開発プロセスの変遷モデル
学術的な研究などに基づかない個人の感想ですが、
おそらく日本企業の一般的なウェブサービス開発プロセスは以下のような変遷をしてきたと思う。
進んだフェーズが偉いわけではない点に注意。
適用できる領域によって使い分ければ良いだけで、どのフェーズも成果にフォーカスはしている。
すでに成果が出ているなら、リスクやコストを背負ってまで次のフェーズに進む必要性は無い。
ただし、不確実性が高まり続けている時流を鑑みると、進んでいく必要は遅かれ早かれ出てくるはず。
そしておそらく、フェーズN→フェーズN+1への変遷と比較して、フェーズN→フェーズN+2への変遷は非常に難易度が高い。
なぜなら、進むべき理由を組織が共有できないため。
また、現実のフェーズはフェーズ1.6だったり、フェーズ2.3だったり、グラデーションの中にある。ここに書いたことは目安にすぎない。
フェーズ0: カウボーイ開発
メンタル: とにかく手を動かせば成果が出る
適用できる領域: 手癖で十分な開発
次のフェーズへ進む問い: 開発計画が必要になった、どうすれば開発計画を立てられる?
特徴
計画が存在しない
フェーズ1: ウォーターフォール開発
メンタル: 完璧な計画を完璧に実行すれば成果が出る
適用できる領域: 不確実性の低い開発
次のフェーズへ進む問い: 開発計画通りにいくわけがない、じゃあどうする?
特徴
計画と実行
プロダクト(ディスカバリー): 計画を変更しない、理性主義的
リリース: ビッグバン
開発(デリバリー): 計画を変更しない、理性主義的
デプロイ: ビッグバン
マージ: ビッグバン
チーム: 職能別のプロジェクトチーム
完璧なプロダクトが完成するので、チームはプロジェクトが終わったら解散する
計画は完璧なので、職能別に仕事を進めれば良い
そのため、外部委託や非正規雇用を活用しやすい
開発のインジケーター: ガントチャート
リソース効率に注目する
計画は完璧なので、バッファを持つ必要も無い
メタファ: 戸建ての建設
参考
フェーズ2: 反復型開発
日本で流行り始めた時期: 2010年~
メンタル: リリースできれば成果が出る
適用できる領域: 成果が保証されている開発
請負開発や、プロダクトマネージャーの能力に対して市場不確実性が低い場合など
次のフェーズへ進む問い: リリースしても成果が出ない、じゃあどうする?
特徴
計画と実行
プロダクト(ディスカバリー): 計画を変更しない、理性主義的
リリース: ビッグバン
開発(デリバリー): 計画を変更する、経験主義的
デプロイ: 頻繁~ビッグバン
開発しやすいようにデプロイされる
マージ: 頻繁
チーム: 職能別~職能横断のプロジェクトチーム
チームはプロジェクトが終わったら解散する
プロダクトに対して継続的に複数のプロジェクトが走る場合、開発に関する知見を蓄積するため安定的な人材プールの中から組まれることが多い
職能別であるか職能横断であるかは開発しやすい方が選択される
開発のインジケーター: ガントチャートとリリースバーンアップチャートの組み合わせ
早くリリースすることよりも多くリリースすることに注目する
リリースすれば成果がでるため
ペアプロやモブプロは許可されにくい
多くリリースできるイメージが無いため
プロジェクトの並行や兼務に繋がりやすい
やり過ぎると結局は遅く少ないリリースに陥るが、そうなっていても気づきにくい
高速開発に注目する
開発に関する学習サイクルが回り、リリースできる可能性が高まるため
加えて、多くリリースできるため
感想
日本でアジャイルソフトウェア開発と呼ばれているものの大部分は、実は反復型開発なのではないか
メタファ: トンネル開通工事
参考
フェーズ3: アジャイルソフトウェア開発
日本で流行り始めた時期: 2015年~
メンタル: リリースが成果に繋がる確率を上げるため、仮説検証と学習の繰り返しが必要
適用できる領域: 不確実性の高い開発
次のフェーズへ進む問い: 不明
おそらくこのフェーズが先頭集団
特徴
計画と実行
プロダクト(ディスカバリー): 計画を変更する、経験主義的
リリース: 頻繁
開発(デリバリー): 計画を変更する、経験主義的
デプロイ: 頻繁
マージ: 頻繁
チーム: フィーチャーチーム
チームは安定的
学習した知見を蓄積したいため
仮説検証と学習のサイクルを高速に回すことに注目する
リリースしても成果が出る保証が無いので、仮説検証と学習のサイクルを回してプロダクト計画の精度を高めたいため
そのため、リリースよりもユーザーインタビューやコンシェルジュ型MVPなどに注目する
リリースはどうしてもコストがかかるので、筋の悪いリリースはそもそもしたくないため
そのため、多くリリースすることよりも早くリリースすることに注目する
つまり、フロー効率に注目する
ペアプロやモブプロも活用される
つまり、リリース駆動である
メタファ: 旅
参考
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