OverLeafで日本語の論文を書いてみよう!
https://gyazo.com/7a35b56b693afaf4c23eda8dc5a03e5a
TeXとは?
論文をきれいに書くためのソフト
「HTML」のように、テキストエディタで編集
出力は、dviまたはpdf
強力な参照機能
強力な文献表示機能
強力な数式表示機能
なぜWordでなくTeXを使うのか?
マークアップ形式なので使いまわしが容易だから
同じ内容の論文を、査読で弾かれたときに、別の会議に使いまわす
スタイルファイル(htmlでいうCSSのようなもの)を入れ替えれば、一発
Wordが図表の扱いが苦手だから
図表がどこかに飛んでいく
Wordの参照機能と参考文献機能がめちゃくちゃ貧弱だから
論文は、「1章」、「図2」、「参考文献[3]」など、参照が重要
Wordの数式機能は使いづらく、しかもきれいに出ないから
TeXは数式を書くのがとても簡単!
出力の見た目が、Wordの方がやや汚い(?)から
Wordの方が細いフォントで字間を詰めて配置するのでそう見える
OverLeafでTeXを使ってみよう!
OverLeaf
クラウド上でTeXを書けるWebサービス
利用にはGoogleアカウント(他でも可)が必要
登録
https://gyazo.com/53f3690e5af800cc39e0a534b6fd3dff
https://gyazo.com/42f78f3a66cd27292f6aaca462ff2d61
https://gyazo.com/d716e644fbb82bbd63472d3459faaedc
ログイン完了
何はともあれ、英語のTeX文書を書いてみよう
exampleを編集してみよう
https://gyazo.com/82c18a803d9eb73c597eb1c0cde6ca42
「New Project」を選択
https://gyazo.com/db13e9f1ce631d5fcd0a0137b4f3777f
「Example Project」を選択
https://gyazo.com/0475c67922fb167b8296d83912fcd3ab
名前を「苗字-test」などで作成(アンダースコアは使えません!)
https://gyazo.com/02be2df321db2ec450bf1694894b6c8c
適当に英語で内容を編集してみよう!
デフォルトだと、日本語は使えません
タイトルを変えてみる
「title{}」の中身を変えて再コンパイル
右上「Recompile」ボタンを押すか、ctrl+s
著者名を変えてみる
同様に、「author」の中身を変更
章を足してみる
「section{Introduction}」~「happened」までをコピーして再度貼る
節を足してみる
「section」から次の「section」の間に「subsection{hogehoge}」を追加
【補足】論文の構成は章→節→項
厳密には、章が「chapter」、節が「section」だが、今は気にしなくてOK
試しにTeXで文書を作ってみよう!
TeXでは「スタイルファイル」を拾ってきて作業
自分でゼロから文書を書くことは、ほとんどない
学会ごとにテンプレートファイルが配られているので、それを使う
学会ごとに異なるテンプレート
試しに「DEIM 2021」のStyFileで文書を書く
「投稿フォーマット > Latex版 > UTF-8」をクリック
日本語のTeXテンプレートのアップロード
ファイルを解凍し、必要なものだけアップロード
https://gyazo.com/3c7ceb10a191f9e25e619e134ce5b0c3
ctrl + クリックで「cls」ファイル群と「sample-j.tex」をアップロード
https://gyazo.com/25836368ae6237891a1d2de2c5243ecc
ドラッグアンドドロップでアップロード
https://gyazo.com/b57a77405c6e73cf1c507f0f559572d2
日本語対応のための設定
設定ファイル「latexmkrc」を作成し、オプションを変更
https://gyazo.com/44913a06f878a29ac28d4c65ba1ae327
「new file」を選んで新規作成
https://gyazo.com/96469de2964484e52e4d6e1426334c50
「latexmkrc」というファイル名を入力
拡張子なし
ファイル名は予約語なので変更、スペルミスすると動かない
たぶん、Latex用のmakeのresource configurationの略
実際に設定ファイルを編集する
https://gyazo.com/6d9082672a61d8a6e422251349e39d8d
設定内容(コピペでOK)
code:tex
$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex = 'mendex -U %O -o %D %S';
$pdf_mode = 3;
TeXのコンパイルに使うエンジンや、pdf変換のやり方などを指定
今回指定した「platex」は日本語も使えるtexの方言に対応したバージョン
コンパイラと、メインのファイルの設定
https://gyazo.com/ad95bc73bd2413ab298ed5db2858a46a
「Menu」を設定し、オプション画面に移動
https://gyazo.com/bc9e7ada1c690ab3411dd7f9a0cc21e4
コンパイラを「Latex」に指定し、コンパイルの対象を「sample-j」に指定
コンパイラの下にある「TeX Live version」を「2020 Legacy」に指定
これで、sample-jの内容を編集すると、コンパイルされpdfも変更されるように
サンプルファイルをいろいろ弄ってみよう!
