リアルタイムOS
リアルタイムOSの標準化としてまず挙げなくてはならないのが,POSIXのリアルタイム拡張である。ご存知のようにPOSIXは,各社の開発するUNIXを標準化するために,IEEE(そしてISO)で策定された仕様である.LinuxもPOSIX仕様に準拠している。 POSIX仕様のシリーズのなかに,UNIXをリアルタイム化する際の標準仕様であるPOSIXリアルタイム拡張がある。POSIXリアルタイム拡張には,UNIXをリアルタイム・システムに使うための各種の機能が定義されている。 リアルタイムOSの標準化としてもう一つ成功しているものとして,OSEK/VDX OS仕様(以下,OSEK OS仕様)を挙げることができる。 OSEK OS仕様は,自動車制御用のリアルタイム・カーネル仕様である。自動車制御に特化して,かなり機能を絞り込んでいる。オーバヘッドが小さくコンパクトなのが特徴であるITRON仕様よりも,さらにコンパクトな実装ができる。OSEK OS仕様に準拠したOSは,自動車業界では事実上の業界標準として広く用いられている。ちなみに,1台の自動車のなかにも数多くの制御ユニット(組み込みシステム)が使われており,日本の自動車にはITRON仕様のOSも利用されている。なおTOPPERSプロジェクトでは,OSEK OS仕様に準拠したリアルタイム・カーネルも開発し,オープンソース・ソフトウェアとして配付中である。