいところもある
このとき「任意の命題についてその命題の否定を$ Aは主張する」という命題すなわち$ \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackを$ Aに投げてみよう.
$ Bの主張した命題が実際に正しく,$ \vDash \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackであると仮定する.
1. $ \vDash ~ \Vdash_A \lnot(\forall_Q.\lbrack \Vdash_A \lnot Q \rbrack)
$ \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackの$ Pとして$ \forall_Q.\lbrack \Vdash_A \lnot Q \rbrackを入れる.
「任意の命題$ Qについて,「$ Aは$ Qの否定を主張する」わけではない」という$ Aの主張は,正しい.
2. $ \vDash ~ \Vdash_A \exists_Q. \lbrack \lnot (\Vdash_A \lnot Q) \rbrack
次は自然な要請だと思われるため,変形する.
全ての命題に関して何らかの性質$ \phiが成り立つわけではない$ \iffある命題に関しては$ \phiが成り立たない.
「ある命題$ Qについて,「$ Aは$ Qの否定を主張」しない」という$ Aの主張は,正しい.
3. $ \vDash ~ \Vdash_A \exists_P.\lbrack A \nVdash \lnot P \rbrack
$ \lnot\Vdash_A \phiは$ \nVdash_A\phiと同じなので
(?)
「ある命題$ Qについて,$ Aは$ Qの否定を主張しない」という$ Aの主張は,正しい.
そもそも$ \vDash ~ \Vdash_A Pという形は何も主張してはいないのではないか?
「$ Aが$ Pと主張している」ということが正しいというのはどういうことなのか?
「命題が正しい」と仮定するのは良くない気がする.
$ Bの主張が実際に正しく,$ \vDash ~ \Vdash_B \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackであると仮定する.
$ Bの主張した命題が実際には正しくなく.$ \nvDash \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackであると仮定する.
$ Bの主張が実際には正しくなく.$ \nvDash ~ \Vdash_B \forall_P.\lbrack \Vdash_A \lnot P \rbrackであると仮定する.
感想
様相論理の枠組みで考えるべきだった気もする.実際$ \Vdash_A,\Vdash_Bはそれぞれ$ \Box_A,\Box_Bと考えれば適当な認識論理とかの話になるんじゃないか 2階の主張と1階の主張をゴッチャゴチャにしている気もする.