タイトルを変えてみよう!
\jtitle{ }の中を編集
著者名を変えてみよう!
\authorlist{ } は入れ子になったタグなので、いじってみよう
試しに、推しのYoutuberとか、アイドルとか、適当に著者に追加してみる
新しいSectionとSubsectionを作ってみよう
\section{ほげ}を追加
その下に適当に文章を追加
その下にさらに\subsection{ほげほげ}を追加
「figure」コマンドを使ってみよう
TeXで扱えるベクター画像について
TeXでは基本的に「eps」形式の図表を扱う
OpenOfficeなど、epsを吐けるソフトを使う
Windows用の仮想プリンタでepsを吐く
Adobe Illustratorなど主流なドローイングソフトはepsで保存可能
最終的にpdfにする場合、pdf形式の図を入れるのも便利
Windowsの標準の印刷機能でpdfに書きだせる
include graphicで普通にpdfを貼ればOK
ラスター画像(ビットマップ画像)は基本的に、使わない!
図に適している ← ベクター画像
絵や写真に適している ← ラスター画像
拡大縮小に弱い
ファイルサイズが見た目に対して大きくなりやすい
やってはいけない
グラフや図をスクリーンショットしてepsに変換するのはだめ
中身がラスター画像なので、意味がない
図には必ずキャプションをつける
図(figure)のキャプションは下
表(table)のキャプションは上
「結果のグラフ」など曖昧なタイトルは避け、具体的に書く
載せる画像のアップロード
先ほどと同様に、画面左上の「アップロード」ボタンから
画像はまとめて「img」や「fig」などのフォルダを作って配置すると良い
https://gyazo.com/0309380e132ac506ea4abbcb6914ccff
「new folder」で「img」フォルダを作成
https://gyazo.com/4a2a9215cb591745b2961f34ced668d0
フォルダを選んだ状態でアップロード
ファイル指定時は「\includegraphics[tb]{./img/hoge.pdf}」など、相対パスで
「table」コマンドを使ってみよう
新しいテーブルを作ってみよう
以下のようなテーブルを、試しに作成
https://gyazo.com/2d8cb7ef7c7a170166239f49c7b60e3d
code:tex
\begin{table}[]
\begin{center}
\caption{小動物とその飼い主による可愛さの相互評価の結果\\(5段階評価、5が最も可愛い)}
\label{tbl:animal-eval}
\begin{tabular}{c|rrrr}
\hline
種別 & \multicolumn{1}{c}{色柄} & \multicolumn{1}{c}{飼い主} & \multicolumn{2}{c}{評価} \\
\multicolumn{1}{l|}{} & \multicolumn{1}{l}{} & \multicolumn{1}{l}{} & \multicolumn{1}{c}{山田} & \multicolumn{1}{c}{鈴木} \\ \hline
ねずみ & 灰色 & 野生 & 1 & 1 \\ \hline
猫 & 三毛 & 山田 & 5 & 3 \\
& トラ & 鈴木 & 2 & 5 \\
& クロ & 高橋 & 3 & 3 \\ \hline
犬 & 柴 & 鈴木 & 4 & 5 \\
\multicolumn{1}{l|}{} & 豆しば & 高橋 & 4 & 3 \\ \hline
\end{tabular}
\end{center}
\end{table}
余談:きれいなテーブルのコツ
縦線はほぼ使わない
見出しとデータを分ける必要があるときだけ使う
横線は最小限使う
カテゴリ分けが必要な場合などには適宜使う
コンパイル後の図表の表示される場所について
自動配置されるので、仕上げ段階までは気にしない
\begin{table}[] の [] の中にオプションを指定することで、ある程度配置を制御
基本的には[tb]と指定するのを推奨(ページの上部または下部、という指定)
[h](その場)はよほどのことがない限り使わない
「参照」をしてみよう!
