キーワード:風
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1974年のクナーヴェルシェア島調査のログの最後には、参加者全員が同意したというプロジェクトの目的が書かれている:
To use technology to reveal the nature of Knavelskar island(テクノロジーを使って、島のネイチャーを露わにする)
この謎めいた言い回しを解読するヒントは、サウンドビームと霧と凧というチュードアが選んだ三つの構成要素に共通する特性にある。たとえばペプシ館を包む霧の写真を見るとき、じつは霧以外に霧を通じて見えるものがある。それは風の動きである。霧の見える動きは、風の見えない動きをネガとして示している。だから中谷芙二子は霧の彫刻のことを「ネガティブ彫刻(negative sculpture)」と呼んでいた。そして同じことが、凧についても、サウンドビームについても言える。つまりこれらはすべて、自らの変形を通じてそれ自体としては知覚できない風をネガティブに知覚可能にするセンサーとして選ばれている。1980年代のインタヴューでチュードア自身も語っているように、テクノロジーを通じて露わにされる「ネイチャー」の基本モデルとして「風」が考えられていたのだ。
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