キーボードの内部マウント方式一覧
#ハイエンド
🚨 情報の信頼性について 🚨
触感についての情報のみをもとに設計判断はできない(信頼性が低い).
情報の信頼性が低い原因に,以下のようなものがある.
試作1回あたりのコストが大きく,満足できる設計に辿りつくまでの試行回数が確保しづらい.
この結果,局所最適か支払った金額に対する思い込みが情報として発信されがちになる.
評判の良いキーボードは生産数が少なく,hype の温床になる.
内部構造の種類を宣伝効果のために使用し、実装の練度を無視するキーボードも多いので、内部マウント方式で総合的に評価するのには限度がある。
「感触」は音や触覚が複合したマルチモーダルな現象なので,そもそも設計が非常に難しい.
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ハイエンドキーボードの評価基準とマウント方式の関係
いわゆるハイエンドキーボードは,以下のような観点で評価されることが多い.
打鍵音の良さ
打鍵音のよさは,甲高い音 (clack) ,低い音 (thock) などと表現される.
評価は好みによる部分も大きい.
打鍵音はキーボードの材質や内部構造に大きく影響される.
望みの打鍵音を実現するため,マウント方式の選択に加えてフォームなどを用いることもある.
打鍵感の良さ
打鍵感のよさは「柔らかさ」 (flex) と関連づけられることが多い.
「柔らかさ」を実現するためにとる方法は設計者により異なるが,以下の2つが主流である.
プレートや PCB Assy を変形させる(トップマウント,ボトムマウント等)
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a. 変形前の状態, b. 変形後の状態
単純なモデル(両端支持梁)を考えると,中央部ほど柔らかくなることが示唆される.
PCB Assy の端部をばねで固定して自由に動くようにする(バーガーマウント,ガスケットマウント,リーフスプリングマウント等)
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a. 変形前の状態, b. 変形後の状態, c. クッション(ガスケット等)
単純なモデルを考えると,端部ほど柔らかくなることが示唆される.
外観の良さ
マウント方式の分類
本稿では,スイッチプレートと基板をまとめて PCB アッセンブリ (PCB Assy) と呼ぶ.キーボードのマウント方式は PCB アッセンブリをケースに固定する場所とその方式により分類できる.
端部を固定する
端部をネジで固定する
トップマウント top mount
ボトムマウント bottom mount
亜種:
リーフスプリング leaf spring plate
バーガーマウント burger mount
端部をフォームで固定する
シート型ガスケットマウント gasket mount
端部全周をOリングで固定する
Oリングマウント gummy worm mount, gummy O-ring mount
その他
ミッドマウント mid mount:分類しづらい場合に使われる
PCBマウント pcb mount:プレートではなくPCBの端部をケースに固定する
キーの間を固定する
トレイマウント tray mount
亜種:リーフスプリングトレイマウント(wilba.tech SALVATION)
その他
サンドイッチマウント sandwich keyboard
インテグレーテッドマウント integrated plate(ケースとプレートが一体型)
スタックマウント stack mount(PCB Assy の底部全体をフォームで支える. Mode Designs Eighty)
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マウント方法に関するコミュニティの意見
参考:
https://thomasbaart.nl/2019/04/07/cheat-sheet-custom-keyboard-mounting-styles/
https://www.keyboard.university/200-courses/keyboard-mounting-styles-4lpp7
プレートの素材と特徴
ここには海外コミュニティの偏見や個人の意見などを含みます。
ある程度海外を含むコミュニティでコンセンサスがとれている意見なので参考にすることは可能です。
トップマウント
うまく設計されたものは静音性に優れ、感触も良い。
ネジ止めされた部分は硬いため、ネジをキー位置付近に設置してしまうとその付近のキーの感触がとても硬くなる。
これを解決しようとしたのがリーフスプリングマウント。
開発から10年以上経った今でも、根強い人気がある。
スイッチとの相性も特に無く、汎用性が高い。
プレートの種類の特性をよく反映する。
トレイマウント
ネジの場所からの距離によってスイッチの感触が左右される。
特にネジ付近のキーはとても硬くなりやすい。
ケースへと衝撃が直接伝わるので、共振などの問題が起こりやすい。
射出成形のGH60系ケースなどと組み合わせれば、とても安価にキーボードを組むことができる。
入門キーボードとしての人気が高い。
サンドイッチマウント
構造が層で作れるので、コスト面で優れる。
アクリルのレーザー加工やPCB素材のみでキーボードを作る場合、加工の簡易さで選ばれることが多い。
プレートを多くの面で支える構造なので、縁のキーがの触感が硬くなりやすい。
振動はケースへ直接伝わるが、層構造のため共振などの問題を起こす確率は低い。
直結型プレート・インテグレーテッドマウント
ケースとプレートが繋がっているので、使用時の振動が直接ケースへ伝わる。
これを制御しきれない場合、共振などの問題を引き起こしてしまう。
感触はケース部分との接点(プレートの縁)からの距離によって左右される。
プレートが壊れてしまった場合、ケースごとの取り換えとなる。
PCBマウント
プレートを使用しない場合、PCBのみの独特の打鍵感を得られる。
PCBのケースへの固定方法で性能は大幅に変化するので、一括りで打鍵感を説明するのが難しい。
ガスケットマウント
Keycultなどが使用し始めた後、人気が爆発的に増えた。
最近では一般的になりつつある。
うまく設計されたものは縁までキーの感触が柔らかい。
逆にガスケットの圧縮度が高すぎる場合、縁がサンドイッチマウント並に硬くなる。
Oリングマウント
ゴムリングの柔らかさを比較的安価に適用できるので、人気が上昇中。
ガスケットマウントと同じ圧縮度などの問題がある。
リーフスプリングマウント
Wilba Works Thermalで採用されてから、人気が上昇している構造。
バネ構造なので、跳ね返り、振動し続けるような感触。
ケースへの固定方法は自由なので、ガスケットとリーフスプリングを組み合わせる人も多い。