上達の法則
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基本情報
書籍名: 上達の法則 効率のよい努力を科学する
出版社: PHP研究所
著者: 岡本 浩一
ページ数: 235
金額: 680円+税
発売時期: 2002/05/15
カテゴリ: #勉強の仕方 / #学び方 / #上達 / #法則 / #原理原則
出版社リンク: https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-62198-2
Amazonリンク: https://amzn.to/3hVLkQy
本の感想 shimizukawa.icon
3回買いました(´・ω・`)
1ページ毎に、「なるほど!」と思える説明がある
とても面白い。「勉強の仕方」と比べると、プログラマーが好きな感じのロジカルな説明があって、納得感がある気がします。
とても面白いのでお勧めしたら、感想を話してくれた
#66 PyCon JP 2022 / PloneConf と最近の活動振り返り | terapyon channel podcast 18分40秒~
プログラミングとは関係なく、技術が上達するための法則をまとめたもの
自分の経験と照らし合わせて、「そういう意味づけがあるか」とか「間違ってなかったな」と思える記述がある
上達に関する新しい発見、気づきがある
推しポイント抜粋
上達には法則がある。近道でなく、法則がある。 その法則が把握できている人は、努力の効率がよい。
自分の上達の能力に自信がないことが、生き方までも狭めてしまう可能性
あたりまえのことだが、上達したいと思ったら、まず始めることである。「どうやったら上達するか」をはじめから考えすぎていたら、いつになっても着手できない。
いちばん要注意なのは、これまでに気付いた地位に心理的に安住し、上達の対象をなにも持たない状態でいることだ。
物事の上級者になると
初級者では見えないようなことが見えるようになる
まったく関係ない事柄からもヒントを得られるようになる
はじめは思考の負荷が強かったことが、雑談をしながらできるようになる
意図的記憶、偶発的記憶がともに高く、記憶の再現が速く正確
上級者は
中級者がさらに上手になっただけの人が上級者だというわけではない。中級者と上級者のあいだには質的な差がある。(中略)その上達途上で、「ものの見え方」がグンと一段あがったという実感を持っている人である。
業界の資格に関する知識・技能であれ、英会話であれ、あるいは、趣味・余技の領域であれ、この「一段階ものの見え方があがった」という経験をした人は、しばらくそれを離れていても、技能が極端に落ちるという心配が少なく、かつ、上達することによってものの見方がトータルに変わるということを経験で知っている。この経験が、生きていくうえで、いろ いろな意味の自信を与えてくれる。
この「見え方が変わる」という経験のある人を上級者、ある程度技量は身についているけれどもその経験はまだないというくらいの人を中級者と本書では位置づけている。
(上級者は)上達することによってものの見方がトータルに変わるということを経験で知っている。
あるレベルを超えると、具体的な詰めの手順がわかる前に、「相手の王が詰んでいる」ことが直感的に分かるようになる。詰んでいることを直感してから、具体的な手順を探す感じに、思考の順序が変わる。
その種の直感が何種類も芽生えてくることが「見え方が変わる」に該当する。
自我関与とは、その課題に本気で取り組む度合いのこと
自我関与が高いほうが、長期記憶の形成が促進される
上級にたどりついた人達は、自我関与を高くできた人達だったと考えられる
上達の喜び楽しみが、全人格的な自我関与を高くしている
目次
shimizukawa.icon 目次がとても興味をそそる
第三章 上達した人はどこが違うのか
1. 持続力、集中力が高まる
上級者のほうが退屈しにくい
上級者のほうが疲労しにくい
自我関与が高く、価値観を持っている
2. 特異な才能が光る
上級者は「ながら」ができる
上級者は移調作業ができる
復元仮定作業ができる
技能のコツを言葉(メタファ)で表現できる
「暗算」ができる
全体的な概算や急所の把握が正確である
異質な次元どうしの換算式を持っている
直接役に立たないような知識まで持っている
一見無関係なことからヒントを得る
3. イメージやこだわりが鮮明になる
上級者のほうが細部へのこだわりがある
自分なりの「美観」を持っている
イメージが発生する
勘が働く
上級者は鑑賞のツボをはずさない
負けや失敗をいやがり強くくやしがる
4. 他者を見る眼が変わる
他者の技能を見るのを楽しむ
細かな手がかりから他者評価ができる
他者の評価が早くでき、評価が明瞭である
上級者の他者への評価は安定している
他者への評価をすぐに表に出さない
間接的な手がかりによる技能判断が安定している
他者の観察態度を見て、その人の技量を推測できる
他者の個性に敏感で、模倣もできる
5. 自分を正確に認識できる
上級者はクセが少ない
欠点も含めて自分の個性を認識している
練習方法が工夫できる
中級者や初級者からも学ぶことができる
上級者に敬意を持っている
人格的な安定感がある
本の概要
仕事でも趣味でも、たえず新しい知識や技術の習得が、人生を豊かにする。英会話、パソコン、ゴルフ、さらに、あらゆる資格や稽古ごと等々。やる限りは上達したいものである。万年初心者ではつまらない。では、上達を極めた人と、そうではない人と、どこが違うのだろうか?