論文では、参照が大事
TeXでは、様々なものを参照できる
\ref{ラベル名}で、章や、図や、表を参照できる
あらかじめラベル名を設定しておく必要
ラベルは「ラベルの定義された直上の番号を使う」という仕様
「section table label」みたいな順で書くと、章のつもりが表を参照してしまう
基本的に、「section」や「caption」の次の行に「label」を置く
「章」「節」「項」を参照してみよう
「\ref{ラベル名}」と書く
よくある書き方:「\ref{hoge}章では・・・」
「図」を参照してみよう
「図~\ref{ ラベル名 }では・・・」
このチルダ(~)は、「直前での改行禁止」の意味
「図(改行)1」などになると格好悪いため
「表」を参照してみよう
「表~\ref{ラベル名}は××を表す」
「数式」を書いてみよう
1行の数式
「\begin{equation}」と「\end{equation}」でくくる
複数行の数式
「\begin{eqnarray}」と「\end{eqnarray}」でくくる
文中に唐突に表れる数式
「$」と「$」で囲む
様々な数式・関数
累乗や、上付き文字 ^a
添え字や、下付き文字 _a
複数文字は、波カッコで囲う x_{hogehoge}
基本的なTeXの文法
基本的には、「\begin{要素名} \end{要素名}」で括る
bibTeXを使ってみよう!
論文において、他人の論文を参照することは重要
「関連研究」の章が、必ずある
最後に「参考文献」の章がある
参考文献のフォーマットは、重要
MLA形式
Shoji, Yoshiyuki, et al. "Who stays longer in community qa media?-user behavior analysis in cqa." International Conference on Social Informatics. Springer, Cham, 2015.
APA形式
Shoji, Y., Fujita, S., Tajima, A., & Tanaka, K. (2015, December). Who stays longer in community qa media- user behavior analysis in cqa. In International Conference on Social Informatics(pp. 33-48). Springer, Cham.
ISO形式
SHOJI, Yoshiyuki, et al. Who stays longer in community qa media?-user behavior analysis in cqa. In: International Conference on Social Informatics. Springer, Cham, 2015. p. 33-48.
人手でやろうとすると、ミスを生む
参考文献の表記順のミスは、下手をするとねつ造とみなされる!
「こいつ、存在しない論文をでっちあげて、自説を補強しようとしてるぞ!」
なので、bibTexという、自動でフォーマットを変換してくれる仕組みを使う
code:bibtex
@inproceedings{shoji2015stays,
title={Who stays longer in community qa media?-user behavior analysis in cqa},
author={Shoji, Yoshiyuki and Fujita, Sumio and Tajima, Akira and Tanaka, Katsumi},
booktitle={International Conference on Social Informatics},
pages={33--48},
year={2015},
organization={Springer}
}
よく見かけるデータ記述言語と同様に、Key-Valueペアになっている
各フォーマットに合わせて、自動で取捨選択して並び替えてくれる
ちなみに、bibファイルは継ぎ足し継ぎ足しで、超巨大なものを使っている人が多い
実際のbibTeXの操作
1. はじめに、bibファイルを作る
「hoge.bib」を、論文本体と同じフォルダ内に作成
2. bibファイルの中に、bibフォーマットの文字列を置いてみる
Googler Scholarで適当な論文を探して、「”」アイコン(二重引用符)をクリックしてみよう
https://gyazo.com/10dbbb08b8cc5161c178ac18f144f94e
「bibtex」をクリックするとbibtexが手に入るので、コピーしてbibファイルに貼り付けよう
3. 論文本体の中からbibファイルを呼び出す
ページの末尾、「\end{document}」の直前に、以下の2行を追記
\bibliographystyle{junsrt} % ←どの書式で書くか
\bibliography{hoge} % ←どのファイルを呼び出すか(.bibは省略)
4. 本文中で論文を参照する
試しに「shojiら~\cite{shoji2015stays}」などと指定してみよう
bibファイルの中に「shoji2015stays」というキー名の要素があるか事前に確認
論文の参照には~\refのかわりに~\citeを使う
bibファイル内で付けたID名を使って参照
参照しなかった論文は、bibファイルに含まれていても、参考文献欄には表示されません!
