公共圏
「公共圏」とは、私生活からも国家からも切り離され、人々が自分たちの住む社会について知的な議論を交わす場所のこと。「公共圏」の例として挙げられているのが、16世紀に活躍したオランダの学者エラスムスによる手紙のネットワークだ。彼は、人生の大部分を馬に乗ってヨーロッパを横断し、魅力的な人々を訪ねては紹介し合った。こうした人たちと交わした手紙が後に出版され、朗読会などで多くの人がそれに触れるようになった。そして、その言葉を何度も聞くうちに、エラスムスの書くラテン語、読まれた手紙が知識層の中で「内面化」されていったという。