再帰的可算だが再帰的ではない集合から第1不完全性定理を導く
参考文献
Lem 5.4.8
$ A \sube \N^nについて,次の条件は同値である.
2. $ Aと$ \N^n \setminus Aのどちらもが再帰的可算集合 Thm 7.3.19
$ Tは$ \Sigma_1健全な理論とする.( #TODO より詳細に条件を追記する) $ \varphi(x)は$ T上で$ Aを弱表現するとする. すなわち,任意の自然数$ a \in \Nについて$ a \in A \implies T \vdash \varphi(\overline{a})
このとき,$ T \nvdash \varphi(a)かつ$ T \nvdash \lnot\varphi(a)な$ aが存在する.
proof
1. $ A \coloneqq \{a \in \N \mid T \vdash \varphi(a)\}.
2. $ B \coloneqq \{b \in \N \mid T \vdash \lnot\varphi(b)\}とする.
3. $ b \in Bとすると$ T \vdash \lnot\varphi(b).
4. $ \Sigma_1健全性より$ Tは無矛盾であり,$ T \nvdash \varphi(b).
5. よって$ b \notin Aであり,$ B \sube \N \setminus A.
6. 今,$ B = \N \setminus Aと仮定すると破綻し,$ B \neq \N \setminus Aであることを示す
6_1. $ \N \setminus A \coloneqq \{a \in \N \mid T \vdash \lnot\varphi(a)\}である.
$ Bの定義より.
6_2. $ \mathcal{N} \vDash \mathrm{Pr}_T(\ulcorner \lnot\varphi(a) \urcorner) \iff T \vdash \lnot\varphi(a)
6_3. 以上より$ \N \setminus A \coloneqq \{a \in \N \mid \mathcal{N} \vDash \mathrm{Pr}_T(\ulcorner \lnot\varphi(a) \urcorner) \}
6_4. 6_3より$ \N \setminus Aは$ \Sigma_1集合であり,再帰的可算集合である. 6_5. 仮定より$ Aが,6_4より$ N \setminus Aが再帰的可算集合であるので,補題5.4.8より$ Aは再帰的集合である 7. 5,6より,$ B \sub \N \setminus Aである.
8. 7より,$ a \in \N \setminus Aかつ$ a \notin Bとなる$ aが存在する.
この$ aについて,
$ T \nvdash \varphi(a) \impliedby a \notin A \impliedby a \in \N \setminus A
$ T \nvdash \lnot\varphi(a) \impliedby a \notin B
十分に強力な理論$ Tには証明も反証も出来ない文$ \sigmaが存在する.すなわち$ T \nvdash \sigmaかつ$ T \nvdash \lnot\sigma.