5. 何度かコンパイルを繰り返す
1回目は中間ファイルを作って、2回目は本文中の[ ]と対応付けして・・・とやる
なので、複数回コンパイルする必要がある(OverLeafだと、だいたい自動でやってくれる)
参考文献に日本語が含まれる場合は「pBibTeX」を使い、bibliographystyleにjplainなどを指定
失敗すると論文の参照が「莊司ら[?]は・・・」となり非常に格好悪い
論文を提出する前には、最終版を印刷して、「[?]」がないか何度も確認
他人の作ったライブラリを使おう
テーブルをきれいに書くライブラリ「booktabs」
ダウンロードして、usepackageする
プロジェクトフォルダ内に配置
他に便利なパッケージがあるので、いろいろ使ってみよう
他のTeXスタイルファイルを使ってみよう
本学の卒論フォーマットも使ってみよう
バックアップをしっかりとろう
メニューから「Download」→「source」で現在のデータをzipで落とせる
履歴や変更箇所の確認は、Overleaf上で行えるから、バックアップとして使う!
無料版なので、遡れる件数などに上限があるが、卒論くらいなら無料版で十分!
Subversionで管理したい人は、解凍して上書きしながら管理
Overleafはたまに落ちる
大規模な学会の締め切り前とか、サービスごと落ちることがある
最悪の場合にローカルでもコンパイルできるように、TeX環境は持っておこう!
編集画面のシェア
実際に卒論・学会論文を書く場合には、直接ファイルを他人に直してもらう必要
右上「share」ボタンから「turn magic link on」で編集可能な招待リンクを生成
リンクをSlackなどで他人に送ればOK
本日の課題
実際の自分のテーマ紹介を、A4 1枚 半ペラで作成
DEIM2021フォーマット
分量は、裏にはみ出てもよい
内容よりも、TeXを覚えるのが重要なので、とにかく体裁を整えること!
手法など、決まっていない部分は、適当なことを書いてもよい
構成は以下の通り(練習なので、それぞれ5行とかでOK)
タイトル(具体的で、格好良いもの)
悪い例:「私のやってみたい研究」や「研究テーマ案」
良い例:「ニコ生料理カテゴリの指示厨コメントからの新しいレシピの自動生成」
アブスト (あらまし、概要)
論文全体の内容を第三者に客観的に紹介するパート
そのため、研究背景とか研究の重要性は書かない
はじめに
研究の背景や、重要性、なぜこの研究を思いついたかのパート
関連研究
手法
まとめ
謝辞
謝辞は「番号のないsection」という特殊な命令を使う(各自調べる!)
必須要件
1つ以上の図(自分でパワポで作ってPDFとして取り込む)
PNGや、サンプルに含まれている図表は不可。必ず自分でPDFを起こす
1つ以上の数式(中身は何でもいい)
1つ以上の箇条書き
1つ以上の表(テーブル)
参考文献 5本(実際にその論文を読んでる必要はないです)
簡単すぎると思った人は、高度な図とテーブルの配置に挑戦
2段組みをぶち抜く
「figure*」「table*」などのアスタリスク付きの命令
横に2つの図とテーブルを並べる
「minipage」命令