本書は、記憶心理学、学習心理学、記憶心理学などをベースに、上達法を科学的に分析。まず、「できる人」の記憶の構造はどうなっているのだろうか。アイコニックメモリ(感覚記憶)、ワーキングメモリ(作動記憶)、長期記憶などについて説明する。そして、上達の力学が<スキーマ>や<コード化>という能力にあることを解明。その理論から独自の上達ノウハウを披露する。「得意なものにこだわる」「大量の暗記暗唱法」「マラソン的訓練法」等々。さらに上達のプロセスで必ず訪れる「スランプ」とは何か、その対策も論じている。
努力が報われるために、本人だけでなく、親、教育者、コーチ必読の書。
お勧めの読者
初級者、中級者、上級者の違いを言語化したい人
いつまでも上達できない、と思う人・自分にアドバイスしたい人
扱っている分野
#TBD
動機、価格
入手日:
2017/08/13 Amazon(紙), 285円
2021/07/05 ブックオフオンライン(紙)200円(なぜか2回買ってしまった!)
2021/07/16 Kindle, 594円(引用したいことだらけで、電子版がほしくなった)
入手金額: 285円, 200円, 594円
入手フォーマット: 紙
入手動機: 忘れた。2017年にAmazonで買ったらしいけれど・・
動機は満たされたか: 分からないけど、とても面白い
関連リンク
一芸に秀でる者は多芸に通ず
変化に気後れせずついてこられる人は、上達ということを自分なりに摑んでいる人である。上達ということを自分の経験として摑んでいると、いざというときにはきちんと追いつけるという自信があるので、必要な技能は身につけ、いますぐ必要でない技能の習得は、自分の判断で見送るという心理的な自由度があるのだ。 そういう人は、職場で見ていても安心感がある。いま、どうにもできない技能でも、あの人なら、いざ必要となればきちんと間に合わせるだろうという信頼感がある。 まだなにもしていなくても潜在的にこのように信頼される人と、間に合わないのではないかと信頼してもらえない人とでは、大きな差があると考えざるを得ない。この種の信頼を勝ち得る人は、往々にして、上達を知っている人なのである。
一芸に秀でることは、多芸に秀でることだという考え方がある。この原則があてはまる範囲にも当然限度があるだろうが、一面の真実を含んでいる。それは、上達には一般的な法則があり、一芸に秀でる過程でその法則をある程度体得すれば、他の技能の上達にも応用ができるからである。 また、ある程度難しい技能を深く体得した経験のある人は、他の技能でも、習得する必要が生じたら、ある程度の上達ができるという自信を持っている。その自信が、仕事ぶりや、ものごとへの取り組み方、関心の持ち方などに反映して、心に余裕を生んでいることが多い。「いざとなったら、いま未習得の技能でも身につければよいさ」と考えて仕事をしている人とそうでない人では、心の余裕、仕事ぶりの余裕がまったく異なる。新しい領域に仕事を広げる進取の気風なども、たんに好奇心が強いというだけでなく、このような本来的な余裕がよい結果をもたらすことが多い。
アイコニックメモリ, ワーキングメモリ, 長期記憶
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技能に上達した状態とは、つぎのような状態であるとまとめることができる。
(1)技能に必要な宣言型知識と手続き型知識が豊富に長期記憶に蓄えられていること。
(2)必要な知識が、必要に応じて長期記憶から検索できること。
(3)検索できた長期記憶が、ワーキングメモリで有効に用いられること。
これって、RAGの仕組みそのまんまでは?
embedding(コード)生成時の次元削減効率や特徴量エンジニアリング(スキーマ)が優れていて速いため、Vector Database(長期記憶)への情報蓄積や検索が速くて正確
CPU負荷が低いデータ変換アルゴリズム(スキーマ)で情報をコード化(符号化)してそのコードを使ってインデックス検索して記憶をロードする
長期記憶 = データベースへの保存
長期記憶からの検索 = 全文検索ではなく、Embeddingによる高速な類似情報検索
ワーキングメモリでの有効利用 = Embedding(コード化)のまま扱うため1チャンクの情報量が多い
自我関与
自我関与とは、その課題に本気で取り組む度合いのことである。一般に、上級者は自我関与が高い。
既述のように、ワーキングメモリから長期記憶の形成には、自我関与が大きくかかわっているらしいことが、研究でわかっている。自我関与が高いほうが、長期記憶の形成が促進されるのである。その意味では、上級にたどりついた人達は、自我関与を高くできた人達だったと考えることができる。けれども同時に、上達の喜び楽しみが、全人格的な自我関与を高くしていることも事実である。