RANGE:知識の幅が最強の武器になる
さまざまな分野で経験を積んだ人のほうが、一つの分野を深めた人よりも、クリエイティブで影響力の大きい発明ができることだった。実際、キャリアの中で積極的に深さを犠牲にして幅を広げ、成功していた人たちがいた。芸術分野でのキャリアに関しても、同じような研究結果 専門特化の傾向が進むにつれて、「平行溝のシステム」ができてきているという。それは、誰もが自分の溝を深く掘り続けることに専念しており、もしかしたら、隣の溝に自分が抱えている問題の答えがあるかもしれないのに、立ち上がって隣を見ようとはしない
ゲームの全体像が大きければ大きいほど、全体の戦略を立てるという人間ならではの力が発揮できる。人間の最大の強みは、狭い範囲への専門特化とは正反対のものだ。幅広く情報や知識を統合することこそが、人間の強み
狭い世界では、人間はあまり長い間、活躍できない。オープンエンドゲーム(制限のないゲーム)のであれば、人間は確実に活躍できると思う 一つの領域内で取り組む課題を大幅に多様なものにすること。そして、デーンの共同研究者の言葉を借りると「片足を別の世界に置いておくこと(注 37 ③)」
問題が曖昧で、明確なルールがない「意地悪な」世界では、「幅(レンジ)」が人生を生産的、かつ効率的にするための術
現代世界に参加し始めていた農民や学生は、「帰納法(注 12)」と呼ばれる種類の思考を実践した。やり方を示されなくても、そのモノを実際に見たことがなくとも、モノや事実が提示されればルールを見つけ出して、それを問題に適用 近代化以前の人たちの思考は、直接の経験の範囲に留まっていたが、現代に触れた人たちの考えはそれに比べると自由 飛び込んで人のまねをし、まず即興でやってみて、正式なルールはあとから学ぶ
人生と同じで、学びの道のりとは(失ったものや失敗を)挽回しようとすること
私はアナロジーを特別に好んでいる。アナロジーは私の最も信頼できる師、自然の秘密をすべて知っている(中略)アナロジーを大いに活用すべきだ(注6)」とケプラーは記している 表面的な類似性からは離れて、深いところにある構造的な類似性を探求する。ある研究室のミーティングでは、平均で4分ごとに新しいアナロジーが会話に加えられ、その中には生物学とは全く異なる分野
自分のことをよく知るようになるにつれ、目標や興味の対象は変わり、それは私の生きる力となる仕事に出会うまで続いた
多様性を重視するコミュニティーは、次の質問に「イエス」と答えられなければならない。「さまざまな人たちが私たちのコミュニティーを見て、自身と同じような人をそこに見つけられるか」 将来に関して何も具体的に決めないことです。そして、現在の選択肢だけを見て、その中から、今後、有望な選択肢につながりそうなものを選んでみてください
自分に何ができるかなんてわかりっこない。自分の才能を見つけるには、とにかくやってみることだ 大きなイノベーションというのはほとんどの場合、その問題から遠く離れた分野の人が、問題を別の角度から捉え直して、解決策を生み出している」 積極的なオープンマインドを研究したバロンは、「幅がなければ、深さは不適切になるかもしれない(注 17)」と書いた。
プレッシャーのもとで頑なになり、「自分が最もよく知っているものに回帰する(注 13 ③)」。彼らはまるでハリネズミの集団のようになって、見知らぬ状況を曲げて、よく知っている安全地帯の方向に持っていこうとする
自動車で相乗り通勤をする時に、よいコミュニケーションが起こる」とゴアは言う。ゴアが心を砕いたのは、「ちょっと手を出してみる時間(注 35)」を新しい会社の文化の中心
優れたクリエーターは、生み出す作品が多ければ多いほど失敗作が増えていき、同時に画期的な作品を生み出す可能性も高まる(独創的なクリエーターは何度も三振するが、大きな満塁ホームランも打つ)